エルドランド双王記〜王女と剣士と、王冠のゆくえ〜

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第17話 エルドランド城奪還作戦

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一週間後、ドラゴンの牙にケガから回復したヴォルカを含むメンバーが集合した。

アンヌがゆっくりと話し出す。
「一週間経って、またこうして集まったわけだけど、どんな状況か報告を聞かせて。」
エリーゼが話し出した。
「王制復活派は、ここガルムヘルムにすでに集結しています。」
ゴラムが口を開く。
「俺とキャスの方は、各国から援軍の約束を取り付けた。イストリアとサウザーの援軍は、もうすぐ到着するはずだ。ウエスとノーザリアの援軍は直接エルドの街に向かっている。」
キャスがゴラムの話に頷く。
「わらわの部下も集まっておる。命令すればいつでも動けるぞ。」
ミカが続けた。
「それで、デモ助の方は?」
デモ助がゆらゆらと宙に浮かびながら言う。
「おいらの方は、なかなか大変だったよ。もう、いろんな情報屋仲間に当たって、文献を読み漁って、聞き込みして・・・。」
「それで?」
アンヌが珍しくイライラしている。デモ助が慌てて続ける。
「魔神を倒す方法が分かったよ。」
「早く教えなさいよ!」
アンヌがデモ助を両手で掴んで引き延ばそうとする。
「イテテ、乱暴しないでくれよ。教えるから!」
アンヌが手を離すとデモ助が話し出した。
「魔神を倒すには、2人の王、つまり、アンヌとゴラムが同時に魔神を攻撃するんだ。」
「それだけ?」
キャスが驚いて聞く。
「そう。それだけ。」
デモ助が腕組みして言う。
「わかったわ。魔神を倒す方法は他も当たってみましょう。」
アンヌが呆れ気味に言う。
「2人の王が一緒にって所に意味があるんだよ!他の誰でも良いってわけじゃないんだ。」
デモ助が食い下がる。
「デモ助、もう良いぞ。」
ミカがデモ助をなだめる。

「それでは、」
アンヌが皆の顔を見回しながら言う。
「今日から、3日後に行動を開始します。エルドランドを皆で取り返すのよ!」
「おう!」
全員が雄たけびを上げた。
戦いの準備は整った。
エルドランドの未来をかけた戦いが始まろうとしていた。




同じころ、エルドランドの首都エルド。

街は、まるでゴーストタウンのように人通りがなく、住人は皆、家の中に閉じこもっていた。
ヴェールの影の王制転覆派の兵士と魔神に従う魔物の兵士たちがエルドの街の外壁に集結して、外敵が来ないか目を光らせている。
エルドランド城内には、精鋭部隊が配置され、王の間にいる魔神を厳重に守っていた。

魔神ザハークは、満足げに言った。
「この私に立てつく者は消え去るのだ。人間ごとき、捻りつぶしてくれる。」
ザハークは、高らかに笑った。




3日後。

ヴァルカとエリーゼが率いる王国復活派軍に加え、イストリア国、サウザー国の援軍は、東門の前に展開した。今回の作戦では最大の軍勢だ。

ミカとデモ助が率いる魔王軍は北側から奇襲をかける。

キャスが率いるウエス国、ノーザリア国の援軍は西門だ。

そして、ゴラムとアンヌと復活派の精鋭数名は、南側の水門から水路を通り、王の間を目指す。

それぞれに部隊の配置が終わり、嵐の前の静けさか、束の間の静寂が訪れる。

その時、静寂を破るように太鼓の音が響いた。魔神軍の軍勢が雄たけびを上げる。
それに呼応するように、東門の復活派の軍勢が声を上げる。
「我らは、魔神を倒し、正当な双王制を復活させるのだ!いざ!進め!」
ヴァルカの掛け声とともに軍勢が東門へと動き出す。城門の上からは、魔神軍から放たれた矢の雨が降り注ぐ。

東門で戦いが始まるのと同時に、西門の軍勢も動き出した。
城の北側では、魔王軍と魔神軍が衝突する。

南の水門では、その音を聞いたゴラムたちが、水路を北に進み始めていた。
「アンヌ、大丈夫か?」
「他のみんなが命を懸けてるのよ。これくらい大丈夫。」
ゴラムの問いかけにアンヌは力強く答える。
アンヌは、エルドランド王家に代々伝わる聖剣を手にしていた。
デモ助の情報通りなら、ゴラムとアンヌが同時に魔神を攻撃することで倒せるはずだ。
ゴラムたちは水路の流れに逆らって歩き続ける。作戦通りなら、城内の庭にたどり着くはずだ。

そのころ、東門では、ヴァルカとエリーゼが門に迫っていた。
「門を押し開けるんだ!行くぞ!うぉーーーーー!!」
復活派の軍勢が巨大な門を押す。反対側からは転覆派の軍勢が押し返している。
「うぉーーーーーー!!」
門が少し開いた。ヴァルカたちの勢いが一気に増す。
ドーン!
門が開き、復活派の軍勢が壁の中に一気になだれ込む。
「進めー!」
エリーゼとヴァルカが先陣を切り、町の中へと軍勢が入っていく。
溜まらず転覆派の軍勢は逃げ出した。

同じころ、西門のウエス国・ノーザリア国の軍勢も門を破っていた。
キャスは、ウエス国の隊長に後を任せ、城に向かう。

北側のミカ率いる魔王軍も、魔神軍をほぼ制圧していた。
「よし、デモ助。城に向かうぞ。」
「わかりました!魔王様!」
2人は、スーっと空を舞い、エルドランド城内へと向かった。

一方、水路を進むゴラムたちは、
「ここが行き止まりのようだな。」
ゴラムが話す視線の先は、鉄格子が嵌められていて、先に進めなくなっていた。
「上に行く梯子があるわよ。」
アンヌが指をさした方に、錆びついた梯子があった。
「よし、梯子を上ろう。俺が先に行く。」
ゴラムが梯子を慎重に登っていく。
円形の青空がだんだんと大きくなり、一番上までたどり着いた。格子状の蓋をどかして頭を出すと、エルドランド城の中庭のようだった。
「大丈夫だ。アンヌ、上がってこい。」
ゴラムが下に向かって声をかけると、アンヌたちが順番に梯子を上りだした。
ゴラムは、慎重に外に出て、周りを確認する。警備は手薄なようだ。
上ってきたアンヌたちと一緒に城の中に向かう。

エリーゼとヴァルカも、部隊から離れ、サウザー王子と合流してエルドランド城へ向かっていた。




そのころ、王の間の玉座に座る魔神ザハークは余裕の笑みを浮かべていた。
「ゴラム、アンヌ、早く王の間まで来い。本当の絶望を見せてやる。」


城の東からキャス、西からヴァルカとエリーゼ、そしてサウザー王子が建物の中へと入り、敵を次々と倒していく。ゴラムとアンヌが合流するころには、1階は全て制圧されていた。
「さすがだな。俺の出番がなかったよ。」
ゴラムが言うと、
「主役の出番はこの後だよ、ゴラム王。」
サウザー王子が爽やかな笑顔で返す。

「なんじゃ、敵がおらんではないか?わらわの出番はなしか?」
ミカとデモ助もやってきた。
「これで、みんな揃ったわね。王の間に行きましょう。」
アンヌが力を込めて言う。
「よし、行こう!」
ゴラムはそういうと、王の間に向かって歩き出した。

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