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72. カリトラス大神の来襲
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(アーシャ視点)
ウィンディーネさんを神器から救い出してから数か月が経った。既に準備万端、いつカリトラス大神がカルロの町にやって来ても大丈夫だ。むしろ早く来て欲しい、そうでないと町で美味しい料理を食べ歩きすることも出来ない。
可哀そうなのはシロムさんだ。夏休みが終わっても学校に戻ることが出来ず、今は神殿でいつでも出動出来る様に私と一緒に待機している。申し訳ないので、私がキルクール先生に代わってシロムさんを教えることにした。これで学校の授業も受けたことにしてくれるらしい。ちょっと御子権限の使い過ぎと言う気もするが、教える内容についてはちゃんと学校の教科書に沿っているから大丈夫だろう。それに人間達が知らないことも教えてあげられる。シロムさんは一生懸命聞いてくれるから私もやり甲斐がある。
そして、今日ついに国境の見張りをしてくれていたウィンディーネさん配下の精霊から連絡があった。エリアスさんと同じローブを着た一団がカルロ教国に入った様だ。後数日でカルロの町までやって来るだろう。神官長にも連絡したが、町に入っても特別な事はしない様に申し渡してある。カリトラス大神の狙いは神器を持ち去った(と思っている)ウィンディーネさんとシロムさんだ。下手に手をだして怪我人が出ては困る。
カリトラス大神にとっては、沢山の人間の中から名前も知らないシロムさんを探し出すのは難しいだろうから、狙うとすれは泉の広場に居るという噂が広まっている巨大な精霊ウィンディーネさんのはずだ。必ず泉の広場に来るだろう。
泉の広場は現在立ち入り禁止にしてもらっている。広場に来ることを楽しみにしていた町の人達や巡礼者の人達には申し訳ないが怪我人を出さないための処置だ。もっとも4か所ある広場の出入り口は兵士によって塞がれているが、広場は低い柵で囲まれているだけだから入ろうと思えば入ることが出来る。もちろん町の人達は兵士に捕まる危険を冒してまでそんなことはしないだろうが、カリトラス大神は違う。必ずや広場にやって来るはずだ。
知らせを受けた日から、私とシロムさんは泉の広場にテントを張って泊まり込み、ウィンディーネさんには泉の上で実体化してもらう。敵をここに誘導するための囮だ。
食事は持って来た食材を使ってシロムさんが作ってくれる。シロムさんが作るチーカ料理は中々のものだ。小さい時からロンさんに付いて修行してきたらしい。師匠であるロンさんにはかなわないけど、値段次第では立派に商売になると思う。
そして5日目の夜、遂に彼らが現われたのだった。
(シロム視点)
<< シロム、起きるのだ、奴らが来たぞ。>>
聖なる山の神様の念話が頭に響いて飛び起きた。テントから外に出ると、アーシャ様も隣のテントから出て来られるところだった。周りは真っ暗だが、杖を出して千里眼を使えば夜でも行動に不自由はない。
僕達は音を立てない様に注意しながら、近くにある聖なる岩の傍に移動した。この岩は先日ウィンディーネ様が見つけて下さったものだ。そして次の瞬間、周りの景色が一変する。聖なる山の神様が泉の広場にいた全員を聖なる岩を通して神域に一気に移動させたのだ。
着いたのは以前神と精霊のデュエルでゴリアスさんと戦った石畳みの広場だ。驚いたことに広場には精霊王様も控えて下さっている。それに夜なのに昼間の様に明るい。僕達はここで漸く敵と対面することになった。
敵は10名、全員が黒いローブを羽織りフードを被っている。それぞれが色々な神器らしきものを背負っている。
「罠だ! 全員戦闘態勢を取れ。」
1人が叫ぶと、全員がひと塊になって、神器をこちらに向ける。
「痴漢男よ!」
