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1章 魔女狩り編
1 伯爵令嬢は魔女狩りにあう
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「先見の魔女 セリーナ ディベル!これより王城にて貴様の身柄を預かる。」
大きな声で名指しされたセリーナ ディベル伯爵令嬢は耳を疑った。
今日は日差しも温かく、外でお茶をするには最適な陽気だと、仲の良い令嬢方を庭園にお招きして、まさにワイワイと美味しいスイーツを囲みながら会話を楽しんでいる最中だった。
そんな所に、場違いにも踏み込んできて、頭がおかしくなったのかと思う様な発言をしたのは、この国の皇太子であるリード グリフィスだ。
つい先日、婚約者に内定していた公爵令嬢を隣国の王子に奪われた事で、わざわざこの様な目立つ発言をせずとも、十分に渦中の人物だった。
そもそも、この国には魔法など存在しない。
ファンタジーじゃないのだから。
なので、魔女など存在するはずがない。
セリーナが生まれてくる何十年も前には魔女狩りと呼ばれる行為もあったらしいが、それとて、今の時代では政治に都合の悪い人間を処理する為に、都合の良い名目を付けただけの物だと知られている。
その魔女狩りをたった今、皇太子が高らかに宣言したのだから、聞き間違いか、夢でも見ているか、皇太子の頭がおかしくなった…のいずれかだとセリーナが思っても何ら不思議では無かった。
「魔女とは…何の事でしょう?」
セリーナが慎重に言葉を選んだのは、相手の頭がおかしくなっており、話が通じない可能性を感じたからだ。
「しらばっくれるな!ハフトール公爵令嬢と隣国王子の件、お前が魔術を用いて手引きした事はわかっているんだ。」
あぁ…聞き間違いか、夢ならどんなに良かったか。
セリーナは周りに気を使う事もなく、頭を抱えた。
夢は無理でも…これなら、王子が失恋のショックでおかしくなってしまったと言う方がいくらかマシだと思った。
「私には何の事だか…。」
「言い訳は通らん。これは国王も認めた正式な魔女狩りだ。大人しくついて来てもらうぞ、先見の魔女よ。」
セリーナは相手に全く話が通じないという予想が悪い方に的中し、諦めにも似た残念な気持ちになった。
それよりも、なんてダサい通り名付けてくれてんのよ…。
セリーナは誰にもバレないように小さく舌打ちをした。
まず初めに断っておくが、セリーナは断じて魔女ではない。
物を大きくする事や、浮かす事は出来ないし、もちろん火の玉を出したり、時間を止めたりする能力も備わってはいない。
ただ、セリーナは生まれながらにして人より少しだけ数字と色に詳しかった。
数字や色のそれぞれの持つ意味を誰に教わる事もなく理解していた。
それらが未来や過去を教えてくれる物だと気付いたのは、6歳の頃。
難しい数式を辿った末にたどり着いたのは、自分の過去より、もっと前の前世の事だった。
そこでセリーナは数字や色を使った占いという物を生業に生活をしていた。
日々、沢山の人がセリーナの元に意見を聞きに列を成している前世を知った。
数字と色に対する知識が前世からのものであると理解したセリーナは、同時に自分のアドバイスで、周りの人に幸せが訪れる事の幸せを知った。
お茶会を計画していた友人には、テーブルに黄色の花を飾る様にアドバイスした。
領地の運営について悩んでいた父には、何かの決断をするのはあと3ヶ月待つべきだと進言した。
好きな殿方にどうアプローチしたらいいかと悩むご令嬢には、髪に白いレースのリボンを結うようアドバイスした。
小さなアドバイスが、小さな幸せを運び、気が付けば沢山の人がセリーナの所に様々な相談を持ってくるようになっていた。
そんなセリーナの元に、皇太子の婚約者として内定しているクラリス ハフトール公爵令嬢が訪ねて来たのは、今から1年ほど前の事だった。
大きな声で名指しされたセリーナ ディベル伯爵令嬢は耳を疑った。
今日は日差しも温かく、外でお茶をするには最適な陽気だと、仲の良い令嬢方を庭園にお招きして、まさにワイワイと美味しいスイーツを囲みながら会話を楽しんでいる最中だった。
そんな所に、場違いにも踏み込んできて、頭がおかしくなったのかと思う様な発言をしたのは、この国の皇太子であるリード グリフィスだ。
つい先日、婚約者に内定していた公爵令嬢を隣国の王子に奪われた事で、わざわざこの様な目立つ発言をせずとも、十分に渦中の人物だった。
そもそも、この国には魔法など存在しない。
ファンタジーじゃないのだから。
なので、魔女など存在するはずがない。
セリーナが生まれてくる何十年も前には魔女狩りと呼ばれる行為もあったらしいが、それとて、今の時代では政治に都合の悪い人間を処理する為に、都合の良い名目を付けただけの物だと知られている。
その魔女狩りをたった今、皇太子が高らかに宣言したのだから、聞き間違いか、夢でも見ているか、皇太子の頭がおかしくなった…のいずれかだとセリーナが思っても何ら不思議では無かった。
「魔女とは…何の事でしょう?」
セリーナが慎重に言葉を選んだのは、相手の頭がおかしくなっており、話が通じない可能性を感じたからだ。
「しらばっくれるな!ハフトール公爵令嬢と隣国王子の件、お前が魔術を用いて手引きした事はわかっているんだ。」
あぁ…聞き間違いか、夢ならどんなに良かったか。
セリーナは周りに気を使う事もなく、頭を抱えた。
夢は無理でも…これなら、王子が失恋のショックでおかしくなってしまったと言う方がいくらかマシだと思った。
「私には何の事だか…。」
「言い訳は通らん。これは国王も認めた正式な魔女狩りだ。大人しくついて来てもらうぞ、先見の魔女よ。」
セリーナは相手に全く話が通じないという予想が悪い方に的中し、諦めにも似た残念な気持ちになった。
それよりも、なんてダサい通り名付けてくれてんのよ…。
セリーナは誰にもバレないように小さく舌打ちをした。
まず初めに断っておくが、セリーナは断じて魔女ではない。
物を大きくする事や、浮かす事は出来ないし、もちろん火の玉を出したり、時間を止めたりする能力も備わってはいない。
ただ、セリーナは生まれながらにして人より少しだけ数字と色に詳しかった。
数字や色のそれぞれの持つ意味を誰に教わる事もなく理解していた。
それらが未来や過去を教えてくれる物だと気付いたのは、6歳の頃。
難しい数式を辿った末にたどり着いたのは、自分の過去より、もっと前の前世の事だった。
そこでセリーナは数字や色を使った占いという物を生業に生活をしていた。
日々、沢山の人がセリーナの元に意見を聞きに列を成している前世を知った。
数字と色に対する知識が前世からのものであると理解したセリーナは、同時に自分のアドバイスで、周りの人に幸せが訪れる事の幸せを知った。
お茶会を計画していた友人には、テーブルに黄色の花を飾る様にアドバイスした。
領地の運営について悩んでいた父には、何かの決断をするのはあと3ヶ月待つべきだと進言した。
好きな殿方にどうアプローチしたらいいかと悩むご令嬢には、髪に白いレースのリボンを結うようアドバイスした。
小さなアドバイスが、小さな幸せを運び、気が付けば沢山の人がセリーナの所に様々な相談を持ってくるようになっていた。
そんなセリーナの元に、皇太子の婚約者として内定しているクラリス ハフトール公爵令嬢が訪ねて来たのは、今から1年ほど前の事だった。
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