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38. アーシャ、鉱山の町へ
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(アーシャ視点)
「それで私についてはどんなことが分かったのかな?」
「それほど沢山の情報はないわ。馬車に曳かれた子供を人々に見られるのも厭わず助けたことから子供好きだということ。だから私が生贄の振りをして祭壇に居れば助けに来るのじゃないかと考えたわけよ。
それ以外には、スカートを穿いていたことと身長が低いことから少女の姿の可能性が高いこと。空を飛び身体を透明化できること。何か月も町に滞在していることから、遊牧民の料理以外も口にするのではないかという推測。短時間に町の城壁を創造したことから神に近い神力を有していること。御子様が城壁を創造すると神殿から前もって宣言があったことから、神官達、少なくとも一部の神官は御子様と連絡が取れることくらいよ。」
身長が低くて悪かったな.....と思ったが、結構的確な情報を摑まれている。恐らくジャニスの兄妹達もこの程度のことは分かっているのだろう。これ以上二葉亭に滞在すると迷惑をかけることになるかもしれない。
「了解よ。優秀な間者さんね。」
「お褒めに預かり光栄に存じますわ。」
この子はさっきまで泣いていたのに早くも立ち直った様だ。
「それで、2番目のお兄さんは何をしているの。」
「直情型のガイラス兄さんと違って、アキュリス兄さんは秘密主義だからね。何かやっているとは思うのだけど情報はないわ。一番の強敵よ。もっとも私は競争から脱落したから、もう敵ですらないわね。」
「そんなにしょげないの。せっかくの人生をつまらない競争に費やすなんて無駄だと思うけどな。」
「すべてを持っている御子様には分からないわよ。」
「すべて?」
「国の事よ。カルロ教国は理想の国だわ。教育、経済、治安、医療、文化のすべてが一級品。軍事力だけはお粗末だけど、これも神が守ってくれていると考えれば防衛面での問題はなし。国民の満足度や国に対する信頼度も最高レベルだわ。私が作りたかった理想の国が既に存在していたなんてね。間者からの報告は驚きの連続だったわ。
本当のことを言うとね、私自身は間者からの報告を聞くまでそれほど皇帝の地位に魅力を感じてなかったの。側近や後ろ盾になってくれている貴族達の手前、やる気のある振りだけはしていたけどね。だって仮に私が皇帝になったとしても色々なしがらみで理想の国何て作れそうになかったから。
だから私にやる気を出させたのはカルロ教国とあなたの存在よ。皇帝になってガニマール帝国をカルロ教国の様な理想の国に変えたかった。そしてそれは貴方の協力が得られれば夢ではないと考えたわけよ。」
「そうなのね....」
「それで私への罰は何なのかしら?」
そう言われると困ってしまう。もともとちょっと脅かしてから解放してあげようと思っていたのだ。なにせまだ10歳なのだから。でもまったく反省してないよね。困ったな.....。もう面倒だからアニルさんのところに送り返そうかな。
そんなことを考えながら再びジャニスを連れて聖なる山に向かって飛び立つ。今度は少しゆっくりと飛んであげた。
だけど、しばらくして微かな神気を感じた。遥か遠くからだが聖なる山の方向ではない。あれほど遠くからの神気を感じるとは、よほど強力な発生源があるはずだ。あんな方向にそんなところがあるなんて父さまから聞いたことが無い。父さまも知らないとしたら放って置くわけにいかない。ここからなら今日中には着ける、行ってみる価値はあるだろう。
「ジャニス、ちょっと寄り道するところが出来たの。飛ばすけど我慢してね。」
「ち、ちょっと.....」
ジャニスが何か言おうとするのを無視してスピードを上げる。
「キャッ、キャーーーーーッ」
ジャニスが盛んに叫ぶ。ちょっと五月蠅い。
「怖いなら眠らせてあげようか?」
「いやよ、それって現実逃避じゃない。私は大嫌いなの。耐えて見せるわよ。」
「そ、そう....。」
ジャニス、顔面蒼白なのに意外に頑固だ。だけどしばらくして大人しくなったなと思ったら気を失っていた。ふむ、流石は皇女。最後まで弱音を吐かなかった。
目的地に近づく頃には夜になっていた。千里眼で探ると何か巨大な生き物が飛んでいる....。ドラ吉??? どうしてここに?
