餌をあげてた狸が女の子の姿でアシスタントにしてくれと来たけど俺は漫画家じゃない。

D−con

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漫画家を目指す、1人と1匹

タヌキ電車に乗る

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 さて、休日である。

 電車に乗らずに行ける本屋は俺が知る限り二つ、そのどちらも覗いて見たけど漫画の原稿用紙は見当たらなかった。
 アテが外れたな。
 
「仕方ない、新宿まで行くか。」

「なうな。」

 あの、自然と俺の手を握ってくるけど、なんなの? 悪女なの?
 慌てるのもかっこ悪いから何食わぬ顔で俺は歩くけどな。

「油おじさん、手から凄い勢いで油なう!!」

「・・・。」

 朱花の手を振りほどいて俺は駅まで駆け足で進んだ。

 駅に行って切符を2人分買う、そうだよ俺は未だに切符を買ってるよ。
 だって電車に乗る用ほとんどないんだもん。


 やめろ! 電車を待つ間になんでまた手を繋ごうとする!?
 イチャイチャしてると思われるだろ!
 俺は独り身が長いから分かるんだよ、公衆の面前でイチャイチャしてると殺意を持たれるって。
 何故なら俺が持っていたからな。

 という訳で追ってくる朱花の手から逃げる、うわー、これはこれでダメな気がする、猫じゃらしで猫と遊んでる絵面だ、ただし猫じゃなくて美少女。

 平日の昼間だからそんなに混んでないな、朱花と並んで座れた。
 ・・・並んで座るって距離近いな。
 心臓の音とか聞かれないかな?

「朱花、電車は乗ったことあるの?」

「あるに決まってるなうな。新幹線もあるし飛行機もあるなう。」

「まじか、それは凄いな。」

 俺は飛行機は未だに乗ったことないのに・・・?

「いや、どうやって!?」

 つい大きな声を出してしまって視線が集まる、すいませんと意思を込めて頭を下げる。
 なんで狸が飛行機に乗ってるんだよ!?

「どうやってなうな? 油おじさん飛行機乗った事ないなうか・・・説明しづらいからネットで調べるなう。」

 いや、俺が飛行機の乗り方を教えて欲しい訳じゃない、確かに全く分からないけど。
 どうやって狸が乗ったのかを知りたいんだよ。

 まーいいか。

「飛行機でどこ行ったんだ?」

「沖縄なう。」

 沖縄か、国内ならパスポートいらないのかな? なら狸でも行けるか?

「ハブ狸とマングース狸との三つ巴の戦いを繰り広げて来たなう! はふん!」

 誇らしげに鼻息荒くしてるけど何してきてんだよ!
 なんだよ、ハブ狸とマングース狸って?

 ・・・あのー、頭をポテンと俺の肩に乗せてくるのやめてくれませんか。
 かわいすぎて苦しいんで。


 新宿のアニメショップで原稿用紙は見つかった、あとはペンにインクに定規、トーンはとりあえず保留でいいかな。

「これがGペン、右手の指にはめれば最大五本の線をかけるなうな。」

 やめなさい、ちゃんとペン軸も買ってやるから。

「あと、首にさせば油おじさんの血を抜く事も出来るなうな。」

 やめなさい、ただでさえおじさん体が重いんだからな。
 とりあえずはこれでオッケーかな、買い物を終えて外に出る。

「どっか、他に行きたいところとかある?」

「別にないなうな。」

「そっか、じゃあご飯食べて帰るか。何食べたい?」

「なうな、ついてくるなう。」

 えっ、先導するの?
 まさか新宿に行きつけの店があるのか?
 狸なのに?

 俺は新宿来てもどこ行けばいいのか分からないから百貨店のレストラン街でばっかり食べてたぞ。

「あそこがいいなう。」

 牛タン? 牛タン?
 おじさんそんなの焼肉でしか食べた事ないぞ。

 とりあえず入って、マジか、タンにも種類があるのか!
 じゃあ、色んなのが食べれる量の多そうなの。 俺はご飯よりおかずが多めじゃないとダメなんです。
 朱花も同じのな。


 
 美味かった。
 これが牛タン。

「俺、東京に来て食べた中で牛タンが一番かも。」

「なうな! 幸せなうな。」

 にへへと笑う朱花が俺の腕にしがみついて来る。
 かわいいなー。
 いつもなら恥ずかしくて抵抗するのに今はお腹いっぱいで幸せだからそのまま受け入れる。
 
 電車の中では2人で寄り添いながら寝て帰った。
 
 2人なら幸せ2倍どころじゃないな、無限大だ。
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