16 / 17
冒険者パーティーイレヴンズ
2人仲良いね?
しおりを挟むそして今日もやって来ました、冒険者ギルド。
聖騎士とメイドと黒づくめと目立つ事間違いなしのメンツであるが今の所は絡まれたりしていない。
「ふーむ、鳥肉もいいよねー、間違いないよね」
そうだな、鳥肉に間違いはない。昨日の焼き鳥も美味かったしな。
俺達は今受付には行かずに壁に貼られた掲示物を見てる、いわゆる常時依頼というやつらしい、こういう肉なら大体いくらくらいで買い取りますよというのが書かれてる。
これを見れば森にどんな食べれる動物、魔物がいるのかが分かりやすいのだ。
誰も売るとは言ってない、多分うちの聖女さんを筆頭に食べるのだ。
兎肉も募集してるな、大体一羽で1500エン、状態が悪ければ更に安くなる、血抜きをしておくことがオススメされてる。
鳥系は色々いるみたいだな、飛ぶやつから飛ばないやつまで、飛ぶ鳥って食べた事ないけど美味いんだろうか?
おう、トカゲにヘビ、2メートル越えのトカゲとか勘弁してほしいな・・・。
「あっ、あった!」
ユラの声にその目線を追えば・・・オークだ。
「・・・」
いや、探してたのオークかよ。
異世界モノの鉄板ではあるけどさ、食にアグレッシブすぎない? そりゃいつかは食べてみたいだろと言われれば否定は出来ないけど、そんなに急がなくてもいいだろ?
ほら、猪とか熊から始めない?
身長2メートル越えの二足歩行の豚とか、色々難易度高くない? ほら討伐推奨冒険者ランクCになってるぞ、俺達Eだぞ。
まー、ラズは元々はBランクだというから問題ないのかもしれないけど、最初から他力本願は違う気がする。
「やっぱりいるんだね、オーク。よし、僕とアキ君で狩ろう!ラズちゃんはいざという時以外は手を出さないでね」
「ラズはユラ様見守り隊です!キリリっ」
・・・他力本願じゃなかったらしい。
・・・それはそれでさー・・・。
「俺達はEランクだぞ」
「大丈夫。昨日の僕達より今日の僕達の方が強いから、実質Dランクだよ」
「・・・」
何その正しいのかどうか判断しづらい理論、正しかったとしてもランク足りてないしさ。
ただ確かに俺も自分が駆け出し冒険者よりも強いんじゃないかという気はしてる、予備とは言え勇者だし、自分でスキルを選べるというメリットもあるし・・・更には昨日レベルも上がってる訳だしな。
ここらで一回自分の能力を確かめておいてもいいのかもしれないな。
オークを倒せるようなら実質Cランクか。
と、そんな事を考えながら屋台で買い物をしてる。・・・ユラが。
甘いクレープおかずクレープ甘いクレープおかずクレープ甘いクレープおかずクレープ・・・一体どれだけ買い溜めするつもりなんだろ。異世界でもクレープ屋さんってあるんだな、なんかTシャツにエプロン姿の女性店員さんも現代風だし。
俺も買おう、ベリーベリークリーム、なんかベリーという言葉に弱いのだ。
ユラが早速食べ始めてる、右手にチョコバナナクレープ、左手にはウインナーとハッシュドポテトのクレープ、二刀流でパクついている、行儀の悪い行為の筈なのに絵になるから美形は凄い。
・・・俺も買ったクレープ、今食べよう。女の子とクレープの買い食いとか実は少し憧れてたんだけどこんな形で叶ってしまった。
嬉しいか?と言われれば普通に嬉しかったりする、ユラはいい笑顔でクレープを食べてるからな。
ちなみにメイドさんはいつでもユラの口元を拭けるようにハンカチを持って待機中である。
「昨日のドラゴン串の屋台のおじさんいないんだね」
「・・・」
そりゃあんだけ脅せばいないだろうさ。
「大丈夫です。きっとあの男もユラ様の激励で一回りも二回りも成長して戻って来る筈です。キリッ」
「うん、僕もそう信じてるよ」
「・・・」
いや、戻ってこないだろ。
・・・今更だけど、うちのパーティーってツッコミがいないんだよな。
・・・俺か?いや、俺じゃないだろ。
そもそもボケてるつもりが無さそうなのが難しそうだ。
なんか言って「えっ?」って反応されると辛い。
「・・・」
そんな感じで街の外に。
良かった、突然2人して走り出したらどうしようかと思ったがいらない心配だったようだ。
「なるほど、こんな感じなんだね」
「何がだ?」
「スキルの魔物感知」
なるほど、新しいスキルを早速使ってみたのか。
「どんな感じ?」
「んー、自分を中心に何か超音波みたいのを飛ばす感じかな?今は何も反応ないけど、結構範囲は広そうかも、100メートルってところ・・・これも慣れれば範囲が広がるのかな?レベルは今のままでも充分そうだね」
レベルは4だったか、しかしなんかしっかりしてるな、この人。
「あーなるほど。円状に感知をかけるよりもまずは直線的に感知をかけて、それをグルリと回すイメージでやるとかなり範囲が広がるのかな」
「・・・」
いや、使いこなすまでの速さ!
天才なの?
「あそこ、飛んでる鳥がいるけど魔物みたいだよ」
・・・かなり遠くの小さな鳥を認識出来るのか、これってスキルが凄いのか、ユラが凄いのか・・・。
「さすがでございます、ユラ様」
多分そういう事なんだろうな。
「なるほど、そういう事か。意識すると死んでる魔物というか魔石の反応も分かるね。あそこを歩いてる冒険者の人達から複数の反応が分かる」
いや、本当に凄すぎる!!
うちの聖女さんは本当にポテンシャル高いぞ・・・なんか凄くもったいない気がしてしまうんだが。
「よし、これならピンポイントでオークを探せる気がするよ!森まで急ごう!!」
「ラズはどこまでもついていきます!!」
うわー!ほら、結局走り出したよ!!この人達は!!
くそーー!涼しそうな顔の2人に俺は全力疾走でなんとか喰らいつく。
くそー、森までならなんとか、多分なんとか体力が持つ筈、現役高校生男子の体力を見せてやる。
はーはーはー
なんとか距離を開けられずに走り切った俺は座り込んで大きく呼吸する。
やばい、ギリギリだった。クラクラする。
ラズが背中をさすってくれる、この人俺にも優しくしてくれるのか、意外だ。
「全く情けない小僧だ。だがよくユラ様について来た、良くやった!」
何この人鬼教官か何かかな?
ユラは様付けなのに、俺は小僧なのか。
「・・・」
だが何かを言う元気はない、好きに言わせておこう。
「この反応は動物型かな、あっちの群れてるのはゴブリン、こっちのは小さいけど何か危険かも・・・なるほどね」
俺達には目もくれず森を向くユラの横顔は真剣だ。
悔しいけど素敵、こんなんファンになってしまう、俺の背中に手を置きながら一時停止したラズと俺は同じ感銘を受けているんだろうな。
「オッケー、多分オークを見つけたよ。ふふふ、楽しみだね。アキ君の息が整ったら行こうね」
なんて神秘的な笑顔!!キュンってきた!!
っ!!やめてラズさん、なんで俺の背中をギュッて握ってるの!?やめて!レベル差が凄いんだからエグれちゃう!
「はあーー、ユラさまーー、ラズはラズはもうダメですーー、テロン」
うわー、変な擬音と共に俺の背中に身体を預けるなー!甘い息を首にかけるなー!
「2人、仲良いね?何してるの?」
「・・・」
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる