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冒険者パーティーイレヴンズ
人の夢を食い物にするな!
しおりを挟むギルドへの登録は無事に終わった。
イレヴンズ ランクD
リーダー
アキ・カワウロコ
ランクE レベル1 魔法剣士
サブリーダー
ハル・クロタカ
ランクE レベル1 弓使い
ユラ・ヒメノロシ
ランクE レベル1 剣士
ナナナ・シャーマイン
ランクE レベル13 召喚士
ラズリー・ココット
ランクE レベル46 メイド
これがパーティーとして登録した情報、魔法剣士などのジョブは自己申告である。
この中に賢者と聖女の予備がいるんだぜ。
そしてラズのレベルが高い! これ、謀反を起こされたらどうしようもないんだよな。
元ギャンブラーメイドには誰も逆らえない。
ちなみに全員ランクEからのスタート、パーティー名とランク、名前の書かれたギルドカードを貰った。ちなみに人数が多いからパーティーランクはDになっている。
今日はこれから森の方に行ってみてスキルを試してみながら簡単な採取をしてみる予定なのだが。
「軟骨と砂肝、ねぎま! 手羽先串も美味しそう! 炭で焼くのは美味しいんだよね」
大通りに並ぶ屋台にうちの聖女が捕まっている。
「せっかくなのでお弁当代わりに買っていきましょうか、皆様も欲しいものがあったら言ってくださいね。」
「・・・」
笑顔を絶やさない王女様器でかいよね。
「ぼんじりって何?」
「ぼんじりはお尻付近のお肉だよ!コラーゲン豊富という噂!おじさん、全種類10本ずつください!」
「はい、騎士様ありがとうございます!今すぐ焼かせていただきます!」
鉢巻をしたおじさんの背筋が伸びて汗が凄いけど、ユラ貴族の騎士だと思われてない? 横にメイドも従えてるし。
「後で取りにきますね!次のお店は牛串か!」
「お供します!ユラ様」
「・・・」
「全部で100本近いけど、これ私達の分も入ってる、よね?」
「・・・多分」
不安そうなハルの声に俺は首を傾げながら答える、ユラなら1人で食べても驚かないんだよな。
「おー、ドラゴン串なんてのもある!1本千エン!ななちゃん、これも買っていい?ん!?」
笑顔でテンションを上げていたユラの目が突然鋭くなる!
「ねー、このお肉、カエルだよね?」
「き、お客さん、言いがかりをつけられちゃ困るな!こっちは赤字ギリギリで特別な肉を売ってるんだ、あんた本物のドラゴンの肉なんてみた事ないんだろ!?」
声を荒げる屋台の男、ガラが悪い見た目だぞ、怖っ!?
鑑定した結果ドラゴンじゃなくてカエル肉だったからユラは怒ってるって事なんだろうけど。
どうすんの?どんなるの!?
うわっ、ユラが腰の剣を抜いて振る。
・・・風を斬るいい音!そのまま剣は男の首に当てられる。
「カエル肉だよね? しかもこれ、腐りかけだね」
ユラから発せられる冷たい声、腰が抜けたのか男が尻餅をついた。
「き、騎士様それは誤解で」
「ラズちゃん、この国では肉の種類を偽るのはオッケーなのかな?」
「オッケーではないですが、屋台などでは暗黙の了解かと、この位では衛兵も動かないでしょうね」
「・・・そう」
「な、何を涼しい顔をしてやがる!こっちは営業の妨害をされてんだ!タダで済むとっ・・・!!」
ラズの言葉に自分の有利を感じ取ったのか体を起こしてくる男、ユラは剣を持ってない左手でその首を素早く掴む。
「何勘違いしてるのかな?国が許しても僕が許さない!人の夢を食い物にするな!!」
「ひっ!?」
凄むユラと悲鳴を上げる男。ユラが手を放すと男はまた地面に落ちていく。
「・・・」
「ドラゴンの肉って人の夢なの?」
「俺に聞くな」
「ユラさん、昨日から何度もドラゴンのお肉って歌ってましたから」
そういえば俺もそれ聞いてた。
「明日からは真面目に肉を売るんだね。その腐りかけの肉は自分で全て食べてね、捨てる事は許さない!」
「ひーー!わ、分かりました!」
頭を押さえる男を見下ろしながらユラは剣を鞘に戻す。
怖っ!
「なんかユラって剣の扱い上手いわね」
いや、気にする所そこか?
「ユラ様お手が汚れてしまいました」
男の首を触ったのがメイド的には嫌だったのか、甲斐甲斐しくユラの手をハンカチで拭いている。
うちの女性陣メンタル強!問題起きても全然動じないじゃん。
「・・・やっぱりカエル串貰おうかな、塩とタレ1本ずつ」
「カエル、気になったのね・・・」
メンタル強っ!!
