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バグ

テーマパークデート

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3日後の朝、急いで起こされた私は何されたかというと、侍女達からの支度だ。
髪型はどうが、いいだの、服は動きやすいものだの、飾りはこれがいいだの。
毎日見飽きているだろう私の顔にアクセントをつけながら化粧をしている。

眠い…

王子とのデートを言ったのは、昨日の夜の夕食どき。
父母初め、侍女と、弟妹のびっくりした顔が頭から離れていない。
いいドッキリを仕掛けたようだったが、その後飛び交った言葉忘れたい。
私が第一皇妃に近いだの、婚約がどうの、早く会わせろだの、言いたい放題だった。

水色のワンピースで決まり、少し伸びた髪は、後ろで小さく一つ結びをして白いリボンをつける。
風邪などで崩れると言って土魔法を持っている次女の1人が化粧を塗り固めていった。

いつもみんなに任せているからどうなっているかわからないがいつも完璧だ。
アナスタシアの顔は何時間鏡を見ても飽きないものだが、化粧をするときっと1日見てても見飽きないぐらい美人になる。
この方達の腕前はピカイチである。
今日も完璧な施術を行われたことにより、顔に関しては心配がないのだが、アルバート様と2人っきりなのが少し辛い。
気を使っているわけではないが、やはり王族となると、ご迷惑をかけたり何かあったときの対処が面倒くさい。

そんなこと言ってる暇はなく、早く朝ごはんを食べろと促してくる

「お嬢様今日何時ごろにお迎えにあがりましょうか。」

専属であるシャネットが私の耳近くでささやいた。
父母と兄弟がいる中そうやって聞くことは、お泊まりを危惧しているのだろうが。
お泊まりすることはない。
婚約もしていないのに何考えているの。

小さい声で「夕暮れ時にお願いするわ。」
と伝えると「それはあまりにも殺生な。アルバート様が可哀想」

専属が言う言葉ではないが私はいちいち拾うのが面倒くさいため、シャウエッ○ンも負けないようなハーブが効いている分厚いソーセージにかぶりついた。
お母さまから行儀が悪いと一声かかったが、ムシャムシャと食べ進めた。

私たちは自分の馬車で現地まで行くつもりで、アルバート様と特に打ち合わせや待ち合わせはこことした記憶はない。
ゲームでは入口の券売機近くで待ち合わせしていた。
だから勝手にそこでいいだろうと思っていたし、きっと時間早くから待たなきゃいけないのはくらいが低い私の方のため、早めに起こされた次第だ。

家を出て馬車に乗ろうとしていた、シャネットはじめ私は目の前に立派な馬車があることに驚きを隠せずにいた。
いつからこんなものが家の前にあったのだろう。
家族みんながいなくてよかった。
きっと騒がしかっただろうから。

「おはよう、アナスタシア様。お迎えに参上しました。」

朝から爽やかな笑顔で私とシャネットに振りまけた。
眩しすぎるよ、イケメン。

「ありがとうございます。突然のことでたいそう驚きました。」

「そのつもりでしたので成功しましたね。ではこちらの方にどうぞ。」

我が家の御者も驚いていたが、私の仕事はなくなりましたねと言うような感じで馬車を移動させていった。

私はエスコートされるままに馬車内に移動する。シャネットはお邪魔すると悪いということで、御者の隣に座っている。
パカパカとゆっくり進み始めた。
特に会話することない私から話を振ることはないが今日のためにたくさん話を用意していたのかそもそも引き出しが多いのか、アルバート様が笑顔で話しかけてきている。
テーマパークまで残り1時間近く。眠くならないように耐えるんだ私!!

「アナスタシア様おはようございます。」

肩を揺さぶられて、起きた。
要約すると寝ていた。
耐えて5分ほどで寝ていたらしいが、そんなことでは起こらないアルバート様が神に見えてきた。

チケットを買って、入園すると、ここのモチーフであるウサギの着ぐるみたちが園内に5匹ほどいるらしいため全員のサインをもらえたら景品をもらえるとのこと。
私は特に興味はなかったがアルバート様は目をキラキラ輝かせていた。
幼少時英才教育や王政教育やダンスや諸々彼らはたくさんの教養を強いられてきたんだと思う。私もこの世界に来て家族旅行というものもあまりしたことない指片手で足りるレベル。
前世では家族仲が悪いわけではなかったため一年に一度は県外へ行ったりして遊んでいた記憶があるため、着ぐるみ程度でははしゃがない。

「可愛いですね。」

私が嬉しそうな彼に問いかけると全力で首を振っていた。
それがおかしくてクスクスと笑うと照れたように顔を隠していた。
イケメンの照れ顔レアや

彼に手を引かれ、遊具を一通り乗りこなしていく予定のようだ。最初は軽めのやつから、ブランコ状のものや回転するものなどから攻めていく。
私が乗りたいもはもちろん絶叫系である。
アルバート様も子供用のものでは満足していないようで、うずうずとでかい乗り物を見ているが、私の体慣れさせのために小さいものを乗ってくれていることに気づいたのは30分ほどうろうろしてからだ。
言いにくそうに私に

「アナスタシア様、怖いかもしれませんが私はあのでかいものに乗りたいです。」

指差したものはもちろん前世で言うジェットコースターである。
私の頭にははてながいっぱいあった。
この国は女性中心に男性はエスコートしていくため、私のために小さいものに乗っていたと言うことだ。
前世では考えられないような待遇に涙が出そう。

「ええもちろん私もそろそろ乗りたいと思っておりました。」

「アナスタシア様はあんな大きいものに乗れるんですか!?」

前世という言葉を出せるなら乗れるし乗り回したいほど好きだ。

「初めて乗りますが私は小さい乗り物ですと物足りないです。」

というと、アルバート様は心底驚いたように、私を見ていた。
ジェットコースターは、だいぶ高いところまで上り急落下するものやスピード勝負のもの回転するものもたくさんある。

「ではあれから乗って行きませんか?」

私が指を刺し、目指した場所はこの園で一番怖いと言われておるものだった。
イケメンの顔がどう歪むか見ものだ。
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