57 / 102
56. シロム、演台に立つ
しおりを挟む
(シロム視点)
僕は神官長と一緒に大講堂の最奥にある大きな演台に神官長と並んで腰かけ、神官様達が集合するのを待っている。アーシャ様とウィンディーネさんも一緒だ。町から外に出掛けている神官様も入らっしゃるので全員が揃うには時間がかかる。なお遠くの村まで出かけていて戻って来られない神官様には、後で神官長様から説明するそうだ。
大講堂に入って来た神官様達は一応にウィンディーネ様の巨大なお姿を見て目を見張る。僕の傍には本来の大きさに戻ったウィンディーネ様が座っているのだ。この天井の高い大講堂でも窮屈そうに見える。
それでも流石は神官様達、驚きはするが、次の瞬間には神官長様に一礼をして静かに席についていかれる。アーシャ様は神気を抑えておられるから正体に気付く人は少ないが、僕も含めて神官長様の傍にいるのは何者かと訝しがっているだろう。少数の例外を除いて。
「すげーな! 今度は何をやったんだ?」
僕の親友マークの言葉だ。今回は神官様達だけでなく、神官候補生も特別に呼ばれている。神官候補生もウィンディーネ様を見ることが出来るから、話を合わせて置く必要があるわけだ。
「分かりにくいですが、巨人の発している気は神気とは違いますね。神様ではない様ですね。」
「でも人ではないのも確かね。ひょっとして精霊様?」
これはカリーナとカーナだ。この2人も入室した途端に目が点になっていた。
「ま、まあ。後で話すから....。」
と言って何とか席に座ってもらう。
「それでは始めようかの。」
しばらくして神官長様がそう口にすると、部屋の中のざわめきが静まる。今日出席予定の神官様が全員集まった様だ。
「神の信頼厚き神官の諸君、よく集まってくれた。今日はカルロ教国の歴史にとって記念すべき日となろう。聖なる山の神様のご加護が更にひとつ加えられた。神の命を受けドラゴンに乗って旅立たれた預言者様がその役目を果たされ帰還されたのだ。今後はこの町に留まり神と人間の仲介役として我々を助けて下さる。」
神官長様がここで言葉を区切った途端、ざわざわという話声が大講堂中に広がった。全員が僕とアーシャ様を注視している。怖い....。トイレに行っとけばよかった。
「預言者様?」
「まさか、あの子達が?」
「まだ子供じゃないか。」
「本当だとしたらすごいじゃないか。あの歳で神の命を果たしたのだぞ。」
「でも本当かしら? 帰還されたと言うけれど、それなら誰かドラゴンを見ているはずじゃない?」
「神官長様が仰っているんだ、間違いないさ。」
「でも万が一偽物だったら....。」
色々なざわめきが聞こえる.....中には疑っている人もいるみたいだ。
「ここにいるシロム殿がその預言者様じゃ。シロム殿はまだ神官候補生じゃが、供物の間で神と話をして預言者の杖を授けられ、行方不明となっていた御子様を連れ帰るという命を与えられた.......」
と神官長が続け、さらに僕の旅での行動について話に移る。
「という成り行きでな、御子様は一足先に聖なる山へ帰還され、シロム殿はマークと共にドラゴンに乗って帰還された。皆がドラゴンを見なかったのは町の者を驚かさないために町の外に降りられて歩いて帰還されたからじゃ。」
「それでは、預言者シロム殿から一言お言葉を頂けますかな。」
神官長様が僕に呼びかける。恐れていた物が来た.....。言われるかなとは思って、言う事を考えてはいたけれど、僕にこれだけの人数を前に話をする度胸なんてあるはずがない。立ち上がった途端、頭が真っ白になって、用意していた言葉が全く浮かんでこない。どうしよう.....。
「あの...」
「神官長さん、その前に私から神官の皆様にご挨拶させてもらって良いかしら?」
「御子様、もちろんでございます。」
神官長がそう返した途端、アーシャ様の神気が膨れ上がる。神官様達が息を飲むのが分かる。アーシャ様は僕にウィンクしてから演台の一番前に進み語り始めた。
「神官の皆様、初めまして。私は聖なる山の神の娘アーシャです。......どうかそのままお聞きください。」
アーシャ様の最後の言葉は、何人かの神官様が跪こうと椅子から立ち上がったからだ。
アーシャ様は皆が再び着席するまで待ってから話を続ける。
「日々神を敬い、神の思いを汲み取りその実現に尽力して下さりありがとうございます。私は100年前から父よりこの国への加護を任されています。その役目を果たす上でも皆さまにはいつも感謝しております。この国に他のどの国より幸せを感じる人が多いのも皆さんのお陰です。さて、今日私がここに来させて頂いたのは、カルロさんに次ぐ2人目の預言者をご紹介するためです。」
ここで言葉を区切ったアーシャ様は、僕を手招きして自分の横に立たせる。
「皆さん、こちらが私の自慢の預言者シロムさんです。シロムさんはまだ学生ですが、先ほど神官長さんから紹介された様に数々の冒険を体験し、父や私の様な神だけでなく精霊からも愛されています。後ろに居られる水の大精霊ウィンディーネさんもシロムさんを慕っている精霊のおひとりです。ウィンディーネさんはシロムさんと契約されており、この町に滞在することになります。きっとシロムさんの意思に沿ってこの町の守りとなってくれるでしょう。」
その後はウィンディーネ様も挨拶をされ、結局僕が発言したのは
「シ、シロムです。よろしくお願いします。」
だけだった。アーシャ様のお心遣いに心から感謝した。
