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第2章 惑星カーニン編
10. 護衛の条件
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<< 条件ですか? >>
<< それほど難しい話ではないですよ。条件はふたつあります。ひとつ目は、夜には私の家に一緒に来てくれることです。私には夫と子供がいます。夕食は家族と一緒に取りたいのです。ですので夜にはドリスさんにも一緒に我家に来てもらいます。ふたつ目は、私にも神界の仕事をしなければならない時があります、その時は我家に居てもらうか、仕事に同行してもらうことです。このふたつを守っていただけるなら護衛をお引き受けしましょう。>>
<< あの、ご家族の方にご迷惑では? >>
<< 大丈夫ですよ、夫は私と一緒でお節介焼きですし、子供はまだ2歳です、人見知りはしないのでドリスさんが来ても大丈夫です。あっ、それとふたりとも神ではなく普通の人間なので安心して下さい。>>
<< ....そうですか。それでは女神様がよろしければお願いできますでしょうか。>>
<< 引き受けました。それとロキさんにお渡ししたいものがあります。惑星を安定させるための魔道具なのですが、きっと役に立つと思いますよ。私の惑星の自慢の魔道具なんです。>>
<< ドリスの護衛を引き受けてくれた上に、魔道具まで頂けると? >>
<< もちろんです、この惑星を自然災害や異常気象から救っていただいたことに比べれば些細なことです。それにその魔道具を使えばロキさんの時間が大幅に節約できてドリスさんと一緒に居られる時間も増えると思いますよ。>>
<< 分かった、それではトモミ殿のおっしゃる通りにしよう。>>
<< ありがとうございます。それでは私はドリスさんと一緒に魔道具を取りに行ってきます。>>
<< 今すぐにか? >>
<< ええ、早い方が良いと思いますので。>>
<< 分かった。>>
その後、私とドリスさんは一旦亜空間からでて、カルロスさんとラザロさんに1~2時間で変える旨を伝えてから惑星ルーテシアに瞬間移動した。サラちゃんは私に抱かれたまま眠ってしまっていたのでそのまま連れて来た。着いた途端ドリスさんは周囲を見回して目を丸くしている。豪華な部屋だからね。ここは人間国にある神殿内の女神の部屋だ、たぶん惑星ルーテシアのどの王様の部屋より広くて豪華だろう。誰も使ってないが。建前上私はこの部屋に住んでいることになっているので以前のまま維持されている。瞬間移動先としては誰かに鉢合わせする心配がないので便利なのだ。
ドリスさんにソファーに座る様に促し、私はアレフさんに念話で話しかける。
<< アレフさん、トモミです。今話をして大丈夫ですか? >>
<< トモミ様? はい、大丈夫です。>>
<< 少しお話がしたいのですが、そちらに伺ってよろしいですか? それとも女神の部屋まで来ていただけないでしょうか? >>
<< 分かりました、ここは散らかっているので女神の部屋まで伺います。>>
アレフさんはすぐにやって来た。さっそくドリスさん達を紹介するとともに、惑星カーニンでの出来事を伝え、惑星安定化の魔道具をひとつ使用したいと伝える。
<< やれやれ、相変わらずお節介を焼いておられますね。ええ、魔道具は持って行ってもらって構いません。ご存じの様に機密保管庫に収納してあります。>>
と引き続き念話で話してくれる。ドリスさんがこちらの言語を理解していないのを考慮してくれているのだろう。お礼を言って、さらにドリスさんの状況を解決するのにアドバイスが欲しい旨伝え、ドリスさんにも惑星カーニンの現状を伝えてもらう。彼を巻き込まない手は無い。なんといってもアレフさんは天才なのだ。
<< そうですね、暗殺者の組織を壊滅させるのはもちろんですが、それだけでは新たな暗殺組織が誕生する可能性がありそうですね。それを防ぐのには、ロキさんを精霊様ではなく精霊神という新しい神としてお披露目してしまうのが良いかもしれません。もちろんトモミ様がこの惑星でやられた様に神の威厳満載で宣言するのです。会場や人集めにはグリアス王国に協力してもらえるのではないでしょうか。>>
なるほど、ドリスさんが今やっている様に少しずつ精霊様の信仰を広めるのではなく、私が神界の代表として、ロキさんを今後惑星カーニンを託す新たな神として一気に宣言するわけか。悪くないアイディアかもしれない。それならば旧来の教団もロキさんを受け入れ易いだろう。すべては私がいかに神として神々しく見えるかに掛かっている気もするが...自信ないなあ...。
<< トモミ様なら大丈夫ですよ。>>
<< えっ、今心を読んだ? >>
<< まさか。そんなことをしなくてもトモミ様の考えていることは分かりますから。>>
私の考えることなどお見通しというわけか。それって心を読まれるよりまずいのではないだろうか。まあいい、アレフさんだしね。と自分を納得させ、ドリスさんと機密保管庫に転移する。もちろん私には鍵など不要だ。
ドリスさんに魔道具を見せるとその大きさに絶句していた。なにせ直径10メートルはある。こんな魔道具は見たことないだろう。魔道具を収納魔法で亜空間に仕舞うとさらに驚かれた。そのまま惑星カーニンの神殿に戻る。私達が戻るとカルロスさんがホッとした表情で挨拶してくれた。ラザロさんは捕縛した暗殺者達を尋問中らしい。