ガラの悪い男の動揺が凄い!挙動不審に首が凄い振動してる!!
「あの、ご注文いただいた串、焼き上がりました。あの、お代は結構ですので」
おう、最初に焼き鳥を注文した店員さんもかなりビビってる!
「いえ、払います!ちゃんと払いますからそんな顔しないでください!」
「・・・」
俺達は果物も買いたいというユラを引きずって街を離脱した!
女の子って腕柔らか!!
「疲れた!なんか凄い疲れた」
街から離れた所でしゃがみ込む俺の背中をナナが優しくさすってくれた。
「お疲れ様です。アキさんが自発的に喋るなんてよほど疲れたんですね」
ナナの俺に対する認識!
「ユラ、あんまり無茶しないでよ。あなたが捕まってしまうわよ」
「ごめん。我を忘れてしまったよ」
「ユラ様が捕まってもラズが必ず助けにいきます!キリッ!」
キリッじゃねーよ、脱獄させるな!
「大丈夫ですよ、私がいる限り余程の罪じゃない限りは揉み消せますから。きりっ!」
王女様もキリって言うんだ。はー、犯罪組織にはなりたくない。
「結構人通りが多いのね、モンスターとかはあまりいないの?」
ハルの言う通りで馬車やら通行人が整備された道を進んでいく。平和そうではある。武器を持った冒険者みたいのもちらほら、何あの大きな斧、あんなん食らったら真っ二つになってしまう。
あっ、女性だけの冒険者パーティーだ・・・。
「王都ですから、栄えていますよ。この辺は騎士も定期的に巡回していますので、モンスターはほとんど出ないですね。森はあっちですね、歩いて1時間程だったかと」
女性パーティーから目を外しナナが指差す方を見る。あの女性パーティーをどうこう言うつもりは無いけど、うちの女性陣見た目は凄くレベル高いと改めて認識した。
本当、よく冒険者達も絡んで来なかったよな。メイド姿のラズがいるし、皆して高級な服を着ているからか?
だが、いつ絡まれるかは分からない。その時痛い目にあうのは間違いなく俺だろう、早く強くならねば。
「よし、行こう!」
「おー、アキさんからやる気が溢れてますね!」
俺が声を出しただけでその認識はやめてくれ!
ハル笑うな!
「さてさて」
声を出しながらハルが自分のアイテムボックスからボーガンを取り出して肩にかける。扱い方は銃に近くて、引き金を引くと鉄の矢が飛ぶらしい、最大16連射可能だとか。
ハルは次に右手に自作の爆弾を取り出す。念じるだけで物を出せるアイテムボックスって便利すぎる。
「ファイア」
おっ、魔法か? ハルが持つ爆弾の導火線に小さな火がついた。何気にこれが初魔法か!
初めて見る魔法が同じ異世界召喚仲間の使う魔法だと、ショボくても感慨深い・・・じゃねーよ!なんでいきなり爆弾に火をつける!?
俺がギョッとした時にはもう爆弾は宙を待っていた!慌てて顔の前を手で守る。
パン!
小さっ!爆風とか一切ない、少し光るのが見えたかなって感じ。爆竹以下?
「分かってはいたけど、やっぱり火魔法のスキルのレベルが低いとダメね。これなら魔法で直接攻撃した方がいいわ」
いや、呑気に自分の爆弾を採点してるけど、後ろから音に驚いた通行人の視線が突き刺さってくるのを感じる。
俺は居た堪れなくなって駆け出した!
本当、なんで自由人ばっかりなんだよ!
・・・あっ、すぐに見た目聖騎士とメイドに追い抜かれた!嘘、スペック高っ!
うわ、差が広がる!スペック高っ!
レベル差があるラズはともかく、聖女の予備とは一体なんなんだ?
スキルの脚力強化を試してみたけど、差は縮まったりはしなかった。このスキルは足を使う1つの動作が強化されるから1回地面を蹴って進む距離が大きくなる、連続で使う事も可能だが、使ってなおユラの方が早い。スペック高っ!
俺は足を止めてなんとなく空を見上げた。あっ、ナナの溺愛する召喚獣の綺麗な鳥が聖女とメイドを追いかけていった。
「ちょっと急に走らないでよ!私体力には自信ないんだからね・・・はあ、はあ、ほら、わんこみたいな2人が止まらなくなっちゃったじゃない!」
わんこみたいな2人の事を俺のせいにされても、それに急に爆弾投げた奴に文句言われたくない。
「・・・」
異世界の空は綺麗だなー。
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