1人が僕を見て大きな声で叫んだ。たぶんこの前僕が裸にしてしまった女性の1人だろう。それにしても痴漢男とは人聞きの悪いことを...。
そして僕達を狙った神器が作動する直前、全員が突然地面に出来た影に落ち込んだ。チーアルの影だ。
敵は首まで影に埋まった。神器は影の外に残ったままだからこれで僕達を攻撃することは出来ないはずだ。
「キャーッ、何よこれ!」
「助けて! 犯される!」
「こんな奴が初体験なんて嫌! 死んだ方がまし。」
「変態! あっちへ行け!」
聞いていると泣きたくなって来た。だが次の瞬間、影がはじけ飛んだ。
「少しは骨のある相手が居る様ね。行くわよカルミ、ラルミ、トルミ!」
「「はい、お姉さま」」
「気を付けて、相手は神が3体に精霊が1体、1対1でやるわよ。」
「 「 「了解」 」 」
神が3体? 僕まで神と見なされている。それにカリトラス大神が4人もいるなんて想定外だ。元々の計画では僕は戦力外として傍観役だったはずなのだ。ここに居るのはウィンディーネ様を囮とするには精霊契約をしている僕が近くに居る必要があったからで....。とんでもない誤解だが訂正している余裕はなさそうだ。すぐに僕に向かっても攻撃がやって来た。
相手の1人から強力な炎が僕に向かって噴き出す。僕は杖を使って結界を張りながら逃げる。炎が僕を掠めるが結界のお陰で被害はない。ホッとするのと同時に相手に無数とも見える氷の槍が降り注ぐ。やったのは僕じゃない。ウィンディーネ様だ。
実はウィンディーネ様とチーアルは僕の精神世界に入っている。ウィンディーネ様が神器に閉じ込められたことへの用心だ。神器は人間には影響を与えない、だから精神世界の中に入っていれば神器を恐れる必要がない。それに五感を共有すれば外の状況も分かるから、普段より威力は落ちるがさっきの氷の槍の様に敵を攻撃することも可能らしい。
尤も相手も強い。ウィンディーネ様の落とした氷の槍は結界に阻まれ効果がない。カニアールさんはカリトラス大神は偽の神だといっていたが、とんでもない力を持っていることは間違いない。
ウィンディーネさんを神器から救い出してから数か月が経った。既に準備万端、いつカリトラス大神がカルロの町にやって来ても大丈夫だ。むしろ早く来て欲しい、そうでないと町で美味しい料理を食べ歩きすることも出来ない。
可哀そうなのはシロムさんだ。夏休みが終わっても学校に戻ることが出来ず、今は神殿でいつでも出動出来る様に私と一緒に待機している。申し訳ないので、私がキルクール先生に代わってシロムさんを教えることにした。これで学校の授業も受けたことにしてくれるらしい。ちょっと御子権限の使い過ぎと言う気もするが、教える内容についてはちゃんと学校の教科書に沿っているから大丈夫だろう。それに人間達が知らないことも教えてあげられる。シロムさんは一生懸命聞いてくれるから私もやり甲斐がある。
そして、今日ついに国境の見張りをしてくれていたウィンディーネさん配下の精霊から連絡があった。エリアスさんと同じローブを着た一団がカルロ教国に入った様だ。後数日でカルロの町までやって来るだろう。神官長にも連絡したが、町に入っても特別な事はしない様に申し渡してある。カリトラス大神の狙いは神器を持ち去った(と思っている)ウィンディーネさんとシロムさんだ。下手に手をだして怪我人が出ては困る。
カリトラス大神にとっては、沢山の人間の中から名前も知らないシロムさんを探し出すのは難しいだろうから、狙うとすれは泉の広場に居るという噂が広まっている巨大な精霊ウィンディーネさんのはずだ。必ず泉の広場に来るだろう。
泉の広場は現在立ち入り禁止にしてもらっている。広場に来ることを楽しみにしていた町の人達や巡礼者の人達には申し訳ないが怪我人を出さないための処置だ。もっとも4か所ある広場の出入り口は兵士によって塞がれているが、広場は低い柵で囲まれているだけだから入ろうと思えば入ることが出来る。もちろん町の人達は兵士に捕まる危険を冒してまでそんなことはしないだろうが、カリトラス大神は違う。必ずや広場にやって来るはずだ。
