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3章 疑惑の夜会編
13 伯爵令嬢は隣国王子と知り合う
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筆頭公爵家の家紋の目立つ豪華な馬車に、セリーナは自らのドレスを一度確認した。
この格好で乗り込んでおかしくは無いだろうか…。
ちょっと前であれば、恐れ多くて乗らないの一択だったのに、身嗜みさえ整っていれば乗せて貰おうと思っている辺り、セリーナ自身も城での生活で質の良い品々に慣れて来たと言う事だろうか。
左右に首を動かして、ドレスの裾を確認するセリーナをコーエンはクスクスと笑った。
「大丈夫、ちゃんと綺麗だよ。」
それは異性に向けた物と言うよりは、歳の離れた妹を宥めるような口調で、セリーナは少し頬を膨らませた。
「光栄だわ。」
御者が馬車の扉を開けてくれれば、流れるようなエスコートでコーエンが馬車の中へと導いた。
「それでは私が夕刻にハフトール公爵家に迎えに行くまで、くれぐれもクラリス様と離れないようにね。」
コーエンは引き続き妹に言い聞かせる様に言って、セリーナの指先に軽いキスを落とした。
その見上げる様な視線は、とても妹に向ける物ではなく、セリーナは先程と同じ様に顔を赤らめた。
元々、セリーナとしてはクラリスと一緒に夜会に合わせて戻ってくるつもりだった。
マリアーナ様やドロシー様も交えた茶会は午前中で終わるので、午後には今日の夜会の為のドレスを見に行こうとクラリスが誘いの手紙をくれたのは朝早くの事だった。
だから、クラリスと一緒にドレスを選び、その後、一緒に王城に戻って夜会に参加するつもりだったのだ。
「では、お支度が整った夕刻に公爵邸まで迎えに行くよ。」
公爵邸へ向かうセリーナを見送りに来たらしいコーエンは、さも当然と言った様子で言った。
「え?でも、私はクラリスと一緒に戻ってくるから平気よ?」
「セリーナがクラリス様を好きな事はわかったけど…彼女にもパートナーが居るのだから、エスコートの名誉を奪ってはいけないよ。」
コーエンがそう言った事で、セリーナはミルワード王国の王子の存在を思い出した。
ただでさえセリーナが原因で、彼が夜会会場で置いてけぼりを食らったのは昨晩の話だ。
確かに今日はクラリスを譲った方が良さそうだ。
「でも、それなら1人でも平気よ。1人が駄目ならティナに付いて来てもらう事も出来るとは思うけど…。」
自分の外出と合わせて、今日は休みを取る様に伝えた時のティナの笑顔に申し訳ない気持ちを抱きながら、そう言い切ると、コーエンは呆れたように溜息をついた。
「私からも君のエスコートという大役を奪わないで欲しいんだけど。」
急に熱を持った視線で見つめられ、セリーナは昨夜の事を思い出し、コーエンの視線に熱されたかの様に赤くなる…というやり取りがあったのは、つい先程だ。
妹扱いしないで欲しいような…、終始あんな熱の籠った目で見られれば堪らないので、妹扱いでもいいような…それは恋愛初心者のセリーナには難しい問題だった。
このまま焼け焦げてしまう前に、セリーナは、コーエンの手を素早く振り解くと御者に声を掛けて馬車を出発させたのだった。
何度かセリーナに誘われて訪れた事のあるハフトール公爵邸は、やはり見るものを圧倒する迫力があった。
通された庭園も隅々まで整備が行き届いているのは、クラリスの母であるハフトール公爵夫人が無類の花好きなのも理由かもしれない。
そんな見事な庭園を堪能する余裕もなく、キョロキョロと挙動不審な動きをするドロシー嬢と、一見落ち着いて見えるが、先程から口元へ運んだ紅茶を飲みもせず、口元とソーサーへカップを行ったり来たりさせているマリアーナ嬢をセリーナは微笑ましい気持ちで観察していた。