<< ドラ吉~~~~~~。あれ? シロムさんも? >>
<< アーシャ様! 助けて下さい! マークが、マークが死んでしまいます。>>
私の念話が届くや否や、シロムさんが必死に訴えて来る。
<< 何ですって! >>
シロムさんに抱かかえられたマークさんを神力で探ると....毒? しかも危篤状態だ。あわてて治療する。
<< ドラ吉、シロムさん、一体何があったの? >>
と尋ねるが、ドラ吉は詳細を知らないし。シロムさんの説明は今一分からない。マークさんの補足で何とか理解した。龍脈が鉱山の坑道に貫かれて神気が漏れ出しているわけだ。それで鉱山にいた虫が巨大化したらしい。龍脈に神気を流しているのは父さまだから、この事態は私達にも責任がある。これは私が何とかしないと。帰ったら父さまにも文句を言おう。20年間も神気が漏れ出しているのに気付かないなんて迂闊だよ。
とりあえず鉱山からあふれ出した虫は炎の竜巻に引き込んで退治したが、再発防止の方が大変だった。鉱山に潜って龍脈を下に移動させる。龍脈は毛細血管の様に入り組んでいるし、坑道も迷路の様だ。結局朝までかかってしまった。
「それで私についてはどんなことが分かったのかな?」
「それほど沢山の情報はないわ。馬車に曳かれた子供を人々に見られるのも厭わず助けたことから子供好きだということ。だから私が生贄の振りをして祭壇に居れば助けに来るのじゃないかと考えたわけよ。
それ以外には、スカートを穿いていたことと身長が低いことから少女の姿の可能性が高いこと。空を飛び身体を透明化できること。何か月も町に滞在していることから、遊牧民の料理以外も口にするのではないかという推測。短時間に町の城壁を創造したことから神に近い神力を有していること。御子様が城壁を創造すると神殿から前もって宣言があったことから、神官達、少なくとも一部の神官は御子様と連絡が取れることくらいよ。」
身長が低くて悪かったな.....と思ったが、結構的確な情報を摑まれている。恐らくジャニスの兄妹達もこの程度のことは分かっているのだろう。これ以上二葉亭に滞在すると迷惑をかけることになるかもしれない。
「了解よ。優秀な間者さんね。」
「お褒めに預かり光栄に存じますわ。」
この子はさっきまで泣いていたのに早くも立ち直った様だ。
「それで、2番目のお兄さんは何をしているの。」
「直情型のガイラス兄さんと違って、アキュリス兄さんは秘密主義だからね。何かやっているとは思うのだけど情報はないわ。一番の強敵よ。もっとも私は競争から脱落したから、もう敵ですらないわね。」
「そんなにしょげないの。せっかくの人生をつまらない競争に費やすなんて無駄だと思うけどな。」
「すべてを持っている御子様には分からないわよ。」
「すべて?」
「国の事よ。カルロ教国は理想の国だわ。教育、経済、治安、医療、文化のすべてが一級品。軍事力だけはお粗末だけど、これも神が守ってくれていると考えれば防衛面での問題はなし。国民の満足度や国に対する信頼度も最高レベルだわ。私が作りたかった理想の国が既に存在していたなんてね。間者からの報告は驚きの連続だったわ。
本当のことを言うとね、私自身は間者からの報告を聞くまでそれほど皇帝の地位に魅力を感じてなかったの。側近や後ろ盾になってくれている貴族達の手前、やる気のある振りだけはしていたけどね。だって仮に私が皇帝になったとしても色々なしがらみで理想の国何て作れそうになかったから。
だから私にやる気を出させたのはカルロ教国とあなたの存在よ。皇帝になってガニマール帝国をカルロ教国の様な理想の国に変えたかった。そしてそれは貴方の協力が得られれば夢ではないと考えたわけよ。」
「そうなのね....」
「それで私への罰は何なのかしら?」
そう言われると困ってしまう。もともとちょっと脅かしてから解放してあげようと思っていたのだ。なにせまだ10歳なのだから。でもまったく反省してないよね。困ったな.....。もう面倒だからアニルさんのところに送り返そうかな。
そんなことを考えながら再びジャニスを連れて聖なる山に向かって飛び立つ。今度は少しゆっくりと飛んであげた。
だけど、しばらくして微かな神気を感じた。遥か遠くからだが聖なる山の方向ではない。あれほど遠くからの神気を感じるとは、よほど強力な発生源があるはずだ。あんな方向にそんなところがあるなんて父さまから聞いたことが無い。父さまも知らないとしたら放って置くわけにいかない。ここからなら今日中には着ける、行ってみる価値はあるだろう。
「ジャニス、ちょっと寄り道するところが出来たの。飛ばすけど我慢してね。」
「ち、ちょっと.....」
ジャニスが何か言おうとするのを無視してスピードを上げる。
「キャッ、キャーーーーーッ」
ジャニスが盛んに叫ぶ。ちょっと五月蠅い。
「怖いなら眠らせてあげようか?」
「いやよ、それって現実逃避じゃない。私は大嫌いなの。耐えて見せるわよ。」
「そ、そう....。」
ジャニス、顔面蒼白なのに意外に頑固だ。だけどしばらくして大人しくなったなと思ったら気を失っていた。ふむ、流石は皇女。最後まで弱音を吐かなかった。
目的地に近づく頃には夜になっていた。千里眼で探ると何か巨大な生き物が飛んでいる....。ドラ吉??? どうしてここに?
<< ドラ吉~~~~~~。あれ? シロムさんも? >>
<< アーシャ様! 助けて下さい! マークが、マークが死んでしまいます。>>
私の念話が届くや否や、シロムさんが必死に訴えて来る。
<< 何ですって! >>
シロムさんに抱かかえられたマークさんを神力で探ると....毒? しかも危篤状態だ。あわてて治療する。
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と尋ねるが、ドラ吉は詳細を知らないし。シロムさんの説明は今一分からない。マークさんの補足で何とか理解した。龍脈が鉱山の坑道に貫かれて神気が漏れ出しているわけだ。それで鉱山にいた虫が巨大化したらしい。龍脈に神気を流しているのは父さまだから、この事態は私達にも責任がある。これは私が何とかしないと。帰ったら父さまにも文句を言おう。20年間も神気が漏れ出しているのに気付かないなんて迂闊だよ。
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