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第18話 最終決戦
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2階に上がると、王の間の前の廊下に転覆派の兵や魔物たちが所狭しと待ち受けていた。
ヴァルカ、エリーゼ、キャス、サウザー王子が次々と飛び出し、敵をなぎ倒していく。
「まどろっこしいのう。闇よ、出でよ!ダークネス!」
ミカの魔法で周囲の敵が一気に消滅した。
「ミカ、ありがとう。さあ、いこう。」
ゴラムが王の間の扉に手をかけた。
「クククッ。待っていたぞ。」
何処からともなく声が聞こえる。
「ザハーク!」
ゴラムが叫ぶと、王の間の扉がゆっくりと開いた。
王の間の中は、まるで以前とは別の場所のように変化していた。
青黒い生きているような壁、漆黒の闇に吸い込まれそうな天井、底が見えないほどの空洞が続く床であった部分。そこに四角い石の足場が階段のように玉座まで続いている。
「なんだ?これは。」
ヴァルカがつぶやいた。
「少し模様替えをしたんだよ。気に入ってくれたかな?」
ザハークが言うと、
「ふざけるな!ザハーク!」
エリーゼが叫んだ。
「おやおや、エリーゼ。今度こそ決着をつけようか?」
「望むところよ!」
エリーゼがザハークの挑発に乗って走り出す。
ヴォルカとサウザー王子も続いた。
「待て!早まるな!」
ゴラムが止めようとするが、聞く耳を持たず、突進していく。
「ザハーク、覚悟!」
エリーゼが剣を振りかぶり、ザハークに迫る。ヴォルカとサウザー王子も同時に剣を抜き、ザハークに切りかかる。
カキン!
3本の剣をザハークは片腕で受け止めた。
「今、何かしたか?」
ザハークはそういうと、3人を薙ぎ払った。
「うわーっ!」
壁に打ち付けられた3人は、壁から出てきた触手のようなものに捕らえられてしまった。
「ぐぬっ!動けない!」
ヴォルカが必死に振り払おうとするが、身動きが取れない。
ゴラムたちも玉座の目の前までやってきた。
「ザハーク!お前の好きにはさせない!」
ゴラムが叫ぶ。
「面白い。相手になろう。」
ザハークが動く前にミカが防御魔法を唱える。
「防御せよ!バリア!」
それと同時に、キャスとゴラムが飛び掛かる。
ガキッ!ボスッ!
攻撃は当たったが、ザハークはビクともしない。
キャスが連打を浴びせる。
「うぉーーーーー!!」
バシッ!
片手で弾かれてしまった。
すかさずゴラムが切りかかるが、もう一方の手で受け止められる。
「おいらに任せろ!」
デモ助が炎を吐いた。
しかし、ザハークは平然としている。
「くそおー。おいらの攻撃が効かないとは。」
「ゴラム!私とタイミングを合わせて!」
アンヌが叫んだ。
ゴラムがうなずく。
アンヌが剣を抜き、ザハークの心臓目掛けて突進する。
ゴラムがそれに合わせて剣を振るう。
ザハークは防ごうとするが間に合わない。
ザンッ!
