補欠勇者のわくわくパーティー

D−con

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冒険者パーティーイレヴンズ

2人仲良いね?

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 そして今日もやって来ました、冒険者ギルド。
 聖騎士とメイドと黒づくめと目立つ事間違いなしのメンツであるが今の所は絡まれたりしていない。

「ふーむ、鳥肉もいいよねー、間違いないよね」

 そうだな、鳥肉に間違いはない。昨日の焼き鳥も美味かったしな。
 俺達は今受付には行かずに壁に貼られた掲示物を見てる、いわゆる常時依頼というやつらしい、こういう肉なら大体いくらくらいで買い取りますよというのが書かれてる。
 これを見れば森にどんな食べれる動物、魔物がいるのかが分かりやすいのだ。

 誰も売るとは言ってない、多分うちの聖女さんを筆頭に食べるのだ。

 兎肉も募集してるな、大体一羽で1500エン、状態が悪ければ更に安くなる、血抜きをしておくことがオススメされてる。

 鳥系は色々いるみたいだな、飛ぶやつから飛ばないやつまで、飛ぶ鳥って食べた事ないけど美味いんだろうか?

 おう、トカゲにヘビ、2メートル越えのトカゲとか勘弁してほしいな・・・。

「あっ、あった!」

 ユラの声にその目線を追えば・・・オークだ。

「・・・」

 いや、探してたのオークかよ。
 異世界モノの鉄板ではあるけどさ、食にアグレッシブすぎない? そりゃいつかは食べてみたいだろと言われれば否定は出来ないけど、そんなに急がなくてもいいだろ?

 ほら、猪とか熊から始めない?

 身長2メートル越えの二足歩行の豚とか、色々難易度高くない? ほら討伐推奨冒険者ランクCになってるぞ、俺達Eだぞ。
 まー、ラズは元々はBランクだというから問題ないのかもしれないけど、最初から他力本願は違う気がする。

「やっぱりいるんだね、オーク。よし、僕とアキ君で狩ろう!ラズちゃんはいざという時以外は手を出さないでね」

「ラズはユラ様見守り隊です!キリリっ」

 ・・・他力本願じゃなかったらしい。
 ・・・それはそれでさー・・・。

「俺達はEランクだぞ」

「大丈夫。昨日の僕達より今日の僕達の方が強いから、実質Dランクだよ」

「・・・」

 何その正しいのかどうか判断しづらい理論、正しかったとしてもランク足りてないしさ。

 ただ確かに俺も自分が駆け出し冒険者よりも強いんじゃないかという気はしてる、予備とは言え勇者だし、自分でスキルを選べるというメリットもあるし・・・更には昨日レベルも上がってる訳だしな。
 ここらで一回自分の能力を確かめておいてもいいのかもしれないな。
 オークを倒せるようなら実質Cランクか。

 と、そんな事を考えながら屋台で買い物をしてる。・・・ユラが。

 甘いクレープおかずクレープ甘いクレープおかずクレープ甘いクレープおかずクレープ・・・一体どれだけ買い溜めするつもりなんだろ。異世界でもクレープ屋さんってあるんだな、なんかTシャツにエプロン姿の女性店員さんも現代風だし。

 俺も買おう、ベリーベリークリーム、なんかベリーという言葉に弱いのだ。
 ユラが早速食べ始めてる、右手にチョコバナナクレープ、左手にはウインナーとハッシュドポテトのクレープ、二刀流でパクついている、行儀の悪い行為の筈なのに絵になるから美形は凄い。
 ・・・俺も買ったクレープ、今食べよう。女の子とクレープの買い食いとか実は少し憧れてたんだけどこんな形で叶ってしまった。
 嬉しいか?と言われれば普通に嬉しかったりする、ユラはいい笑顔でクレープを食べてるからな。
 ちなみにメイドさんはいつでもユラの口元を拭けるようにハンカチを持って待機中である。

