新米女神トモミの奮闘記

広野香盃

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第1章 惑星ルーテシア編

9. 再会

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 メイドさんに案内されて到着したのは、最上階にある豪華な部屋だった。ここに来たとき最初に宿泊した客室よりさらに大きい。

 「こちらが女神様の為に用意されているお部屋でございます。 こちらでお待ちください。ハルト様も後程こちらに来られると思います。只今お茶をお煎れします。」

 メイドさんは私をソファーに座らせると、お茶の用意を始めながら話を続けた。

 「さすがは女神様です、感服いたしました。これで女神様の存在を疑う者はいなくなるでしょう。」

 疑う人がいたんだね。まあ、当然だけど。自分でもあんなことが出来たなんて信じられないからね。

 それからメイドさんはお茶の入ったカップをもって私の傍により、言い難そうに囁いた。

 「女神様、不遜な発言をお許しください。女神様の魂なのですが、神々しいお姿を皆にお見せになっておられますが、あまりの神々しさ故に不徳なことを考える者もおるかもしれません。ご無礼にならなければよろしいのですが....。」

 魂? 神々しい? 何のことと思って気付いた。私の魂は人型を取っている。それも細部まで作り込まれた私の姿....服は着ていない。しかもとっても大きい、3階建てのビルくらいある、遠くからでも良く見える。
 私はとてつもなく恐ろしい事実に直面した。

 「あの~、メイドさんは私の魂が見えるんですね。」

 「はい、私の様に魔力に関する感受性が高いものは他人の魂を視ることが出来ます。 それほど多くはありませんが、私の様なものは100人にひとりくらいおりますでしょうか。」

 100人にひとり! 先ほどから私は何百人の人に注目されただろうか。魔力に感受性が高い人の割合から考えて、確実に片手では足りない人に私の魂を見られたことになる。 一気に冷や汗が噴き出した。穴が有ったら入りたい、いや誰か私を埋めてくれ~~~。

 頭を抱えて落ち込む私を、メイドさんが励ます様な目で見つめていた。

 恥ずかしさのあまりベッドに頭からもぐり込んでいると、ハルちゃんが走って部屋に入って来た。すぐにベッドの傍に寄り、

 「おかえり、トモミ...。」

 とちょっとかすれた声で囁いた。

 「ハルちゃん、ただいま。」

 反射的に私は応えた。ハルちゃんは、

 「色々話さないといけないことがあるんだけといいかな?」

 と言ってきた。説明は大歓迎ですよ。なにせ判らないことだらけなのです。

 「うん話して。」

 と答えると、長い説明がはじまった。ハルちゃんの話は長すぎる上、焦っているのか順番が逆になったりして判りにくかったが、私なりに要約すると次の様になる。

 1. 私の魂のインターフェースを元に戻す試みは失敗。その時私の身体は炎上・爆散した。 (いや、爆散って何よ。ホラー映画じゃあるまいに。と思った私は悪くない。もう少し表現を考えて欲しい)。
 2. さすがに通常であれば即死であったが、ルーテシア様がすぐに時間凍結の魔法を発動して下さり。かろうじて魂が身体から離脱するのを食い止めた。
 3. さらにルーテシア様は再生の魔法を発動。生き残っていた体細胞から新しく身体を再生して下さった。
 4. ただし、生き残った体細胞が少なかったことからルーテシア様の作られた身体は胎児の状態であった。その後、ルーテシア様は私を培養漕に入れ10年間成長を待つ様指示された。
 5. ルーテシア様は上位神の指示どおり、私が培養漕に入ってから1年後に他の惑星に異動した。なおルーテシア様は私のことを上位神に報告していない。神界にばれると、惑星ルーテシアの頼みの綱である私が連れ去られる恐れがあると考えたのだ。 
 6. 異動する直前、ルーテシア様は惑星ルーテシアのすべての人に念話で、① 自分が別の世界に旅立たなければならないこと。 ② 自分が去った後は、自分の息子ハルトの妻である女神トモミがこの世界の神となり、自分に代わってこの世界を守護すること、③女神トモミはルーテシア様の後を継ぐため修行中であり、修行が終わるまで待つ必要であること、を伝えた。
 7. ルーテシア様の推測では、前回のインターフェース修復の試みが失敗したのは、一時的に修復されたインターフェースから流れ込んだ魔力量が膨大過ぎ、私の身体の貧弱な魔力許容量では受け止めきれなかったためだろうとのこと。その対策として、ルーテシア様は私の身体を復元する際、細胞内に魔力胞を可能な限り入れられた。魔力胞は惑星ルーテシアの人間ならだれでも持っている魔力を蓄えるための器官である。魔力胞は溶媒漕の中で私と一緒に成長し10年後にその性能が最大化する予定だった。また私の身体にルーテシア様が入れた魔力胞は高性能であり、最高性能に達した時には惑星ルーテシアの全魔力の5パーセントまで受け入れ可能。これにより次回のインターフェース修復の試みはきっとうまくいくだろうと予測していた。
 8. ところが10年を待たず、地震により培養漕が台座から転落。中に入っていた私は培養開始5年目に外部に投げ出され目が覚めたという訳だ。(じゃあ、私の魔力胞はまだ最高性能に達してないんだよね。インターフェースの修復がうまくいったから良いけど、あぶなかったかも。ヒャー、汗、汗!)

 考えてみると、ルーテシア様は次回のインターフェース修復の試みが成功する前提で、惑星ルーテシアのすべての人に次の女神は私であると宣言したんだ。うまくいったから良かったけど、失敗していたらどうするつもりだったんだろう....。ああ、その時は、私は死んじゃってるし、惑星ルーテシアも滅亡の可能性が高いから、一か八かに掛けたってこと? ちょっと酷いのでは?
 
 「それからこれを」

 と言って、ハルちゃんはルーテシア様から私に宛てた手紙を差し出した。内容は、焦るあまり私の前回のインターフェース修復の失敗を予想できなかったことへのお詫びに始まり、ほぼハルちゃんからの話と重複することが書かれていた。ただ追加情報として私の脳にいくつか役に立つ情報を書き込んで置いたので役立ててほしい旨がかかれている。情報は3つ。一つ目は惑星ルーテシアで使われている言語の知識。二つ目は惑星ルーテシアの歴史・地理・文化・政治体制等に関する情報。三つ目はルーテシア様が持っている魔法に関する知識である。これはありがたい。 今頃気付いたが、メイドさんを始め他の人とも普通に会話できたり、練習なしで魔法が使えたのはルーテシア様の配慮のお蔭だったわけだ。

 しばらくハルちゃんと話していると、女の人がひとり入ってきて、ベッドサイドで跪いた。聴診器の様なものを持参しているからお医者さんかもしれない。
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