<< それほど難しい話ではないですよ。条件はふたつあります。ひとつ目は、夜には私の家に一緒に来てくれることです。私には夫と子供がいます。夕食は家族と一緒に取りたいのです。ですので夜にはドリスさんにも一緒に我家に来てもらいます。ふたつ目は、私にも神界の仕事をしなければならない時があります、その時は我家に居てもらうか、仕事に同行してもらうことです。このふたつを守っていただけるなら護衛をお引き受けしましょう。>>
<< あの、ご家族の方にご迷惑では? >>
<< 大丈夫ですよ、夫は私と一緒でお節介焼きですし、子供はまだ2歳です、人見知りはしないのでドリスさんが来ても大丈夫です。あっ、それとふたりとも神ではなく普通の人間なので安心して下さい。>>
<< ....そうですか。それでは女神様がよろしければお願いできますでしょうか。>>
<< 引き受けました。それとロキさんにお渡ししたいものがあります。惑星を安定させるための魔道具なのですが、きっと役に立つと思いますよ。私の惑星の自慢の魔道具なんです。>>
<< ドリスの護衛を引き受けてくれた上に、魔道具まで頂けると? >>
<< もちろんです、この惑星を自然災害や異常気象から救っていただいたことに比べれば些細なことです。それにその魔道具を使えばロキさんの時間が大幅に節約できてドリスさんと一緒に居られる時間も増えると思いますよ。>>
<< 分かった、それではトモミ殿のおっしゃる通りにしよう。>>
<< ありがとうございます。それでは私はドリスさんと一緒に魔道具を取りに行ってきます。>>
<< 今すぐにか? >>
<< ええ、早い方が良いと思いますので。>>
<< 分かった。>>
その後、私とドリスさんは一旦亜空間からでて、カルロスさんとラザロさんに1~2時間で変える旨を伝えてから惑星ルーテシアに瞬間移動した。サラちゃんは私に抱かれたまま眠ってしまっていたのでそのまま連れて来た。着いた途端ドリスさんは周囲を見回して目を丸くしている。豪華な部屋だからね。ここは人間国にある神殿内の女神の部屋だ、たぶん惑星ルーテシアのどの王様の部屋より広くて豪華だろう。誰も使ってないが。建前上私はこの部屋に住んでいることになっているので以前のまま維持されている。瞬間移動先としては誰かに鉢合わせする心配がないので便利なのだ。
ドリスさんにソファーに座る様に促し、私はアレフさんに念話で話しかける。
<< アレフさん、トモミです。今話をして大丈夫ですか? >>
<< トモミ様? はい、大丈夫です。>>
<< 少しお話がしたいのですが、そちらに伺ってよろしいですか? それとも女神の部屋まで来ていただけないでしょうか? >>
<< 分かりました、ここは散らかっているので女神の部屋まで伺います。>>
アレフさんはすぐにやって来た。さっそくドリスさん達を紹介するとともに、惑星カーニンでの出来事を伝え、惑星安定化の魔道具をひとつ使用したいと伝える。
<< やれやれ、相変わらずお節介を焼いておられますね。ええ、魔道具は持って行ってもらって構いません。ご存じの様に機密保管庫に収納してあります。>>
と引き続き念話で話してくれる。ドリスさんがこちらの言語を理解していないのを考慮してくれているのだろう。お礼を言って、さらにドリスさんの状況を解決するのにアドバイスが欲しい旨伝え、ドリスさんにも惑星カーニンの現状を伝えてもらう。彼を巻き込まない手は無い。なんといってもアレフさんは天才なのだ。
<< そうですね、暗殺者の組織を壊滅させるのはもちろんですが、それだけでは新たな暗殺組織が誕生する可能性がありそうですね。それを防ぐのには、ロキさんを精霊様ではなく精霊神という新しい神としてお披露目してしまうのが良いかもしれません。もちろんトモミ様がこの惑星でやられた様に神の威厳満載で宣言するのです。会場や人集めにはグリアス王国に協力してもらえるのではないでしょうか。>>
なるほど、ドリスさんが今やっている様に少しずつ精霊様の信仰を広めるのではなく、私が神界の代表として、ロキさんを今後惑星カーニンを託す新たな神として一気に宣言するわけか。悪くないアイディアかもしれない。それならば旧来の教団もロキさんを受け入れ易いだろう。すべては私がいかに神として神々しく見えるかに掛かっている気もするが...自信ないなあ...。
<< トモミ様なら大丈夫ですよ。>>
<< えっ、今心を読んだ? >>
<< まさか。そんなことをしなくてもトモミ様の考えていることは分かりますから。>>
私の考えることなどお見通しというわけか。それって心を読まれるよりまずいのではないだろうか。まあいい、アレフさんだしね。と自分を納得させ、ドリスさんと機密保管庫に転移する。もちろん私には鍵など不要だ。
ドリスさんに魔道具を見せるとその大きさに絶句していた。なにせ直径10メートルはある。こんな魔道具は見たことないだろう。魔道具を収納魔法で亜空間に仕舞うとさらに驚かれた。そのまま惑星カーニンの神殿に戻る。私達が戻るとカルロスさんがホッとした表情で挨拶してくれた。ラザロさんは捕縛した暗殺者達を尋問中らしい。
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