5 / 18
偽りの瞳
しおりを挟む
咲良は光属性だが、神楽と同じく二つの属性を持っている極めて珍しい魔導師だ。
咲良の属性は光属性と闇属性。
普段は瞳に色彩魔法を付与して生活している。世間一般、ヴィンズから見れば神の色と悪魔の色を持っているという認識。
敬うべき色と忌むべき色を同時に持っているという事実はヴィンズの信者を狂気的に動かす。それはある意味闇属性一つをもって産まれるよりやっかいだといつになく暗い顔をして言っていた。
おそらく神楽が知らない過去で何かがあったのだろう。
人目を避けてこんなところで仮の拠点を置くのもそのためだ。魔力コストを削減しているとはいえ、魔力量が少ない咲良にとって絶えず魔力を消費しなければいけないのは少なからず体に負担がかかる。
白銀色の偽りの瞳より、本来の濃紫のほうが咲良らしくて好きだ。
「戻したんだな」
「んー。神楽しかいないのに変える意味ないですからね~」
「たまに魔法解くの忘れてるからな」
「慣れすぎるとかけてること忘れちゃうんですよー」
「簡単に忘れられる程簡単な魔法ではないんだがな」
規格外に言っても無駄だと知りつつも、それが普通ではないと言っておく。なまじ何でもできるせいで『魔女』くらいにしかできない芸当を『上級魔導士』にもできると思っている節がある。
少しでもそのあたりの認識を正してほしい。
「ん。できた。咲良、食器」
「はいはーい。どれをご所望ですか?」
そうこう言ってるうちにすべての料理が出来上がる。咲良に必要な種類の食器を作ってもらい盛り付ける。
今日作ったのはほうれん草パスタにマッシュポテト、付け合わせのサラダとコンソメのスープだ。
「やーっとお昼御飯です! いただきます!」
「ああ。どうぞ、めしあがれ」
手を合わせていただきますの挨拶をする所は咲斗の教育のたまものなのだろうか。意外と咲良はおはようやおやすみの挨拶は欠かさない。
「やっぱり神楽のご飯は美味しいです! 今まで料理にさほどの興味は無かったけど咲斗の料理ばっかり食べてたからなんですね~」
「お前、それ咲斗に言うなよ? 何年たっても」
「大丈夫ですよ~。咲斗もこの料理を食べたら納得するはずです! むしろ共感するべきです。しなかったら正気を疑うレベルですよ」
「そこまで言うか?」
「そこまで言うんですー」
これは神楽を褒めているのか咲斗を貶しているのかどちらなのだろう。多分前者だ。前者だと思いたい。
何もしていないのに会ったことのない咲斗に妙な後ろめたさを感じる羽目になった。
「かーぐーらー」
「どうした」
「あの果物屋さんで買ってたの、ホットケーキに乗せるやつですか?」
「お前、食べてる最中に聞くか? そんなにホットケーキが好きか?」
「そんなに大好きです!」
今日一の笑顔だった。
咲良の属性は光属性と闇属性。
普段は瞳に色彩魔法を付与して生活している。世間一般、ヴィンズから見れば神の色と悪魔の色を持っているという認識。
敬うべき色と忌むべき色を同時に持っているという事実はヴィンズの信者を狂気的に動かす。それはある意味闇属性一つをもって産まれるよりやっかいだといつになく暗い顔をして言っていた。
おそらく神楽が知らない過去で何かがあったのだろう。
人目を避けてこんなところで仮の拠点を置くのもそのためだ。魔力コストを削減しているとはいえ、魔力量が少ない咲良にとって絶えず魔力を消費しなければいけないのは少なからず体に負担がかかる。
白銀色の偽りの瞳より、本来の濃紫のほうが咲良らしくて好きだ。
「戻したんだな」
「んー。神楽しかいないのに変える意味ないですからね~」
「たまに魔法解くの忘れてるからな」
「慣れすぎるとかけてること忘れちゃうんですよー」
「簡単に忘れられる程簡単な魔法ではないんだがな」
規格外に言っても無駄だと知りつつも、それが普通ではないと言っておく。なまじ何でもできるせいで『魔女』くらいにしかできない芸当を『上級魔導士』にもできると思っている節がある。
少しでもそのあたりの認識を正してほしい。
「ん。できた。咲良、食器」
「はいはーい。どれをご所望ですか?」
そうこう言ってるうちにすべての料理が出来上がる。咲良に必要な種類の食器を作ってもらい盛り付ける。
今日作ったのはほうれん草パスタにマッシュポテト、付け合わせのサラダとコンソメのスープだ。
「やーっとお昼御飯です! いただきます!」
「ああ。どうぞ、めしあがれ」
手を合わせていただきますの挨拶をする所は咲斗の教育のたまものなのだろうか。意外と咲良はおはようやおやすみの挨拶は欠かさない。
「やっぱり神楽のご飯は美味しいです! 今まで料理にさほどの興味は無かったけど咲斗の料理ばっかり食べてたからなんですね~」
「お前、それ咲斗に言うなよ? 何年たっても」
「大丈夫ですよ~。咲斗もこの料理を食べたら納得するはずです! むしろ共感するべきです。しなかったら正気を疑うレベルですよ」
「そこまで言うか?」
「そこまで言うんですー」
これは神楽を褒めているのか咲斗を貶しているのかどちらなのだろう。多分前者だ。前者だと思いたい。
何もしていないのに会ったことのない咲斗に妙な後ろめたさを感じる羽目になった。
「かーぐーらー」
「どうした」
「あの果物屋さんで買ってたの、ホットケーキに乗せるやつですか?」
「お前、食べてる最中に聞くか? そんなにホットケーキが好きか?」
「そんなに大好きです!」
今日一の笑顔だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる