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37. アーシャの反撃
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少し時間が戻ります
(アーシャ視点)
ジャニスに拉致されてから、私は食事以外の時間をすべて浮遊馬車の中で過ごした。寝るのも馬車で座ったまま眠る。ジャニスからはテントで横になった方が寝心地が良いと誘われたのだが断った。ジャニスはテントで寝るから夜は私が馬車一台を独り占めだ。もっとも逃げ出さない様に見張られているだろうけど。
その様にして5日間を馬車で過ごした。そろそろ大丈夫と思う。私はいつものようにアニルさんに食事の準備が出来たと言われて馬車から降り、そのまま馬車の側壁に片手を付いた。
途端に首に付けられた魔道具が砕け散る。これにはジャニスやアニルさんを始め、周りにいた人達が全員あっけにとられた顔をする。よい気味だ。
「これで私の勝ちね。さて、どんな罰をお望みかしら?」
なぜ首輪を砕くことが出来たか、話は簡単だ。馬車の表面に塗られた塗料には水晶の粉末が混ぜられている。そして水晶は神気を吸収して神力として蓄積する。馬車の中で何日も過ごした私から発せられた神気はすべて馬車の塗料に蓄積され、馬車全体が巨大な魔晶石と化していたわけだ。魔晶石に蓄積された神力を使えば首輪は反応しない。
「御子様、どうかお許し下さい。ジャニス様には最初から御子様をどうこうするつもりはございません。話が決裂すれば首輪を解除されるおつもりでした。」
「アニル、もういいの。御子様、流石ね。まさかこんな手があるとは思わなかった。完全に私の負けよ。どんな罰でも喜んで受けるわ。だけどアニル達は私の命令に従っただけなの。許してもらえない?」
「それで良いのね。彼らの分の罰もあなたが引き受けると?」
「もちろんよ。」
と躊躇なく言い放つジャニス。確かに彼らにとっては良いボスなのだろう。
「分かった。とりあえず一緒に来てもらうわよ。話は飛びながらしましょうか。」
そう言うなり、そのままジャニスを連れて飛び立った。アニル達が何か叫んでいるが気にしてやらない。
「キャ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ」
とジャニスの悲鳴が辺りに響き渡る。それを聞くと少し胸のもやもやがスッキリした。
流石に空を飛ぶのは初めてだろうし、ここなら神気を発するのを気にする必要がないから手加減なしの高速で飛んでやったからね。
「さて、そろそろお話をしましょうか。」
叫び疲れてぐったりしたジャニスに声を掛ける。
「...................」
「あら、高所恐怖症だったのかしら?」
「...........たった今からね。2度と高い所には登らない。絶対に今日のことを思い出す。」
文句を言えるなら少しは回復してきたのだろう。でも私を睨みつけた目には涙が溢れていた。
少し可哀そうになった私は、前方にある空き地に向かった。
「休憩よ。」
そう言いながら着陸すると。ジャニスは服が汚れるのも構わず、そのまま地面に横たわった。
「意地悪ね。御子様ってもっとお優しい方だと思っていたわ。」
「相手次第よ。それに貴方だけには言われたくないわね。」
「ごもっとも。それで私への罰は何なのかしら。」
「このままカルロ教国の人質に成るのはどう? 貴方を人質にしたらガニマール帝国は攻めてこないかしら。」
「それは無いわね。誰が次の皇帝になるにしろ私の事なんて気にしないわ。今までさんざん足を引っ張り合った仲だからね。それに皇帝の子供は15人もいるの。一人ぐらい欠けたって何の問題もないわけ。」
「15人......すごいわね。」
「側室の子供も含めてだけどね。正室の子供は私を含めて3人、最初に私達3人に父から命令が下ったわけ、『聖なる山の神を味方に付けろ、成功すればその者を後継者とする』とね。期間は1年。私達が失敗すれば側室の兄妹にもチャンスが回るわ。」
「なるほどね。とりあえず他の兄妹がやっていることを洗いざらい話してちょうだい。」
「そんなことを言われても、お互い競争相手だから手の内は見せてくれないわよ。私が知っているのは、一番上の兄ガイラスが立派な祭壇を築いて、かなり前から毎日捧げものをしていること。遊牧民の料理と衣装を大量に捧げているらしいけど効果はない様ね。これではダメだと悟って最近では色々な宗教のやり方を試しているらしいわ。ちなみに神官を攫ったのもガイラス兄さんよ。バカよね。神官を攫って聖なる山の神の怒りを買ったらどうするつもりだったのかしら。」
「遊牧民の料理と衣装ね......。ガイラスさんはどこからその情報を手に入れたのかしら。」
「もちろんカルロの町に忍び込ませた間者からよ。今カルロの町はガニマール帝国の間者で溢れているわよ。私達3人が放った間者だけでなく、他の兄妹たちも私達が失敗した時に備えているでしょうしね。目的は聖なる山の神についての情報収集よ、最近はそれに御子様が加わったけどね。」