確か、私もハフトール公爵邸は毎回緊張していたわ。
セリーナが初めてここを訪れた時など、緊張し過ぎて粗相の連続だった。
それ比べれば、2人のこの緊張など淑女としての範疇だ。
そしてセリーナ自身はハフトール公爵邸を訪れる事が何度目かになるのはもちろんだが、王城での暮らしというマナーの実践訓練の様な場に身を置き続けているお陰で、少しだけ自分に自信がついたのかもしれない。
今日は余裕をもって庭園の花々を堪能出来ていた。
「皆様、今日はお越し頂きありがとうございます!」
この緊張状態の中に、ふわりと降ってからクラリスの声は、まるでまだ蕾だった花達が全て開花したのでは無いかと錯覚するほど華やかな響きだった。
セリーナは声のする方へ顔を向けると、そこにクラリスと、彼女をエスコートする1人の男性の姿を認めて、ゆっくりとカーテシーを取った。
すぐ後ろでマリアーナ嬢とドロシー嬢もそれに倣う。
「ご機嫌うるわしゅう、ミルワード王子殿下。ディベル伯爵家のセリーナと申します。」
聖女の任を賜っている事もあり、今日の招待客の中では序列の高いセリーナが挨拶をると、残り2人の令嬢もそれに続いた。
「皆さん、どうか顔を上げて下さい。クラリスのご友人達にご挨拶を…と思いましたが、変に気を使わせてしまいましたね。アドルフ ミルワードと申します。お会い出来て光栄です。」
クラリスをエスコートして現れたアドルフ殿下は、そう言って親しみやすい笑みを浮かべた。
いつも仏頂面の皇太子ばかりを見ているセリーナは、花の様な姫と並び立つ本物の王子を思わず凝視した。
後ろの2人もほーっと息を漏らし、2人の姿に見惚れているようだ。
この方がクラリスのお相手なのね。
本物の王子様だわ。
厳密に言えば…、いや言わなくともリードとて本物の皇太子なのだが、今セリーナが言っているのはその様な肩書きの話ではなかった。
醸し出す雰囲気の問題だ。
親友の見る目の高さを心の中で称賛していると、当の本人であるクラリスが少し怒った様に声を上げた。
「皆様、困らせてしまってごめんなさい。アドルフ様がどうしてもご挨拶をと言うものだから…ほら、やはりこうなるじゃないですか!」
後半部分は隣のアドルフに向けたものだ。
その言葉だけで2人の親密具合が窺える。
「すいません。一目、セリーナ聖女にお会いしたかったのですが、目的も果たせましたし、女性だけの楽しい時間を邪魔するような無粋な真似はしたくありませんので、私はすぐに失礼します。」
セリーナ聖女とは、呼ばれ慣れない名前ではあるが、確実に自分の事だろう。と、セリーナは驚いた様子でアドルフを見た。
「私…ですか?」
「ええ、昨日リード殿と貴女について少し話す機会がありまして…不躾ながらどの様な方なのか気になっておりました。」
初耳だったのかアドルフの隣に立つクラリスも驚きの声を上げた。
「リード殿下が?」
「えぇ、グリフィス王国にとって大切な存在だと仰っていました。」
寝耳に水である。
少なくともセリーナはリードから直接その様な言葉を掛けられた事はないので、きっと対外的な自国の聖女に対する世辞であろう事は簡単に想像出来た。
「その様な…両殿下の話題に上がりましただけでも恐れ多い事です。」
「どうやら奥ゆかしい方の様だ。是非、セリーナ聖女とは改めてゆっくりとお話をしたいものです。そうだ、私とクラリスの結婚式の折は、是非、我がミルワード国にご招待させてください。」
突然の誘いに、セリーナはクラリスの様子を確認すると笑顔で頷いてくれた。
「ご招待ありがとうございます。お二人の晴れ姿を直接拝見出来る事を今から楽しみにしております。」
王城での生活で鍛え上げられた綺麗な礼を取ると、アドルフが片手を挙げて応えた。
「さぁ、これ以上長居しては、クラリスの機嫌が悪くなってしまうだろうから、私は失礼しますね。どうぞ、楽しい時間をお過ごし下さい。」