「昨日のドラゴン串の屋台のおじさんいないんだね」

「・・・」

 そりゃあんだけ脅せばいないだろうさ。

「大丈夫です。きっとあの男もユラ様の激励で一回りも二回りも成長して戻って来る筈です。キリッ」

「うん、僕もそう信じてるよ」

「・・・」

 いや、戻ってこないだろ。
 ・・・今更だけど、うちのパーティーってツッコミがいないんだよな。
 ・・・俺か?いや、俺じゃないだろ。
 そもそもボケてるつもりが無さそうなのが難しそうだ。
 なんか言って「えっ?」って反応されると辛い。

「・・・」

 そんな感じで街の外に。
 良かった、突然2人して走り出したらどうしようかと思ったがいらない心配だったようだ。

「なるほど、こんな感じなんだね」

「何がだ?」

「スキルの魔物感知」

 なるほど、新しいスキルを早速使ってみたのか。

「どんな感じ?」

「んー、自分を中心に何か超音波みたいのを飛ばす感じかな?今は何も反応ないけど、結構範囲は広そうかも、100メートルってところ・・・これも慣れれば範囲が広がるのかな?レベルは今のままでも充分そうだね」

 レベルは4だったか、しかしなんかしっかりしてるな、この人。

「あーなるほど。円状に感知をかけるよりもまずは直線的に感知をかけて、それをグルリと回すイメージでやるとかなり範囲が広がるのかな」

「・・・」

 いや、使いこなすまでの速さ!
 天才なの?

「あそこ、飛んでる鳥がいるけど魔物みたいだよ」

 ・・・かなり遠くの小さな鳥を認識出来るのか、これってスキルが凄いのか、ユラが凄いのか・・・。

「さすがでございます、ユラ様」

 多分そういう事なんだろうな。

「なるほど、そういう事か。意識すると死んでる魔物というか魔石の反応も分かるね。あそこを歩いてる冒険者の人達から複数の反応が分かる」

 いや、本当に凄すぎる!!
 うちの聖女さんは本当にポテンシャル高いぞ・・・なんか凄くもったいない気がしてしまうんだが。

「よし、これならピンポイントでオークを探せる気がするよ!森まで急ごう!!」

「ラズはどこまでもついていきます!!」

 うわー!ほら、結局走り出したよ!!この人達は!!

 くそーー!涼しそうな顔の2人に俺は全力疾走でなんとか喰らいつく。
 くそー、森までならなんとか、多分なんとか体力が持つ筈、現役高校生男子の体力を見せてやる。

 はーはーはー

 なんとか距離を開けられずに走り切った俺は座り込んで大きく呼吸する。
 やばい、ギリギリだった。クラクラする。
 ラズが背中をさすってくれる、この人俺にも優しくしてくれるのか、意外だ。

「全く情けない小僧だ。だがよくユラ様について来た、良くやった!」

 何この人鬼教官か何かかな?
 ユラは様付けなのに、俺は小僧なのか。

「・・・」

 だが何かを言う元気はない、好きに言わせておこう。

「この反応は動物型かな、あっちの群れてるのはゴブリン、こっちのは小さいけど何か危険かも・・・なるほどね」

 俺達には目もくれず森を向くユラの横顔は真剣だ。
 悔しいけど素敵、こんなんファンになってしまう、俺の背中に手を置きながら一時停止したラズと俺は同じ感銘を受けているんだろうな。

「オッケー、多分オークを見つけたよ。ふふふ、楽しみだね。アキ君の息が整ったら行こうね」

 なんて神秘的な笑顔!!キュンってきた!!
 っ!!やめてラズさん、なんで俺の背中をギュッて握ってるの!?やめて!レベル差が凄いんだからエグれちゃう!

「はあーー、ユラさまーー、ラズはラズはもうダメですーー、テロン」

 うわー、変な擬音と共に俺の背中に身体を預けるなー!甘い息を首にかけるなー!

「2人、仲良いね?何してるの?」

「・・・」

 
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