あれまあ、知らない内にカルロの町は大変なことになっている様だ。確かに巡礼者はほぼ無条件に受け入れているから、間者を送り込むのは難しくない。
(アーシャ視点)
ジャニスに拉致されてから、私は食事以外の時間をすべて浮遊馬車の中で過ごした。寝るのも馬車で座ったまま眠る。ジャニスからはテントで横になった方が寝心地が良いと誘われたのだが断った。ジャニスはテントで寝るから夜は私が馬車一台を独り占めだ。もっとも逃げ出さない様に見張られているだろうけど。
その様にして5日間を馬車で過ごした。そろそろ大丈夫と思う。私はいつものようにアニルさんに食事の準備が出来たと言われて馬車から降り、そのまま馬車の側壁に片手を付いた。
途端に首に付けられた魔道具が砕け散る。これにはジャニスやアニルさんを始め、周りにいた人達が全員あっけにとられた顔をする。よい気味だ。
「これで私の勝ちね。さて、どんな罰をお望みかしら?」
なぜ首輪を砕くことが出来たか、話は簡単だ。馬車の表面に塗られた塗料には水晶の粉末が混ぜられている。そして水晶は神気を吸収して神力として蓄積する。馬車の中で何日も過ごした私から発せられた神気はすべて馬車の塗料に蓄積され、馬車全体が巨大な魔晶石と化していたわけだ。魔晶石に蓄積された神力を使えば首輪は反応しない。
「御子様、どうかお許し下さい。ジャニス様には最初から御子様をどうこうするつもりはございません。話が決裂すれば首輪を解除されるおつもりでした。」
「アニル、もういいの。御子様、流石ね。まさかこんな手があるとは思わなかった。完全に私の負けよ。どんな罰でも喜んで受けるわ。だけどアニル達は私の命令に従っただけなの。許してもらえない?」
「それで良いのね。彼らの分の罰もあなたが引き受けると?」
「もちろんよ。」
と躊躇なく言い放つジャニス。確かに彼らにとっては良いボスなのだろう。
「分かった。とりあえず一緒に来てもらうわよ。話は飛びながらしましょうか。」
そう言うなり、そのままジャニスを連れて飛び立った。アニル達が何か叫んでいるが気にしてやらない。
「キャ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ」
とジャニスの悲鳴が辺りに響き渡る。それを聞くと少し胸のもやもやがスッキリした。
流石に空を飛ぶのは初めてだろうし、ここなら神気を発するのを気にする必要がないから手加減なしの高速で飛んでやったからね。
「さて、そろそろお話をしましょうか。」
叫び疲れてぐったりしたジャニスに声を掛ける。
「...................」
「あら、高所恐怖症だったのかしら?」
「...........たった今からね。2度と高い所には登らない。絶対に今日のことを思い出す。」
文句を言えるなら少しは回復してきたのだろう。でも私を睨みつけた目には涙が溢れていた。
少し可哀そうになった私は、前方にある空き地に向かった。
「休憩よ。」
そう言いながら着陸すると。ジャニスは服が汚れるのも構わず、そのまま地面に横たわった。
「意地悪ね。御子様ってもっとお優しい方だと思っていたわ。」
「相手次第よ。それに貴方だけには言われたくないわね。」
「ごもっとも。それで私への罰は何なのかしら。」
「このままカルロ教国の人質に成るのはどう? 貴方を人質にしたらガニマール帝国は攻めてこないかしら。」
「それは無いわね。誰が次の皇帝になるにしろ私の事なんて気にしないわ。今までさんざん足を引っ張り合った仲だからね。それに皇帝の子供は15人もいるの。一人ぐらい欠けたって何の問題もないわけ。」
「15人......すごいわね。」
「側室の子供も含めてだけどね。正室の子供は私を含めて3人、最初に私達3人に父から命令が下ったわけ、『聖なる山の神を味方に付けろ、成功すればその者を後継者とする』とね。期間は1年。私達が失敗すれば側室の兄妹にもチャンスが回るわ。」
「なるほどね。とりあえず他の兄妹がやっていることを洗いざらい話してちょうだい。」
「そんなことを言われても、お互い競争相手だから手の内は見せてくれないわよ。私が知っているのは、一番上の兄ガイラスが立派な祭壇を築いて、かなり前から毎日捧げものをしていること。遊牧民の料理と衣装を大量に捧げているらしいけど効果はない様ね。これではダメだと悟って最近では色々な宗教のやり方を試しているらしいわ。ちなみに神官を攫ったのもガイラス兄さんよ。バカよね。神官を攫って聖なる山の神の怒りを買ったらどうするつもりだったのかしら。」
「遊牧民の料理と衣装ね......。ガイラスさんはどこからその情報を手に入れたのかしら。」
「もちろんカルロの町に忍び込ませた間者からよ。今カルロの町はガニマール帝国の間者で溢れているわよ。私達3人が放った間者だけでなく、他の兄妹たちも私達が失敗した時に備えているでしょうしね。目的は聖なる山の神についての情報収集よ、最近はそれに御子様が加わったけどね。」
あれまあ、知らない内にカルロの町は大変なことになっている様だ。確かに巡礼者はほぼ無条件に受け入れているから、間者を送り込むのは難しくない。
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