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喘ぎ乱れる姉の慈愛
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「――でね、彼女がさ――」
「ほうほう――へぇ」
軽くシャワーを浴びた俺達は、俺のベッドで仲の良い姉弟らしく他愛のない会話を続けていた。もっとも、たまに思い出したかのようにキスをする時点で、普通の姉弟とはやはり違うのだが。
いつもセックスをし終えたあとは、決まって一緒に寝るのが暗黙の了解だ。俺はパンツのみを履き、翔子は一糸まとわぬ全裸というのもいつものこと。たぶん、世の恋人たちもこんなふうに過ごしているのだろう。
ふと、芽衣子のことを思い出す。
あいつも、普通に恋人ができてセックスするようになれば、こんな形でその後を過ごすのだろうか。学内でも一、二位を争うほどの美少女だ、隣にいるのは釣り合うだけのイケメンでなければ絵にならないだろう。果たして、どんな男であろうか……。
「ちょっと? 聞いてるの?」
ふいに翔子が声をかけてきた。ハッとして彼女を見る。年上美女としては似つかわしくない稚げな拗ねた表情がこちらを向いていた。
「……なに?」
「何? じゃないわよ。今、別のこと考えてたでしょ? ……他の女のことじゃない?」
細められた瞳がジロリと俺を睨んだ。
「いや、そんなことないよっ」
「ふぅーーーん。図星です、って顔に出てるけどね」
ジト目を崩さずに翔子が唇を尖らせる。
どうして女はこちらの心の中を簡単に読んでくるのだろう。平静を取り繕うとするも、ここまで読まれてはなしの礫だ。
「……私は、半分は確かにあなたの姉だけど……もう半分は違うんだよ?」
急に視線を伏せる。寂しげな表情が俺をざわつかせる。
「だから……その違う方を見てよ。私は……あなたの女なんだから。少なくとも私はそう思ってる」
ちらりと向けてくる瞳は愛を乞う女のそれだった。情欲とは違う色を交えて双眸がキラキラと潤んでいる。
「…………姉さんの気持ちはよくわかってるよ。ありがとう……」
滑りの良い黒い肌を引き寄せる。翔子の想いに感謝を表すようにそっと抱きしめた。
「そうやって答えをはぐらかす……ずるい男ね、あなたって……」
彼女は恨めしそうにそう言うものの、それ以上は口にせず、やがて、俺の背中に手を回してぎゅっと抱きついてきた。そのまま静かに目を閉じる。
瑞々しい肌が密着する心地よい感触を覚えながらも、俺は天井を見つめながら思案した。
(このまま、姉さんとこんな関係でいていいのかな……)
関係を持ってからというもの、毎日のように自問してきたことだ。倫理と本能の間で悩み考えあぐねてきたことである。
結論など考えつくことではない。もし、結論を出せるならとっくに出ているはずだ。
考えるのをやめたほうがいいかとも思う。どうせ結論が出せないことなのだから、考えるだけ無駄だろう、と。
翔子が俺のことを一人の男として好いてくれているのは痛いほどわかっていた。翔子から一人の男として見られて求められるのは、素直に嬉しく自尊心を満たしてくれる。
しかし、だからこそこのままずるずると関係を続けるのは良くないのだ。俺の考えがあやふやな状態は彼女に対して失礼だと思う。翔子が今後を生きる上でも、はっきりとさせたほうがいい。それは俺にとっても言えることである。
それに、事故のような形とは言え芽衣子と関係を持ってしまっている。しかも彼女は贖罪などと言って関係を継続させるつもりらしい。
翔子は俺が自分しか女を知らないと思っている。形はどうあれ、翔子からすれば俺のしていることは裏切り行為なのだ。
はぁ、と一つため息をつく。
すると、眠りにつこうとしていた翔子の頭が動いて、こちらを眠そうな目で見てきた。
「まだ寝ないの……?」
「いや、流石にもう寝るよ、おやすみ」
時計はすでに午前四時を刺そうとしていた。休日とは言え、いい加減寝なければいけない時間だ。
「うん、おやすみ……」
眠気を漂わせて翔子の唇が近づいてくる。そして俺の唇に軽く触れた。重なった唇は、柔らかくて潤いを感じるものだった。
数秒の後、唇が離れる。そして、向けられる微笑みは慈愛と多少の恍惚さが滲んでいた。
翔子は俺の身体にぴったりと寄り添い直す。気づくと、穏やかな寝息が聞こえてきた。
彼女の幸福感を滲ませた寝息を聞きながら、俺は罪悪感と自己嫌悪に曇った気持ちを抱えて目を閉じた。
「ほうほう――へぇ」
軽くシャワーを浴びた俺達は、俺のベッドで仲の良い姉弟らしく他愛のない会話を続けていた。もっとも、たまに思い出したかのようにキスをする時点で、普通の姉弟とはやはり違うのだが。
いつもセックスをし終えたあとは、決まって一緒に寝るのが暗黙の了解だ。俺はパンツのみを履き、翔子は一糸まとわぬ全裸というのもいつものこと。たぶん、世の恋人たちもこんなふうに過ごしているのだろう。
ふと、芽衣子のことを思い出す。
あいつも、普通に恋人ができてセックスするようになれば、こんな形でその後を過ごすのだろうか。学内でも一、二位を争うほどの美少女だ、隣にいるのは釣り合うだけのイケメンでなければ絵にならないだろう。果たして、どんな男であろうか……。
「ちょっと? 聞いてるの?」
ふいに翔子が声をかけてきた。ハッとして彼女を見る。年上美女としては似つかわしくない稚げな拗ねた表情がこちらを向いていた。
「……なに?」
「何? じゃないわよ。今、別のこと考えてたでしょ? ……他の女のことじゃない?」
細められた瞳がジロリと俺を睨んだ。
「いや、そんなことないよっ」
「ふぅーーーん。図星です、って顔に出てるけどね」
ジト目を崩さずに翔子が唇を尖らせる。
どうして女はこちらの心の中を簡単に読んでくるのだろう。平静を取り繕うとするも、ここまで読まれてはなしの礫だ。
「……私は、半分は確かにあなたの姉だけど……もう半分は違うんだよ?」
急に視線を伏せる。寂しげな表情が俺をざわつかせる。
「だから……その違う方を見てよ。私は……あなたの女なんだから。少なくとも私はそう思ってる」
ちらりと向けてくる瞳は愛を乞う女のそれだった。情欲とは違う色を交えて双眸がキラキラと潤んでいる。
「…………姉さんの気持ちはよくわかってるよ。ありがとう……」
滑りの良い黒い肌を引き寄せる。翔子の想いに感謝を表すようにそっと抱きしめた。
「そうやって答えをはぐらかす……ずるい男ね、あなたって……」
彼女は恨めしそうにそう言うものの、それ以上は口にせず、やがて、俺の背中に手を回してぎゅっと抱きついてきた。そのまま静かに目を閉じる。
瑞々しい肌が密着する心地よい感触を覚えながらも、俺は天井を見つめながら思案した。
(このまま、姉さんとこんな関係でいていいのかな……)
関係を持ってからというもの、毎日のように自問してきたことだ。倫理と本能の間で悩み考えあぐねてきたことである。
結論など考えつくことではない。もし、結論を出せるならとっくに出ているはずだ。
考えるのをやめたほうがいいかとも思う。どうせ結論が出せないことなのだから、考えるだけ無駄だろう、と。
翔子が俺のことを一人の男として好いてくれているのは痛いほどわかっていた。翔子から一人の男として見られて求められるのは、素直に嬉しく自尊心を満たしてくれる。
しかし、だからこそこのままずるずると関係を続けるのは良くないのだ。俺の考えがあやふやな状態は彼女に対して失礼だと思う。翔子が今後を生きる上でも、はっきりとさせたほうがいい。それは俺にとっても言えることである。
それに、事故のような形とは言え芽衣子と関係を持ってしまっている。しかも彼女は贖罪などと言って関係を継続させるつもりらしい。
翔子は俺が自分しか女を知らないと思っている。形はどうあれ、翔子からすれば俺のしていることは裏切り行為なのだ。
はぁ、と一つため息をつく。
すると、眠りにつこうとしていた翔子の頭が動いて、こちらを眠そうな目で見てきた。
「まだ寝ないの……?」
「いや、流石にもう寝るよ、おやすみ」
時計はすでに午前四時を刺そうとしていた。休日とは言え、いい加減寝なければいけない時間だ。
「うん、おやすみ……」
眠気を漂わせて翔子の唇が近づいてくる。そして俺の唇に軽く触れた。重なった唇は、柔らかくて潤いを感じるものだった。
数秒の後、唇が離れる。そして、向けられる微笑みは慈愛と多少の恍惚さが滲んでいた。
翔子は俺の身体にぴったりと寄り添い直す。気づくと、穏やかな寝息が聞こえてきた。
彼女の幸福感を滲ませた寝息を聞きながら、俺は罪悪感と自己嫌悪に曇った気持ちを抱えて目を閉じた。
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