爽やかな笑みを残して去って行く王子に、セリーナ、ドロシー、マリアーナの3人は、彼が来た時と同じ様にほーっと息を吐いた。
この格好で乗り込んでおかしくは無いだろうか…。
ちょっと前であれば、恐れ多くて乗らないの一択だったのに、身嗜みさえ整っていれば乗せて貰おうと思っている辺り、セリーナ自身も城での生活で質の良い品々に慣れて来たと言う事だろうか。
左右に首を動かして、ドレスの裾を確認するセリーナをコーエンはクスクスと笑った。
「大丈夫、ちゃんと綺麗だよ。」
それは異性に向けた物と言うよりは、歳の離れた妹を宥めるような口調で、セリーナは少し頬を膨らませた。
「光栄だわ。」
御者が馬車の扉を開けてくれれば、流れるようなエスコートでコーエンが馬車の中へと導いた。
「それでは私が夕刻にハフトール公爵家に迎えに行くまで、くれぐれもクラリス様と離れないようにね。」
コーエンは引き続き妹に言い聞かせる様に言って、セリーナの指先に軽いキスを落とした。
その見上げる様な視線は、とても妹に向ける物ではなく、セリーナは先程と同じ様に顔を赤らめた。
元々、セリーナとしてはクラリスと一緒に夜会に合わせて戻ってくるつもりだった。
マリアーナ様やドロシー様も交えた茶会は午前中で終わるので、午後には今日の夜会の為のドレスを見に行こうとクラリスが誘いの手紙をくれたのは朝早くの事だった。
だから、クラリスと一緒にドレスを選び、その後、一緒に王城に戻って夜会に参加するつもりだったのだ。
「では、お支度が整った夕刻に公爵邸まで迎えに行くよ。」
公爵邸へ向かうセリーナを見送りに来たらしいコーエンは、さも当然と言った様子で言った。
「え?でも、私はクラリスと一緒に戻ってくるから平気よ?」
「セリーナがクラリス様を好きな事はわかったけど…彼女にもパートナーが居るのだから、エスコートの名誉を奪ってはいけないよ。」
コーエンがそう言った事で、セリーナはミルワード王国の王子の存在を思い出した。
ただでさえセリーナが原因で、彼が夜会会場で置いてけぼりを食らったのは昨晩の話だ。
確かに今日はクラリスを譲った方が良さそうだ。
「でも、それなら1人でも平気よ。1人が駄目ならティナに付いて来てもらう事も出来るとは思うけど…。」
自分の外出と合わせて、今日は休みを取る様に伝えた時のティナの笑顔に申し訳ない気持ちを抱きながら、そう言い切ると、コーエンは呆れたように溜息をついた。
「私からも君のエスコートという大役を奪わないで欲しいんだけど。」
急に熱を持った視線で見つめられ、セリーナは昨夜の事を思い出し、コーエンの視線に熱されたかの様に赤くなる…というやり取りがあったのは、つい先程だ。
妹扱いしないで欲しいような…、終始あんな熱の籠った目で見られれば堪らないので、妹扱いでもいいような…それは恋愛初心者のセリーナには難しい問題だった。
このまま焼け焦げてしまう前に、セリーナは、コーエンの手を素早く振り解くと御者に声を掛けて馬車を出発させたのだった。
何度かセリーナに誘われて訪れた事のあるハフトール公爵邸は、やはり見るものを圧倒する迫力があった。
通された庭園も隅々まで整備が行き届いているのは、クラリスの母であるハフトール公爵夫人が無類の花好きなのも理由かもしれない。
そんな見事な庭園を堪能する余裕もなく、キョロキョロと挙動不審な動きをするドロシー嬢と、一見落ち着いて見えるが、先程から口元へ運んだ紅茶を飲みもせず、口元とソーサーへカップを行ったり来たりさせているマリアーナ嬢をセリーナは微笑ましい気持ちで観察していた。
確か、私もハフトール公爵邸は毎回緊張していたわ。
セリーナが初めてここを訪れた時など、緊張し過ぎて粗相の連続だった。
それ比べれば、2人のこの緊張など淑女としての範疇だ。
