攻略済みのゲームに転生した

アルバート

噂の御令嬢様

私の名前はアルバート、この国の第二皇子である。兄であるサナバートと、よく小さい頃から話すことは、噂の御令嬢、シャルナ・アナスタシアについてだ。
兄がこの国の大臣の娘と婚約すると言う話が出てきた頃、まだ決まってはいなかったが、兄と私は先方のご令嬢の顔を拝見したく、部下に頼み写真の調達を依頼後、優秀な部下はすぐに調達し私たちに手渡しする。
写真を見てなんと奇麗なお嬢さんなのだろうと、兄と何度も話将来はこの方が姉になるのだと、楽しみにしていた。のだが、なんと先方から、婚約を中止にと言う話が急に出てきた。理由を聞くとアナスタシアが淑女を極めるため婚約はしないでほしいと先方ではまだ婚約の話が出てもいないうちに言われたらしい。国王は難色を示したが大臣である父親が親としてその話を聞くが15歳になったら婚約を誰かとするようにと、国王と約束をしたと、噂が広がった。
全国にアナスタシアの顔が公開され、庶民から王族までもがアナスタシアの虜になった。
奇麗な二重目であり、瞳はバイオレット色であるが光の加減で赤色にもなり、とても奇麗である、薄ピンクの髪に、ぷっくらとふくらんでいる小さい唇に小さいが高めに育っている鼻、それが9歳の相貌には見えないような大人びていると顔立ち。

一度でもいいからアナスタシアと話したかったのだが彼女はほとんど家から出ず、社交界デビューもいつまで経ってもしなかった。
兄はそんなアナスタシアが気になって気になって仕方がないようだったが。それは私も同じ気持ちである。
そして私にもチャスはある。
国王の命令は誰かと婚約すること　ダレカである。
兄じゃなくてもいいのだ。これはかなりのチャンスである。
わがままな御令嬢のイメージではあるのだが婚約して彼女の性格をだんだんと変えていけばいいのだ。そして兄を支え彼女と裕福に暮らしていくのがシナリオだ。

兄はそれをよく思っていないようだが父の命令とあらば仕方ない。
私と約束をした。

「先にプロポーズしたものがアナスタシアを自分のものにできる」

これはアナスタシアの意向がないが9歳の私たちの考えであった。
年を重ねるにつれ、アナスタシアが断った場合は何度も挑戦権はあり、横取りもまた可能であるが、プロポーズにイエスと答えたら手出しはできないルール。

これは戦争だどっちが早く挨拶をし、婚約を得られるか。

兄と私は何度か、父にアナスタシアとの、話の席を設けて欲しいと交渉に出るが向こうの両親が首を縦に振らないとのこと。
何度も落胆するが、国王の息子たるものすぐに立て直し何度も交渉した。

結果9年後のアナスタシアの社交界デビューでの初顔合わせとなった。

私たちの想像では9年前の相貌がそのまま大きくなった感じであった。
のだが、本人を目の前にして私の考えなんて奇麗さっぱりなくなってしまったのだ。

コソコソと父である大臣と何か話しながら、笑い進んでいくアナスタシアの、出で立ち、スタイルと、変わってしまったショートの髪型と、美しいお顔立ち。
国の宝とまで言われている箱入り娘。
両親が隠しに隠した娘の容貌は期待を裏切らぬ形でのデビューとなった。
もちろん私は、一目惚れをした。彼女と話したくて仕方ない状態である。
だが兄の方が行動は早く彼女と挨拶を交わした。
私も負けじと挨拶をすると、彼女は緊張しているのか、ぎこちない笑みを浮かべ挨拶を返してくれた。その慣れていない表情がとても可愛いくて、可愛くて、顔がデレデレしてしまった。兄とエスコートをしていると有名御令嬢たちも、アナスタシアを狙っていたのかすかさず挨拶をしてきた。それを機に他の方も挨拶をし、アナスタシアは、人の渦に飲まれる。
いつのまにかアナスタシアは、お屋敷内にいなくなっており、扉の近くにいるレイラを見つけ話しかけた。

「レイラ、アナスタシア様はしらないか？」

「アル様のご要望でもお聞きしません」

彼女は噂では氷の女王と呼ばれるほどコミュニケーションはとれず、冷たい眼差しで私を見る。
幼なじみであるため彼女がそこまで冷たくないのは知っていたが、今日はダメなようだ。
それほどアナスタシアを気に入っているのだろう。

「仕方ない探すか…」

「そうしてください。ただ私はお止めすることはないです。サナ様との勝負を私は知っています。どちらでもアナスタシア様にはお似合いだと思っております。」

なるほど。幼なじみのため情報は正確でありまた、兄と婚約をしても良いと思っているようだ。兄と婚約しても良いと思っていることは、兄が来ても同じ反応を示すはず。
焦ってきた。屋敷内を一通り小走りで見ている兄を発見した。

屋敷内にはいない？

一応王族であるのと、婚約をしていない私たち兄弟に今かといまかと、挨拶を待っている御令嬢たちを尻目に外に出る。
挨拶している時間は今はないのだ。
外に出るとバラ園がきれいであり、ライトアップもまた幻想的な雰囲気を醸し出している。背高い木がちらほらありそこには私を見つけた御令嬢たちがいた。
こっちにきて欲しそうな目で私を見るが相手している暇はない。
彼女を探すためにうろうろするがなかなか見つからない。
外ではないのだろうか？

と思ったが。

いた

バラを眺めるためにしゃがんで見つめていた。
その姿もまたきれいで妖精ではないかと思う。移動するのかわからないが勢いよく立ち上がったアナスタシアはキョロキョロとし始めた。不意に目が合い、止まってしまったアナスタシア。
どうしたのかわからないが、急いで彼女のもとに向かう。ついついにやけてしまった。

兄の存在のことなんか一切忘れていた私は勢いあまり彼女にそのままなんの前触れもなくプロポーズした。

手の甲にキスをし、そのまま倒れていくアナスタシアを、焦りながらもキャッチした。
顔は真っ赤にゆでダコのようになっておりまた可愛らしいこと。

彼女から婚約のOKはでなかったが。
返事をもらうまで兄はアナスタシアに、アピールすることができない。
これだけでも成果だ。
彼女を抱っこし、木陰にいく。私の膝の上に顔を寝かせ楽な姿勢にさせる。
これだけでも幸せである。
これから彼女がどんな反応で起きるか楽しみだな。


噂の御令嬢は、こんなに無防備で良いのだろうか。心配である。