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73. カリトラス大神の正体
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(シロム視点)
「中々やるわね、痴漢男。」
相手が僕に呼びかける。相変わらずの痴漢呼ばわりにまた泣きたくなった。
「痴漢じゃありません。」
と言い返すが反応はない。フードで顔が見えないが声からして女性の様だ。
<< ご主人様、気を散らしてはなりません。>>
<< そうよ、相手に集中して! >>
ウィンディーネ様とチーアルから念話が入る。
次の瞬間赤い光が僕を襲う。細く細く収束された赤い光は結界を貫き僕を襲うが、意外にもダメージはない。
「くそ、神のくせに身体を持っているのか! 何者だ? 」
そう聞かれたが、敵に情報を渡す必要はない。あの赤い光はウィンディーネ様が閉じ込められた神器と同様、人間には効果がない様だ。
だが次の瞬間地面から足が浮いた。僕は結界ごと持ち上げられ石畳みの床に叩きつけられた。石畳に大きくひびが入いる。結界を張っているのに身体中に激痛が走った。骨が何本か折れた様だ。
何が起きたのか理解できないが、ウィンディーネ様が即座に僕の身体を回復させてくれた。
「ひゃゃゃゃゃゃ~~~~~!」
恐怖にかられた僕は悲鳴を上げながらめくら滅法に走り出した。
「逃げるな! 卑怯者!」
敵が大声で呼ばわり、ますます恐怖が脹らむ。敵から放たれる炎や雷を避けながら僕は走り回った。幸い走り回っているからか石畳みに叩きつけられることもない。いつもの僕からは考えられないスピードだ、火事場のバカ力というやつだろう。
<< ご主人様、落ち着いて下さい。>>
<< シロム、敵に背を向けていたら攻撃出来ない。>>
ウィンディーネ様とチーアルが呼びかけて来るが、僕は完全にパニックになっていた。
だが不意に攻撃が止んだ。不思議に思って周りを見て納得した。僕の近くにカリトラス大神の仲間達がひと塊に固まって震えていたのだ。
おそらくこの人達はエリアスさんと同じ巫女でただの人間だ。結界が無ければ攻撃を受けたらひとたまりもない。攻撃が止んだのはこの人達を巻き込まないためだろう。
その時上空から巨大な炎の塊が落下して来るのが見えた。あの人達が危ない! 僕は巫女達に夢中で駆け寄り、結界を精一杯の大きさに広げて彼女達を包み込んだ。
ドガーーーーン!!!
炎が爆発するが結界のお陰で彼女達は無事だ。ホッとした瞬間、僕の胸に1本の矢が深々と突き刺さった。薄れゆく意識の中で、巫女の1人が僕に向かって弓を構えているのが見えた。おそらく彼女が矢を放ったのだ。
「シロム!!! 目を覚ますのよ!」
「チーアル?」
目を開けると僕の精神世界だった。
「早く! ウィンディーネ様がシロムを守るために外に出られたの。ウィンディーネ様が危ない。」
外に出られた!? 不味い、今回の敵はウィンディーネ様と相性が悪いのだ。
精神世界から戻ると僕はウィンディーネ様に抱かかえられていた。胸に刺さった矢は無くなっていて痛みもない。ウィンディーネ様が回復させてくれたのだろう。
「ウィンディ......」
と話しかけようとして言葉が途切れた。ウィンディーネ様の顔が苦痛に歪んでいる。そして周りにはウィンディーネ様の身体が分解した妖精が無数に飛び回っていた。目の前でウィンディーネ様がどんどん縮んで行くのが分かる。もう僕と同じくらいの大きさだ。敵の攻撃を受けながら僕を治療してくれたのだ!
僕は咄嗟にウィンディーネ様の肩越しに見えた敵に炎を放った。弱い炎だが効果はあった。恐らく敵はウィンディーネ様を攻撃するために防御が疎かになっていたのだろう。僕の放った炎は敵を直撃し一瞬でローブが燃え上がった。
敵の攻撃が止み、周りを飛び回っていた妖精達がウィンディーネ様の本体に戻って行く。それに連れてウィンディーネ様の身体が元の大きさに膨れ上がる。
「おのれ!」
敵が叫び声と共に炎を上げるローブを脱ぎ捨てた。声から推測したとおり若い女性だ。銀色の巻き毛を短く切り揃え、青く鋭い瞳で僕を睨んでいる。意思の強さを表す口元に不適な笑みが浮かんでいた。青みを帯びた肌、そして何より驚いたのはその頭部には羊に似た角が2本生えていることだ。尤も髪の毛は炎のために縮れ、ローブの下に来ていた服も所々穴が開いて結構悩ましい姿になっている。幸い穴から覗く肌に火傷はない。自分で治療したのだろう。
「身体の中に精霊を飼っているとはな...お前は神ではないな。」
「ぼ、僕は人間です。それに飼っているのではありません、契約しているのです。」
「何と人間か!? これは驚いた。人間が私と互角に渡り合うとはな...。私はカルミ、見ての通り魔族だ。精霊に神器を奪われたと聞いてやって来たが罠だった様だな。こうなったら1人でも多く道連れにして滅ぶのみ。」
魔族? 魔族って何だったっけ....。
「待って下さい。どうしても戦わないといけないのですか?」
「問答無用!」
やはり戦いは避けられないらしい...。
「ウィンディーネさん、僕の身体の中へ!」
次の瞬間、僕は砂漠の中に立っていた。直ぐにチーアルが駆けつけて来る。と言う事はここは僕の精神世界!
そして目の前に魔族のカルミさんが居た。どうやって僕の精神世界のなかへ???
「中々やるわね、痴漢男。」
相手が僕に呼びかける。相変わらずの痴漢呼ばわりにまた泣きたくなった。
「痴漢じゃありません。」
と言い返すが反応はない。フードで顔が見えないが声からして女性の様だ。
<< ご主人様、気を散らしてはなりません。>>
<< そうよ、相手に集中して! >>
ウィンディーネ様とチーアルから念話が入る。
次の瞬間赤い光が僕を襲う。細く細く収束された赤い光は結界を貫き僕を襲うが、意外にもダメージはない。
「くそ、神のくせに身体を持っているのか! 何者だ? 」
そう聞かれたが、敵に情報を渡す必要はない。あの赤い光はウィンディーネ様が閉じ込められた神器と同様、人間には効果がない様だ。
だが次の瞬間地面から足が浮いた。僕は結界ごと持ち上げられ石畳みの床に叩きつけられた。石畳に大きくひびが入いる。結界を張っているのに身体中に激痛が走った。骨が何本か折れた様だ。
何が起きたのか理解できないが、ウィンディーネ様が即座に僕の身体を回復させてくれた。
「ひゃゃゃゃゃゃ~~~~~!」
恐怖にかられた僕は悲鳴を上げながらめくら滅法に走り出した。
「逃げるな! 卑怯者!」
敵が大声で呼ばわり、ますます恐怖が脹らむ。敵から放たれる炎や雷を避けながら僕は走り回った。幸い走り回っているからか石畳みに叩きつけられることもない。いつもの僕からは考えられないスピードだ、火事場のバカ力というやつだろう。
<< ご主人様、落ち着いて下さい。>>
<< シロム、敵に背を向けていたら攻撃出来ない。>>
ウィンディーネ様とチーアルが呼びかけて来るが、僕は完全にパニックになっていた。
だが不意に攻撃が止んだ。不思議に思って周りを見て納得した。僕の近くにカリトラス大神の仲間達がひと塊に固まって震えていたのだ。
おそらくこの人達はエリアスさんと同じ巫女でただの人間だ。結界が無ければ攻撃を受けたらひとたまりもない。攻撃が止んだのはこの人達を巻き込まないためだろう。
その時上空から巨大な炎の塊が落下して来るのが見えた。あの人達が危ない! 僕は巫女達に夢中で駆け寄り、結界を精一杯の大きさに広げて彼女達を包み込んだ。
ドガーーーーン!!!
炎が爆発するが結界のお陰で彼女達は無事だ。ホッとした瞬間、僕の胸に1本の矢が深々と突き刺さった。薄れゆく意識の中で、巫女の1人が僕に向かって弓を構えているのが見えた。おそらく彼女が矢を放ったのだ。
「シロム!!! 目を覚ますのよ!」
「チーアル?」
目を開けると僕の精神世界だった。
「早く! ウィンディーネ様がシロムを守るために外に出られたの。ウィンディーネ様が危ない。」
外に出られた!? 不味い、今回の敵はウィンディーネ様と相性が悪いのだ。
精神世界から戻ると僕はウィンディーネ様に抱かかえられていた。胸に刺さった矢は無くなっていて痛みもない。ウィンディーネ様が回復させてくれたのだろう。
「ウィンディ......」
と話しかけようとして言葉が途切れた。ウィンディーネ様の顔が苦痛に歪んでいる。そして周りにはウィンディーネ様の身体が分解した妖精が無数に飛び回っていた。目の前でウィンディーネ様がどんどん縮んで行くのが分かる。もう僕と同じくらいの大きさだ。敵の攻撃を受けながら僕を治療してくれたのだ!
僕は咄嗟にウィンディーネ様の肩越しに見えた敵に炎を放った。弱い炎だが効果はあった。恐らく敵はウィンディーネ様を攻撃するために防御が疎かになっていたのだろう。僕の放った炎は敵を直撃し一瞬でローブが燃え上がった。
敵の攻撃が止み、周りを飛び回っていた妖精達がウィンディーネ様の本体に戻って行く。それに連れてウィンディーネ様の身体が元の大きさに膨れ上がる。
「おのれ!」
敵が叫び声と共に炎を上げるローブを脱ぎ捨てた。声から推測したとおり若い女性だ。銀色の巻き毛を短く切り揃え、青く鋭い瞳で僕を睨んでいる。意思の強さを表す口元に不適な笑みが浮かんでいた。青みを帯びた肌、そして何より驚いたのはその頭部には羊に似た角が2本生えていることだ。尤も髪の毛は炎のために縮れ、ローブの下に来ていた服も所々穴が開いて結構悩ましい姿になっている。幸い穴から覗く肌に火傷はない。自分で治療したのだろう。
「身体の中に精霊を飼っているとはな...お前は神ではないな。」
「ぼ、僕は人間です。それに飼っているのではありません、契約しているのです。」
「何と人間か!? これは驚いた。人間が私と互角に渡り合うとはな...。私はカルミ、見ての通り魔族だ。精霊に神器を奪われたと聞いてやって来たが罠だった様だな。こうなったら1人でも多く道連れにして滅ぶのみ。」
魔族? 魔族って何だったっけ....。
「待って下さい。どうしても戦わないといけないのですか?」
「問答無用!」
やはり戦いは避けられないらしい...。
「ウィンディーネさん、僕の身体の中へ!」
次の瞬間、僕は砂漠の中に立っていた。直ぐにチーアルが駆けつけて来る。と言う事はここは僕の精神世界!
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