2本の剣がザハークの体に突き刺さった。
ザハークは膝をつき苦しんでいる。
「こ、このままでは負けんぞ!ダークネスローズ!」
黒いバラの花のような暗黒の波動がゴラムたちに襲い掛かる。
「ぐわあー!」
「キャー!」
「ば、バリアが効かぬ!」
ゴラムたちは、為すすべもなく壁に打ち付けられる。
そして、触手に捕らえられてしまった。
「くそー!動けない!」
ゴラムが必至に動こうとするが余計に締め付けられる。
「どうしたらいいの!?」
アンヌも動くことができない。
「ハハハハ!お前たちの運もここまでのようだな。」
2本の剣が刺さったまま、ザハークは立ち上がった。
さらに追い打ちを掛けようとザハークが動き出した瞬間。
アンヌの頭に誰かの声が響いた。
【アンヌ。アンヌ王女。私の声が聞こえますか?】
「誰?私の頭に話しかけるのは?」
【樹海の守り神です。魔神に吸収されましたが、まだ生きています。】
「樹海の守り神!生きているのね!」
【私がザハークを止めます。その隙にとどめを刺すのです。】
「わかったわ。」
アンヌの目が決意の表情に変わった。
「ゴラム、すぐに動けるように準備して。」
アンヌの声掛けにゴラムがうなずく。
【では、いきますよ。】
樹海の守り神がそういうと、ザハークの左半身が金色に輝きだす。
「な、なんだ?これは!体が動かない!」
壁の触手が緩んだ。その瞬間、アンヌとゴラムが飛び出したザハークに刺さったままの剣をゴラムとアンヌが握り、力を込める。
グググッ
2本の剣がザハークの急所を捉える。
「ぐあー!」
ゴラムの剣が一気にザハークの体を切り裂き、アンヌの剣がザハークの心臓を貫いた。
「人間ごときに、私が2度も敗れるのか!」
バタッ
ザハークが前のめりに倒れ、そして、黒いチリとなって消えていった。
【ありがとう、アンヌ王女。】
樹海の守り神の声が聞こえた。
無数の金色の光の粒が空に上がっていった。
「終わった……の?」
アンヌがつぶやく。
「ああ、終わった。」
ゴラムがアンヌの肩を抱いて言った。
王の間が見る見るうちに、元に戻り、ヴォルカたちも壁から解放された。
「アンヌ王女!」
キャス、エリーゼ、サウザー王子が駆け寄ってくる。
「よくやったな、アンヌ。」
ミカがつぶやく。
「ねえ、みんな!おいらの活躍見たでしょ!?」
デモ助は、ふわふわしている。
「ゴラム様、あなたは本当の王です。」
ヴァルカが穏やかな目でゴラムを見つめる。
こうして、エルドランド王国は魔神の手から救われた。
王国転覆派の一派は逮捕され、魔物たちは深淵の国に戻っていった。
深淵の国への扉は、リリアによって封印され、深淵の鍵はエルドランド城で厳重に保管されることになった。
ヴァルカ、エリーゼ、キャス、サウザー王子が次々と飛び出し、敵をなぎ倒していく。
「まどろっこしいのう。闇よ、出でよ!ダークネス!」
ミカの魔法で周囲の敵が一気に消滅した。
「ミカ、ありがとう。さあ、いこう。」
ゴラムが王の間の扉に手をかけた。
「クククッ。待っていたぞ。」
何処からともなく声が聞こえる。
「ザハーク!」
ゴラムが叫ぶと、王の間の扉がゆっくりと開いた。
王の間の中は、まるで以前とは別の場所のように変化していた。
青黒い生きているような壁、漆黒の闇に吸い込まれそうな天井、底が見えないほどの空洞が続く床であった部分。そこに四角い石の足場が階段のように玉座まで続いている。
「なんだ?これは。」
ヴァルカがつぶやいた。
「少し模様替えをしたんだよ。気に入ってくれたかな?」
ザハークが言うと、
「ふざけるな!ザハーク!」
エリーゼが叫んだ。
「おやおや、エリーゼ。今度こそ決着をつけようか?」
「望むところよ!」
エリーゼがザハークの挑発に乗って走り出す。
ヴォルカとサウザー王子も続いた。
「待て!早まるな!」
ゴラムが止めようとするが、聞く耳を持たず、突進していく。
「ザハーク、覚悟!」
エリーゼが剣を振りかぶり、ザハークに迫る。ヴォルカとサウザー王子も同時に剣を抜き、ザハークに切りかかる。
カキン!
3本の剣をザハークは片腕で受け止めた。
「今、何かしたか?」
ザハークはそういうと、3人を薙ぎ払った。
「うわーっ!」
壁に打ち付けられた3人は、壁から出てきた触手のようなものに捕らえられてしまった。
「ぐぬっ!動けない!」
ヴォルカが必死に振り払おうとするが、身動きが取れない。
ゴラムたちも玉座の目の前までやってきた。
「ザハーク!お前の好きにはさせない!」
ゴラムが叫ぶ。
「面白い。相手になろう。」
ザハークが動く前にミカが防御魔法を唱える。
「防御せよ!バリア!」
それと同時に、キャスとゴラムが飛び掛かる。
ガキッ!ボスッ!