そしてセリーナ自身はハフトール公爵邸を訪れる事が何度目かになるのはもちろんだが、王城での暮らしというマナーの実践訓練の様な場に身を置き続けているお陰で、少しだけ自分に自信がついたのかもしれない。
今日は余裕をもって庭園の花々を堪能出来ていた。
「皆様、今日はお越し頂きありがとうございます!」
この緊張状態の中に、ふわりと降ってからクラリスの声は、まるでまだ蕾だった花達が全て開花したのでは無いかと錯覚するほど華やかな響きだった。
セリーナは声のする方へ顔を向けると、そこにクラリスと、彼女をエスコートする1人の男性の姿を認めて、ゆっくりとカーテシーを取った。
すぐ後ろでマリアーナ嬢とドロシー嬢もそれに倣う。
「ご機嫌うるわしゅう、ミルワード王子殿下。ディベル伯爵家のセリーナと申します。」
聖女の任を賜っている事もあり、今日の招待客の中では序列の高いセリーナが挨拶をると、残り2人の令嬢もそれに続いた。
「皆さん、どうか顔を上げて下さい。クラリスのご友人達にご挨拶を…と思いましたが、変に気を使わせてしまいましたね。アドルフ ミルワードと申します。お会い出来て光栄です。」
クラリスをエスコートして現れたアドルフ殿下は、そう言って親しみやすい笑みを浮かべた。
いつも仏頂面の皇太子ばかりを見ているセリーナは、花の様な姫と並び立つ本物の王子を思わず凝視した。
後ろの2人もほーっと息を漏らし、2人の姿に見惚れているようだ。
この方がクラリスのお相手なのね。
本物の王子様だわ。
厳密に言えば…、いや言わなくともリードとて本物の皇太子なのだが、今セリーナが言っているのはその様な肩書きの話ではなかった。
醸し出す雰囲気の問題だ。
親友の見る目の高さを心の中で称賛していると、当の本人であるクラリスが少し怒った様に声を上げた。
「皆様、困らせてしまってごめんなさい。アドルフ様がどうしてもご挨拶をと言うものだから…ほら、やはりこうなるじゃないですか!」
後半部分は隣のアドルフに向けたものだ。
その言葉だけで2人の親密具合が窺える。
「すいません。一目、セリーナ聖女にお会いしたかったのですが、目的も果たせましたし、女性だけの楽しい時間を邪魔するような無粋な真似はしたくありませんので、私はすぐに失礼します。」
セリーナ聖女とは、呼ばれ慣れない名前ではあるが、確実に自分の事だろう。と、セリーナは驚いた様子でアドルフを見た。
「私…ですか?」
「ええ、昨日リード殿と貴女について少し話す機会がありまして…不躾ながらどの様な方なのか気になっておりました。」
初耳だったのかアドルフの隣に立つクラリスも驚きの声を上げた。
「リード殿下が?」
「えぇ、グリフィス王国にとって大切な存在だと仰っていました。」
寝耳に水である。
少なくともセリーナはリードから直接その様な言葉を掛けられた事はないので、きっと対外的な自国の聖女に対する世辞であろう事は簡単に想像出来た。
「その様な…両殿下の話題に上がりましただけでも恐れ多い事です。」
「どうやら奥ゆかしい方の様だ。是非、セリーナ聖女とは改めてゆっくりとお話をしたいものです。そうだ、私とクラリスの結婚式の折は、是非、我がミルワード国にご招待させてください。」
突然の誘いに、セリーナはクラリスの様子を確認すると笑顔で頷いてくれた。
「ご招待ありがとうございます。お二人の晴れ姿を直接拝見出来る事を今から楽しみにしております。」
王城での生活で鍛え上げられた綺麗な礼を取ると、アドルフが片手を挙げて応えた。
「さぁ、これ以上長居しては、クラリスの機嫌が悪くなってしまうだろうから、私は失礼しますね。どうぞ、楽しい時間をお過ごし下さい。」
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