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バグ

お化け屋敷

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アナスタシア様が指を刺した機械はここで一番怖いと評判な機械であった。魔法と一緒に使用される様子で、水風炎を巧みに使ったいくというような説明が絵で表されていた。
私はしょっぱなからこれに乗ろうと言われると思わなかった。
アナスタシア様は淑女の鏡であらされるかただ、髪型や化粧のことを考えると選んではいけないと思ったが、思いっきり楽しむ予定であります!と敬礼でもしているように姿勢正しく列に並び始めた。
私は初めて乗る機会にドキドキとなっていた。隣の彼女は早く順番回ってこいと念を唱えながら待っている。

ついに出番がくる頃には私の心臓はバクバクといまにも心臓が飛び出しそう。
アナスタシア様はキャッキャとはしゃいでいた。可愛い。

連れてきてよかった。

機械が止まると笑顔のアナスタシア様がすぐに私の顔を覗き込んできた
正直怖かったが笑顔を崩さない彼女に負けてはならないため、覗き返すと、嬉しそうににこりとして悪魔な一言を私に言った。

「もう一回乗りませんか?」

彼女はきっと馬鹿なのだ。

アナスタシア様の要求にもう一度付き合い終わった頃私は次の提案を行った。
ここでいちばん怖いと評判高いお化け屋敷。

「いやです。」

珍しく拒否をするアナスタシア様
元々可愛いがもっと可愛いところを披露してくださる彼女に感極まっている。
ただ可愛い。

「先ほど私も願いを聞きましたよ?」

「ですがいやです」

断固拒否の姿勢を崩さない彼女の腰を掴み誘導する。
嫌だ嫌だと駄々っ子になっていた。
この国でのお化け屋敷というものは風の魔法と光の魔法を駆使して後は従業員が自力で驚かせにくるため、怖いということだ。
アナスタシア様も噂程度には知っているんだろう。
こんなに可愛い反応をしてくれたならさっきの機械乗りは正解だった。

ぶつぶつと文句を言っている中でジェットコースターという単語が出てきたが何のことなんだろう。

特に気にせずアナスタシア様が逃げないように腰を掴んだまま人気アトラクションの一つであるため時間が長かったが待ってもらった。

ついに出番が来た時、ずっと見つめていたが気丈に振る舞っていたアナスタシア様の顔が変わっていった。
恐怖の顔にスタイルチェンジだ。
ただ怖いなどは言わず嫌だいやだと強がっているところがまた可愛い。
神様この方と合わせていただいてありがとう!!

神にお礼を言っている間に従業員が先に進めてくれた。
恐怖の彼女と感謝の私に従業員は首を傾げながら誘導する。
真っ黒なカーテンをくぐり抜けるとほんのり明るく黒い椅子が目の前にあった。
これはなんだろう。

そういえば今まで先に行った人たちの、叫び声は聞こえていない。
噂ほどではないのか?
だけど、一つポツンとある黒い椅子に腰掛けること自体が無理なアナスタシア様は、立ってその椅子を見つめていた。

「座りましょうか。」

「ですが指示があるわけでもありません!」

「先に進むためには必要な工程でしょう?」

「リタイアしましょう!」

「だめです。」

アナスタシア様は相当怖いのか、私に食い気味に言葉を交わせてきた。
ほぼ一歩の段階でリタイアは王族の血があるからこだわっているわけではないが途中で諦めるということが好きではない。
アナスタシア様を押し通すだけの力量を図られている気がする。

「アナスタシア様、椅子に座らなくても良いので私のところまで来てもらっても良いですか?」

きっとこの椅子の仕掛けは2人分の重さを確認したら先の道が出てくるとかそういうものだと思う。
一畳もないスペースでずっと言い合うつもりはないし、この先でもっと怖がる彼女を見たい。

アナスタシア様のとても良いところをここでお伝えしたい。
素直なところ。
なんたって今私が伝えた言葉を嫌がる素振りも見せず近付いてきた。

椅子の前に立っている私はそのままアナスタシア様の腰を引っ張り椅子に座った。
酷く驚いた顔をしたアナスタシア様はバランスを失い私に寄りかかる。
女性は重いと聞いたことがあるが、そんなことは男性は一切思わない。
愛しい人の重さは軽く感じる上にしあわせな気持ちがある。

「す、すみません!アルバート様の上に…」

「気にしないでくれ、先に進みましょう?」

私は急いで立ち上がったアナスタシア様が逃げるように謝るため、すかさず腕を掴み逃げれないようにした。
下から覗き込み訴えると、刻々と顔をきっと真っ赤にしている彼女を見ると一言で可愛い、偉大なるアナスタシア様に様々とつけたい。

手を掴み私も立ち上がりアナスタシア様を導くように先に進んでいく。
先ほどの薄暗闇が嘘のようにほぼ光を失った。
安直にいうのであれば目の前に火の粉があるとしよう、そしたら燃え尽きた煙が上に上がっていく様子が見えるほどの暗さといえば伝わりますか?
カッコよくいうと失敗すると思うけど私も今それを痛感した。
いわゆる、暗いのだ。電気の照明10メートル先の廊下に一つしかついていない。
ほぼ足元が見えていない。しゃりしゃりと足音がするのはビニールテープか、黒いビニールロール紙を引いていると考える。一歩一歩踏み出す足が遅いアナスタシア様。
怖い演出が効いているみたいで可愛い。

私は仕掛けがわかってしまったので、その様子をジロジロ見ているわけであるがバレていないのでいっとき堪能しよう。

次の部屋に入ると、どこかのロビーである、モチーフはホテルだったからそこの受付だろう。
広い部屋なため待合室のようなボロいソファと机がメインにある。

「めちゃくちゃ怖かったのにまた雰囲気が…」

ぶつぶつとアナスタシア様

「まあまあここまできたら逃げれませんよ。」

「一番怖いのはアルバート様です!」

「逃がしませんからね?」

ドスが効いた顔を作るとひっといって、私のそばから離れていくアナスタシア様。
彼女が下がるとソファにぶつかった。

カランカランと音がした。
ぶつかった衝撃で何かが落ちたようだ、慌てたように彼女はその落ちたものを拾うと、一気に叫び声を上げた。
何かと思い、アナスタシア様が持っているものを覗き込むと、骸骨のようなそれは恐ろしい顔をした彫刻があった。
固まってしまったアナスタシア様からそれを奪い取り元の場所にあったと思われる台座に乗せた。
少し涙目になっているアナスタシア様の顔を掴み上げ自分と目が合うようにした。

「帰ってきてください。」

うるうると目が潤み始めた彼女を引き寄せてた。

「アルバートさまあ!ここ普通に怖いじゃないですかあ!」

大きな声で私に向かって叫んだ。
怖がっているのはわかるが私は何も悪いことしていないから責めないでくれ。

ズンズンと進んでいくとレベルアップしていく屋敷内にアナスタシア様の叫び声が響く。

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