知らせを受けた日から、私とシロムさんは泉の広場にテントを張って泊まり込み、ウィンディーネさんには泉の上で実体化してもらう。敵をここに誘導するための囮だ。
食事は持って来た食材を使ってシロムさんが作ってくれる。シロムさんが作るチーカ料理は中々のものだ。小さい時からロンさんに付いて修行してきたらしい。師匠であるロンさんにはかなわないけど、値段次第では立派に商売になると思う。
そして5日目の夜、遂に彼らが現われたのだった。
(シロム視点)
<< シロム、起きるのだ、奴らが来たぞ。>>
聖なる山の神様の念話が頭に響いて飛び起きた。テントから外に出ると、アーシャ様も隣のテントから出て来られるところだった。周りは真っ暗だが、杖を出して千里眼を使えば夜でも行動に不自由はない。
僕達は音を立てない様に注意しながら、近くにある聖なる岩の傍に移動した。この岩は先日ウィンディーネ様が見つけて下さったものだ。そして次の瞬間、周りの景色が一変する。聖なる山の神様が泉の広場にいた全員を聖なる岩を通して神域に一気に移動させたのだ。
着いたのは以前神と精霊のデュエルでゴリアスさんと戦った石畳みの広場だ。驚いたことに広場には精霊王様も控えて下さっている。それに夜なのに昼間の様に明るい。僕達はここで漸く敵と対面することになった。
敵は10名、全員が黒いローブを羽織りフードを被っている。それぞれが色々な神器らしきものを背負っている。
「罠だ! 全員戦闘態勢を取れ。」
1人が叫ぶと、全員がひと塊になって、神器をこちらに向ける。
「痴漢男よ!」
1人が僕を見て大きな声で叫んだ。たぶんこの前僕が裸にしてしまった女性の1人だろう。それにしても痴漢男とは人聞きの悪いことを...。
そして僕達を狙った神器が作動する直前、全員が突然地面に出来た影に落ち込んだ。チーアルの影だ。
敵は首まで影に埋まった。神器は影の外に残ったままだからこれで僕達を攻撃することは出来ないはずだ。
「キャーッ、何よこれ!」
「助けて! 犯される!」
「こんな奴が初体験なんて嫌! 死んだ方がまし。」
「変態! あっちへ行け!」
聞いていると泣きたくなって来た。だが次の瞬間、影がはじけ飛んだ。
「少しは骨のある相手が居る様ね。行くわよカルミ、ラルミ、トルミ!」
「「はい、お姉さま」」
「気を付けて、相手は神が3体に精霊が1体、1対1でやるわよ。」
「 「 「了解」 」 」
神が3体? 僕まで神と見なされている。それにカリトラス大神が4人もいるなんて想定外だ。元々の計画では僕は戦力外として傍観役だったはずなのだ。ここに居るのはウィンディーネ様を囮とするには精霊契約をしている僕が近くに居る必要があったからで....。とんでもない誤解だが訂正している余裕はなさそうだ。すぐに僕に向かっても攻撃がやって来た。
相手の1人から強力な炎が僕に向かって噴き出す。僕は杖を使って結界を張りながら逃げる。炎が僕を掠めるが結界のお陰で被害はない。ホッとするのと同時に相手に無数とも見える氷の槍が降り注ぐ。やったのは僕じゃない。ウィンディーネ様だ。
実はウィンディーネ様とチーアルは僕の精神世界に入っている。ウィンディーネ様が神器に閉じ込められたことへの用心だ。神器は人間には影響を与えない、だから精神世界の中に入っていれば神器を恐れる必要がない。それに五感を共有すれば外の状況も分かるから、普段より威力は落ちるがさっきの氷の槍の様に敵を攻撃することも可能らしい。
尤も相手も強い。ウィンディーネ様の落とした氷の槍は結界に阻まれ効果がない。カニアールさんはカリトラス大神は偽の神だといっていたが、とんでもない力を持っていることは間違いない。
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