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3章 疑惑の夜会編
3 伯爵令嬢はドレスアップする
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「うわぁ…流石セリーナ様。普段の慎ましやかなドレスも聖女然としてお似合いですが、この様な華やかなドレスも素敵です!特に明るく豊かな御髪が…信じられないくらい輝いていますっ!あとはネックレスとイヤリングを着ければ完璧です。」
ドレスの着付けを手伝ってくれたティナが、いつもの5割増しに目を輝かせた。
ティナの相変わらずな様子に呆れながらも、セリーナも鏡に写る自身の姿をもう一度じっくり確かめた。
…綺麗。
いや、私が…じゃないわよ。
そんなの、とんだ勘違い女じゃない。
でも…このドレス…本当に綺麗で…私も少しくらいマシに見えるわ。
そのシルバーグレーのドレスは、シンプルなラインとは対象にポイント事にふんだんにレースがあしらわれ、所々で純白のレースの花を咲かせている。
光沢のある生地は会場ではシャンデリアの明かりに照らされて輝き、純白にもシルバーにも見せてくれるだろう。
普段はドレスから自立して個性を主張する明るいオレンジの髪も、このドレスの前ではいいアクセントになっている。
「こんな色のドレス…夜会で着てる人見た事ないんだけど…。」
ティナが丁寧に蓋を開いたドレスの箱から「美しい貴女をエスコート出来る事を心待ちにしております」と、胸焼けしそうな程甘いコーエンからのメッセージカードと共に取り出したドレスを見て、セリーナがそうツッコミを入れたのは、つい先刻の事だ。
当日着るドレスは是非とも自分が選びたいとコーエンが強く希望しており、セリーナ自身も王城での夜会にどのような物を着るのが適切か判断がつかない為、お言葉に甘える事にしていた。
そして当日届いたのが、このシルバーグレーのドレスだった。
令嬢達が好んで着るパステルカラーでも、ましてや社交界の花と呼ばれる方達が自信の現れとして身に付ける派手な色でもない。
その薄いシルバーグレーは、光に照らされて…まるで純白にも見えて…。
「こんな色…結婚式でしか見ないわ。」
そう、正にウエディングドレスの様だ。
こんな事なら自分で用意するべきだったかも…と背中に冷たい汗を感じるセリーナとは逆に、ティナは興奮を隠しきれない様子で語り始めた。
「何を仰いますか。今日はセリーナ様が聖女として初めて公の場にお目見えされる日でもあるのです。ご覧下さい。この色!正に聖女様の色です!本当は純白でもいいくらいですが…きっとコーエン様が純白のドレスは結婚式に…とお考えなのでしょう。そんな所までご配慮されるなんて…本当に愛されてますね!」
聖女としてなら、夜会でこの色のドレスを着るのも有りなのだろうか。
城での勤めの長いコーエンが選んだと言うのだから、わざわざパートナーに恥をかかせるような選択はしないだろう…。
それよりも、純白は結婚式に…なんて言われれば、嫌でもドレス姿の自分と正装で並び立つコーエンを考えてしまいセリーナは頬を赤らめた。
あれから1人になり冷静に考えてみたのだ。
コーエンからのアプローチについて。
三日三晩、睡眠不足を感じながら悩み抜いた結果…特に問題無かった。
そう、何の問題も無いのだ。
コーエンはたぶん、ディベル伯爵家への婿入りを希望しており、家督を継いで皇太子の側に仕えたいのだろう。
そして、セリーナ自身もディベル伯爵家を継いでくれる婿を探さなければならない。
それが皇太子の乳母兄弟であるコーエンとなれば、ディベル伯爵家にとっては願ってもない申し出なのだ。
両親も諸手をあげてコーエンを迎えるだろう。
そしてセリーナ自身もコーエンの事が嫌いでは無かった。
そりゃ、最初は鬼か悪魔だと思ったわよ。
だって笑顔で冤罪を着せた上に、軟禁までされて…好意を抱けと言う方が難しいわ。
だが、母であるリリアを心配するコーエンの姿に、厳しくも正しく皇太子を支える姿に、そして自分を気遣ってくれる姿には好感が持てるのだ。
例え、コーエンがセリーナ自身ではなく、就職先としてのディベル伯爵家を望んでいたとしても…セリーナに損になる話は何も無かった。
セリーナはもう一度、鏡に写る自身の姿を確認した。
「コーエン様は褒めて下さるかしら…。」
本人も気付かぬうちに、まるで恋する乙女の様な小言を漏らせば、敏感な侍女は色めきだった!
「勿論ですよっ!こんな美しいセリーナ様を見れば、コーエン様だって目が離せません。きっとパーティーの間中、他の方に取られるんじゃないかとハラハラされるハズです!!」
この若くて活発な侍女は、恋愛関係の話になると普段より更に饒舌になる事は、出会ったその日から、胸焼けを起こすほど思い知らされていたので、セリーナは思わず苦笑を漏らした。
「ティナの言う事は一理ありますが、そこから先は自分で伝えるので大丈夫ですよ。」
入り口から急に聞こえた聞き慣れた声に、セリーナは驚き、ビクッと肩を震わせた。
「コーエン様…な…え…?」
セリーナはたった今ドレスの着付けを終えたばかりだ。
一歩間違えば支度を見られる所だった…。
どうして…?なぜ…?いつから…?
「驚かせてしまった様ですね。失礼しました。ティナから大方の準備が整ったと連絡を受けましたので、私の選んだドレスで着飾ったセリーナ嬢にいち早く会いたくて駆け付けました。ご無礼をお許し下さい。」
ゆっくりこちらに歩み寄るコーエン様に、チラリとティナを振り返れば、ニコニコと頷き返される。
この若くて活発な侍女は、ただ恋愛事情に饒舌なだけでなく、仕事も出来る女なのだ。
まだ状況が整理しきれていないセリーナの正面までゆっくりとたどり着いたコーエンが、その細長い指がセリーナの耳横に降ろされた後れ毛をすっと撫でる。
「本当にお似合いです。他の人の目に触れさすのが惜しいですね。夜会へ連れ出すのはやめて、この塔に閉じ込めてしまいたいくらいです。」
ボンっと音がして、セリーナの顔面が一気に赤み掛かる。
わかっているわ。お世辞というやつよ!
セリーナは自分に言い聞かせるが、先程まで勝手に妄想して居た2人の結婚式姿を思い返せば、その頬の熱が引く事はない。
「実際に閉じ込めた人が何を言ってるんですか。」
これ以上触れられれば、自分は羞恥で爆発でもしてしまうかもしれない…。
セリーナはコーエンから目を逸らしながらも、後れ毛に触れる手をそっと払った。
「それもそうですね。…ティナ、アレを…。」
コーエンはそんなセリーナの様子に苦笑を浮かべるが、その様子は余裕に溢れている。
呼ばれたティナはと言うと、セリーナ自身よりも前のめりに2人のやり取りをガン見していたが、コーエンから呼ばれた途端に待ってましたと言わんばかりに白い箱を差し出した。
中には水色に輝く石で花を象ったネックレスと、遂になるイヤリングが入っている。
「それは…アパタイト…?」
セリーナは見覚えのある石であるにも関わらず、見たことも無いほど透明度高く磨き上げられたソレに思わず目を奪われた。
「ご存知ですか?あぁ、宝石にもそれぞれ色や意味があるのだから、占いをされるセリーナ嬢の専門分野ですね。」
確かに自然から生まれて、特有の色を持つ宝石はそれ自体がおまじないの効力を持つ。
「えぇ。綺麗…。」
「気に入って頂けて何よりです。本当はサファイアでもお贈り出来れば良かったのですが…。」
こんなに喜んでいただけるなら、もっと奮発するべきでした。と苦笑するコーエンに、何故サファイア…?と聞こうと顔を上げて、セリーナは彼の青い瞳を思わず直視してしまった…。
アパタイトもサファイアも、コーエン様の瞳の色…。
そう思うと、一旦引いたはずの顔の熱がぶり返して来るのをセリーナは感じた。
そんなセリーナの様子に、コーエンは満足そうに笑みを深めた。
「お着けしましょう。」
コーエンの手が耳に触れ、その後、正面から抱きしめる様に首に回されてる間に、セリーナは身じろぎどころか、呼吸さえまともに出来ない。
もちろん、コーエンがそんなセリーナの様子を堪能するかの様に殊更ゆっくりとイヤリングとネックレスを付けているのに気付いているのは、前のめりにその様子を見守る侍女だけだった。
ドレスの着付けを手伝ってくれたティナが、いつもの5割増しに目を輝かせた。
ティナの相変わらずな様子に呆れながらも、セリーナも鏡に写る自身の姿をもう一度じっくり確かめた。
…綺麗。
いや、私が…じゃないわよ。
そんなの、とんだ勘違い女じゃない。
でも…このドレス…本当に綺麗で…私も少しくらいマシに見えるわ。
そのシルバーグレーのドレスは、シンプルなラインとは対象にポイント事にふんだんにレースがあしらわれ、所々で純白のレースの花を咲かせている。
光沢のある生地は会場ではシャンデリアの明かりに照らされて輝き、純白にもシルバーにも見せてくれるだろう。
普段はドレスから自立して個性を主張する明るいオレンジの髪も、このドレスの前ではいいアクセントになっている。
「こんな色のドレス…夜会で着てる人見た事ないんだけど…。」
ティナが丁寧に蓋を開いたドレスの箱から「美しい貴女をエスコート出来る事を心待ちにしております」と、胸焼けしそうな程甘いコーエンからのメッセージカードと共に取り出したドレスを見て、セリーナがそうツッコミを入れたのは、つい先刻の事だ。
当日着るドレスは是非とも自分が選びたいとコーエンが強く希望しており、セリーナ自身も王城での夜会にどのような物を着るのが適切か判断がつかない為、お言葉に甘える事にしていた。
そして当日届いたのが、このシルバーグレーのドレスだった。
令嬢達が好んで着るパステルカラーでも、ましてや社交界の花と呼ばれる方達が自信の現れとして身に付ける派手な色でもない。
その薄いシルバーグレーは、光に照らされて…まるで純白にも見えて…。
「こんな色…結婚式でしか見ないわ。」
そう、正にウエディングドレスの様だ。
こんな事なら自分で用意するべきだったかも…と背中に冷たい汗を感じるセリーナとは逆に、ティナは興奮を隠しきれない様子で語り始めた。
「何を仰いますか。今日はセリーナ様が聖女として初めて公の場にお目見えされる日でもあるのです。ご覧下さい。この色!正に聖女様の色です!本当は純白でもいいくらいですが…きっとコーエン様が純白のドレスは結婚式に…とお考えなのでしょう。そんな所までご配慮されるなんて…本当に愛されてますね!」
聖女としてなら、夜会でこの色のドレスを着るのも有りなのだろうか。
城での勤めの長いコーエンが選んだと言うのだから、わざわざパートナーに恥をかかせるような選択はしないだろう…。
それよりも、純白は結婚式に…なんて言われれば、嫌でもドレス姿の自分と正装で並び立つコーエンを考えてしまいセリーナは頬を赤らめた。
あれから1人になり冷静に考えてみたのだ。
コーエンからのアプローチについて。
三日三晩、睡眠不足を感じながら悩み抜いた結果…特に問題無かった。
そう、何の問題も無いのだ。
コーエンはたぶん、ディベル伯爵家への婿入りを希望しており、家督を継いで皇太子の側に仕えたいのだろう。
そして、セリーナ自身もディベル伯爵家を継いでくれる婿を探さなければならない。
それが皇太子の乳母兄弟であるコーエンとなれば、ディベル伯爵家にとっては願ってもない申し出なのだ。
両親も諸手をあげてコーエンを迎えるだろう。
そしてセリーナ自身もコーエンの事が嫌いでは無かった。
そりゃ、最初は鬼か悪魔だと思ったわよ。
だって笑顔で冤罪を着せた上に、軟禁までされて…好意を抱けと言う方が難しいわ。
だが、母であるリリアを心配するコーエンの姿に、厳しくも正しく皇太子を支える姿に、そして自分を気遣ってくれる姿には好感が持てるのだ。
例え、コーエンがセリーナ自身ではなく、就職先としてのディベル伯爵家を望んでいたとしても…セリーナに損になる話は何も無かった。
セリーナはもう一度、鏡に写る自身の姿を確認した。
「コーエン様は褒めて下さるかしら…。」
本人も気付かぬうちに、まるで恋する乙女の様な小言を漏らせば、敏感な侍女は色めきだった!
「勿論ですよっ!こんな美しいセリーナ様を見れば、コーエン様だって目が離せません。きっとパーティーの間中、他の方に取られるんじゃないかとハラハラされるハズです!!」
この若くて活発な侍女は、恋愛関係の話になると普段より更に饒舌になる事は、出会ったその日から、胸焼けを起こすほど思い知らされていたので、セリーナは思わず苦笑を漏らした。
「ティナの言う事は一理ありますが、そこから先は自分で伝えるので大丈夫ですよ。」
入り口から急に聞こえた聞き慣れた声に、セリーナは驚き、ビクッと肩を震わせた。
「コーエン様…な…え…?」
セリーナはたった今ドレスの着付けを終えたばかりだ。
一歩間違えば支度を見られる所だった…。
どうして…?なぜ…?いつから…?
「驚かせてしまった様ですね。失礼しました。ティナから大方の準備が整ったと連絡を受けましたので、私の選んだドレスで着飾ったセリーナ嬢にいち早く会いたくて駆け付けました。ご無礼をお許し下さい。」
ゆっくりこちらに歩み寄るコーエン様に、チラリとティナを振り返れば、ニコニコと頷き返される。
この若くて活発な侍女は、ただ恋愛事情に饒舌なだけでなく、仕事も出来る女なのだ。
まだ状況が整理しきれていないセリーナの正面までゆっくりとたどり着いたコーエンが、その細長い指がセリーナの耳横に降ろされた後れ毛をすっと撫でる。
「本当にお似合いです。他の人の目に触れさすのが惜しいですね。夜会へ連れ出すのはやめて、この塔に閉じ込めてしまいたいくらいです。」
ボンっと音がして、セリーナの顔面が一気に赤み掛かる。
わかっているわ。お世辞というやつよ!
セリーナは自分に言い聞かせるが、先程まで勝手に妄想して居た2人の結婚式姿を思い返せば、その頬の熱が引く事はない。
「実際に閉じ込めた人が何を言ってるんですか。」
これ以上触れられれば、自分は羞恥で爆発でもしてしまうかもしれない…。
セリーナはコーエンから目を逸らしながらも、後れ毛に触れる手をそっと払った。
「それもそうですね。…ティナ、アレを…。」
コーエンはそんなセリーナの様子に苦笑を浮かべるが、その様子は余裕に溢れている。
呼ばれたティナはと言うと、セリーナ自身よりも前のめりに2人のやり取りをガン見していたが、コーエンから呼ばれた途端に待ってましたと言わんばかりに白い箱を差し出した。
中には水色に輝く石で花を象ったネックレスと、遂になるイヤリングが入っている。
「それは…アパタイト…?」
セリーナは見覚えのある石であるにも関わらず、見たことも無いほど透明度高く磨き上げられたソレに思わず目を奪われた。
「ご存知ですか?あぁ、宝石にもそれぞれ色や意味があるのだから、占いをされるセリーナ嬢の専門分野ですね。」
確かに自然から生まれて、特有の色を持つ宝石はそれ自体がおまじないの効力を持つ。
「えぇ。綺麗…。」
「気に入って頂けて何よりです。本当はサファイアでもお贈り出来れば良かったのですが…。」
こんなに喜んでいただけるなら、もっと奮発するべきでした。と苦笑するコーエンに、何故サファイア…?と聞こうと顔を上げて、セリーナは彼の青い瞳を思わず直視してしまった…。
アパタイトもサファイアも、コーエン様の瞳の色…。
そう思うと、一旦引いたはずの顔の熱がぶり返して来るのをセリーナは感じた。
そんなセリーナの様子に、コーエンは満足そうに笑みを深めた。
「お着けしましょう。」
コーエンの手が耳に触れ、その後、正面から抱きしめる様に首に回されてる間に、セリーナは身じろぎどころか、呼吸さえまともに出来ない。
もちろん、コーエンがそんなセリーナの様子を堪能するかの様に殊更ゆっくりとイヤリングとネックレスを付けているのに気付いているのは、前のめりにその様子を見守る侍女だけだった。
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