その後は神官長主導の元、僕やウィンディーネ様について幾つかの取り決めが決められた。ウィンディーネ様の希望どおり、泉の広場の泉の上はウィンディーネ様の滞在場所として認められた。ただし人々を驚かさない様に実体化を解いてという条件が付いたが、これは身体を小さくするのと違って特に努力は不要らしいので問題ないだろう。
それと僕が預言者であると言うのは、とりあえず僕が学生の間は神官だけの秘密にしてくれることになった。あとわずか半年足らずの期間だが、とりあえず肩の荷が下りた思いだ。
その半年の間に、神殿では僕の執務室が増設される。学校を卒業した後は、そこが僕の仕事場になるわけだ。
僕は神官長と一緒に大講堂の最奥にある大きな演台に神官長と並んで腰かけ、神官様達が集合するのを待っている。アーシャ様とウィンディーネさんも一緒だ。町から外に出掛けている神官様も入らっしゃるので全員が揃うには時間がかかる。なお遠くの村まで出かけていて戻って来られない神官様には、後で神官長様から説明するそうだ。
大講堂に入って来た神官様達は一応にウィンディーネ様の巨大なお姿を見て目を見張る。僕の傍には本来の大きさに戻ったウィンディーネ様が座っているのだ。この天井の高い大講堂でも窮屈そうに見える。
それでも流石は神官様達、驚きはするが、次の瞬間には神官長様に一礼をして静かに席についていかれる。アーシャ様は神気を抑えておられるから正体に気付く人は少ないが、僕も含めて神官長様の傍にいるのは何者かと訝しがっているだろう。少数の例外を除いて。
「すげーな! 今度は何をやったんだ?」
僕の親友マークの言葉だ。今回は神官様達だけでなく、神官候補生も特別に呼ばれている。神官候補生もウィンディーネ様を見ることが出来るから、話を合わせて置く必要があるわけだ。
「分かりにくいですが、巨人の発している気は神気とは違いますね。神様ではない様ですね。」
「でも人ではないのも確かね。ひょっとして精霊様?」
これはカリーナとカーナだ。この2人も入室した途端に目が点になっていた。
「ま、まあ。後で話すから....。」
と言って何とか席に座ってもらう。
「それでは始めようかの。」
しばらくして神官長様がそう口にすると、部屋の中のざわめきが静まる。今日出席予定の神官様が全員集まった様だ。
「神の信頼厚き神官の諸君、よく集まってくれた。今日はカルロ教国の歴史にとって記念すべき日となろう。聖なる山の神様のご加護が更にひとつ加えられた。神の命を受けドラゴンに乗って旅立たれた預言者様がその役目を果たされ帰還されたのだ。今後はこの町に留まり神と人間の仲介役として我々を助けて下さる。」
神官長様がここで言葉を区切った途端、ざわざわという話声が大講堂中に広がった。全員が僕とアーシャ様を注視している。怖い....。トイレに行っとけばよかった。
「預言者様?」
「まさか、あの子達が?」
「まだ子供じゃないか。」
「本当だとしたらすごいじゃないか。あの歳で神の命を果たしたのだぞ。」
「でも本当かしら? 帰還されたと言うけれど、それなら誰かドラゴンを見ているはずじゃない?」
「神官長様が仰っているんだ、間違いないさ。」
「でも万が一偽物だったら....。」
色々なざわめきが聞こえる.....中には疑っている人もいるみたいだ。
「ここにいるシロム殿がその預言者様じゃ。シロム殿はまだ神官候補生じゃが、供物の間で神と話をして預言者の杖を授けられ、行方不明となっていた御子様を連れ帰るという命を与えられた.......」
と神官長が続け、さらに僕の旅での行動について話に移る。
「という成り行きでな、御子様は一足先に聖なる山へ帰還され、シロム殿はマークと共にドラゴンに乗って帰還された。皆がドラゴンを見なかったのは町の者を驚かさないために町の外に降りられて歩いて帰還されたからじゃ。」
「それでは、預言者シロム殿から一言お言葉を頂けますかな。」
神官長様が僕に呼びかける。恐れていた物が来た.....。言われるかなとは思って、言う事を考えてはいたけれど、僕にこれだけの人数を前に話をする度胸なんてあるはずがない。立ち上がった途端、頭が真っ白になって、用意していた言葉が全く浮かんでこない。どうしよう.....。
「あの...」
「神官長さん、その前に私から神官の皆様にご挨拶させてもらって良いかしら?」
「御子様、もちろんでございます。」
神官長がそう返した途端、アーシャ様の神気が膨れ上がる。神官様達が息を飲むのが分かる。アーシャ様は僕にウィンクしてから演台の一番前に進み語り始めた。
「神官の皆様、初めまして。私は聖なる山の神の娘アーシャです。......どうかそのままお聞きください。」
アーシャ様の最後の言葉は、何人かの神官様が跪こうと椅子から立ち上がったからだ。
アーシャ様は皆が再び着席するまで待ってから話を続ける。
「日々神を敬い、神の思いを汲み取りその実現に尽力して下さりありがとうございます。私は100年前から父よりこの国への加護を任されています。その役目を果たす上でも皆さまにはいつも感謝しております。この国に他のどの国より幸せを感じる人が多いのも皆さんのお陰です。さて、今日私がここに来させて頂いたのは、カルロさんに次ぐ2人目の預言者をご紹介するためです。」
ここで言葉を区切ったアーシャ様は、僕を手招きして自分の横に立たせる。
「皆さん、こちらが私の自慢の預言者シロムさんです。シロムさんはまだ学生ですが、先ほど神官長さんから紹介された様に数々の冒険を体験し、父や私の様な神だけでなく精霊からも愛されています。後ろに居られる水の大精霊ウィンディーネさんもシロムさんを慕っている精霊のおひとりです。ウィンディーネさんはシロムさんと契約されており、この町に滞在することになります。きっとシロムさんの意思に沿ってこの町の守りとなってくれるでしょう。」