攻撃は当たったが、ザハークはビクともしない。
キャスが連打を浴びせる。
「うぉーーーーー!!」
バシッ!
片手で弾かれてしまった。
すかさずゴラムが切りかかるが、もう一方の手で受け止められる。
「おいらに任せろ!」
デモ助が炎を吐いた。
しかし、ザハークは平然としている。
「くそおー。おいらの攻撃が効かないとは。」
「ゴラム!私とタイミングを合わせて!」
アンヌが叫んだ。
ゴラムがうなずく。
アンヌが剣を抜き、ザハークの心臓目掛けて突進する。
ゴラムがそれに合わせて剣を振るう。
ザハークは防ごうとするが間に合わない。
ザンッ!
2本の剣がザハークの体に突き刺さった。
ザハークは膝をつき苦しんでいる。
「こ、このままでは負けんぞ!ダークネスローズ!」
黒いバラの花のような暗黒の波動がゴラムたちに襲い掛かる。
「ぐわあー!」
「キャー!」
「ば、バリアが効かぬ!」
ゴラムたちは、為すすべもなく壁に打ち付けられる。
そして、触手に捕らえられてしまった。
「くそー!動けない!」
ゴラムが必至に動こうとするが余計に締め付けられる。
「どうしたらいいの!?」
アンヌも動くことができない。
「ハハハハ!お前たちの運もここまでのようだな。」
2本の剣が刺さったまま、ザハークは立ち上がった。
さらに追い打ちを掛けようとザハークが動き出した瞬間。
アンヌの頭に誰かの声が響いた。
【アンヌ。アンヌ王女。私の声が聞こえますか?】
「誰?私の頭に話しかけるのは?」
【樹海の守り神です。魔神に吸収されましたが、まだ生きています。】
「樹海の守り神!生きているのね!」
【私がザハークを止めます。その隙にとどめを刺すのです。】
「わかったわ。」
アンヌの目が決意の表情に変わった。
「ゴラム、すぐに動けるように準備して。」
アンヌの声掛けにゴラムがうなずく。
【では、いきますよ。】
樹海の守り神がそういうと、ザハークの左半身が金色に輝きだす。
「な、なんだ?これは!体が動かない!」
壁の触手が緩んだ。その瞬間、アンヌとゴラムが飛び出したザハークに刺さったままの剣をゴラムとアンヌが握り、力を込める。
グググッ
2本の剣がザハークの急所を捉える。
「ぐあー!」
ゴラムの剣が一気にザハークの体を切り裂き、アンヌの剣がザハークの心臓を貫いた。
「人間ごときに、私が2度も敗れるのか!」
バタッ
ザハークが前のめりに倒れ、そして、黒いチリとなって消えていった。
【ありがとう、アンヌ王女。】
樹海の守り神の声が聞こえた。
無数の金色の光の粒が空に上がっていった。
「終わった……の?」
アンヌがつぶやく。
「ああ、終わった。」
ゴラムがアンヌの肩を抱いて言った。
王の間が見る見るうちに、元に戻り、ヴォルカたちも壁から解放された。
「アンヌ王女!」
キャス、エリーゼ、サウザー王子が駆け寄ってくる。
「よくやったな、アンヌ。」
ミカがつぶやく。
「ねえ、みんな!おいらの活躍見たでしょ!?」
デモ助は、ふわふわしている。
「ゴラム様、あなたは本当の王です。」
ヴァルカが穏やかな目でゴラムを見つめる。
こうして、エルドランド王国は魔神の手から救われた。
王国転覆派の一派は逮捕され、魔物たちは深淵の国に戻っていった。
深淵の国への扉は、リリアによって封印され、深淵の鍵はエルドランド城で厳重に保管されることになった。
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