その後はウィンディーネ様も挨拶をされ、結局僕が発言したのは
「シ、シロムです。よろしくお願いします。」
だけだった。アーシャ様のお心遣いに心から感謝した。
その後は神官長主導の元、僕やウィンディーネ様について幾つかの取り決めが決められた。ウィンディーネ様の希望どおり、泉の広場の泉の上はウィンディーネ様の滞在場所として認められた。ただし人々を驚かさない様に実体化を解いてという条件が付いたが、これは身体を小さくするのと違って特に努力は不要らしいので問題ないだろう。
それと僕が預言者であると言うのは、とりあえず僕が学生の間は神官だけの秘密にしてくれることになった。あとわずか半年足らずの期間だが、とりあえず肩の荷が下りた思いだ。
その半年の間に、神殿では僕の執務室が増設される。学校を卒業した後は、そこが僕の仕事場になるわけだ。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~
namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。
かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。
海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。
そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。
それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。
そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。
対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。
「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」
アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。
ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。
やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。
揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
『悪役令嬢』は始めません!
月親
恋愛
侯爵令嬢アデリシアは、日本から異世界転生を果たして十八年目になる。そんな折、ここ数年ほど抱いてきた自身への『悪役令嬢疑惑』が遂に確信に変わる出来事と遭遇した。
突き付けられた婚約破棄、別の女性と愛を語る元婚約者……前世で見かけたベタ過ぎる展開。それを前にアデリシアは、「これは悪役令嬢な自分が逆ざまぁする方の物語では」と判断。
と、そこでアデリシアはハッとする。今なら自分はフリー。よって、今まで想いを秘めてきた片想いの相手に告白できると。
アデリシアが想いを寄せているレンは平民だった。それも二十も年上で子持ちの元既婚者という、これから始まると思われる『悪役令嬢物語』の男主人公にはおよそ当て嵌まらないだろう人。だからレンに告白したアデリシアに在ったのは、ただ彼に気持ちを伝えたいという思いだけだった。
ところがレンから来た返事は、「今日から一ヶ月、僕と秘密の恋人になろう」というものだった。
そこでアデリシアは何故『一ヶ月』なのかに思い至る。アデリシアが暮らすローク王国は、婚約破棄をした者は一ヶ月、新たな婚約を結べない。それを逆手に取れば、確かにその間だけであるならレンと恋人になることが可能だと。
アデリシアはレンの提案に飛び付いた。
そして、こうなってしまったからには悪役令嬢の物語は始めないようにすると誓った。だってレンは男主人公ではないのだから。
そんなわけで、自分一人で立派にざまぁしてみせると決意したアデリシアだったのだが――
※この作品は、『小説家になろう』様でも公開しています。
王子様とずっと一緒にいる方法
秋月真鳥
恋愛
五歳のわたくし、フィーネは姉と共に王宮へ。
そこで出会ったのは、襲われていた六歳の王太子殿下。
「フィーネ・エルネスト、助太刀します! お覚悟ー!」
身長を超える大剣で暗殺者を一掃したら、王子様の学友になっちゃった!
「フィーネ嬢、わたしと過ごしませんか?」
「王子様と一緒にいられるの!?」
毎日お茶して、一緒にお勉強して。
姉の恋の応援もして。
王子様は優しくて賢くて、まるで絵本の王子様みたい。
でも、王子様はいつか誰かと結婚してしまう。
そうしたら、わたくしは王子様のそばにいられなくなっちゃうの……?
「ずっとわたしと一緒にいる方法があると言ったら、フィーネ嬢はどうしますか?」
え? ずっと一緒にいられる方法があるの!?
――これは、五歳で出会った二人が、時間をかけて育む初恋の物語。
彼女はまだ「恋」を知らない。けれど、彼はもう決めている――。
※貧乏子爵家の天真爛漫少女×策略王子の、ほのぼのラブコメです。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる