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76:予行練習
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僕はあの後、
兄様によってガイと一緒に
神聖教会に隔離された。
神聖教会はガイが言ってたみたいに、
ものすごく綺麗だった。
僕は教会って初めて見たんだけど。
高い天井の建物は、
三角形をしていて
屋根にはステンドグラスの
窓がついていた。
教会に入ったら
礼拝堂があって、
入り口から見ただけで
ステンドグラスから
差し込む色とりどりの
光が一番奥にある
祭壇を照らしている。
光に当たる祭壇は、
神様のシンボルだけが
日の光をそのまま反射して
輝いていて、その周囲を
ステンドグラスの色が
光を守る騎士にように
彩っていた。
幻想的で、
僕は感動のあまり
息を漏らしてしまう。
礼拝堂には沢山の椅子が
並んでいたけれど。
入り口から神様のいる
祭壇までの道だけは
ぽっかりと穴が
開いてるみたいに
何も置かれてなかった。
なんでも、真ん中の道は
誰にも邪魔されることなく
まっすぐに神様に
祈ることができるように
椅子とかは置かないように
してるんだって。
祭壇の前に立つと、
僕の頭上にも
ステンドグラスの
光が降り注いできて、
あまりの美しさに
僕は自然と手を組み、
神様に祈りを捧げていた。
こんな素敵な場所で
婚約式ができるなんて!
それに父の話では、
僕が望めば結婚式も
この場所でできるらしい。
素敵すぎる!
と僕は隣にいたガイを見る。
「ガイ?」
ガイはなぜか僕を
拝むようなしぐさをしている。
どうしたのかと思って
兄を振り返ると、
兄までも目に指をあてて
涙をこらえているみたいだった。
もしかして二人とも、
この教会の素晴らしさに
感動してるのかな。
僕たちは感動したまま
当日の流れを神官さんに聞いて
教会を出た。
婚約式自体は、
そんなに長くなくて。
立会人と神様の前で
二人の名前を書いて、
神官さんがそれを受理したら
それで終了らしい。
結婚式も婚約式と
似ているけれど、
立会人はいなくて、
神様の前で署名をして
宣言するだけになる。
婚約は人間同士の約束だけど
結婚は「生涯愛し合います」
って神様と約束するから、
ということらしい。
そうやって、
人間同士の約束の婚約と
神様との約束の結婚。
この2つが重なることで
神様に祝福された結婚になるんだって。
凄いなあ、って
僕は思ってしまう。
誰かを愛して、
愛されるって、
簡単なことじゃないんだ。
だって死ぬまで一緒、って
神様に誓うんだから。
でも僕はガイのことなら
一生、一緒にいたいって
思っているし、
一生、好きでいられると思う。
「では、参りましょうか」
説明が終わって、
神官さんが僕たちを促したとき。
ガイが祭壇の前で僕に跪いた。
「俺はエレを一生、大事にする。
命を捧げて、守る」
僕はびっくりした。
「ガイ、えっとね。
僕も同じことを思ってたんだ」
僕はガイの手を取り
ガイを立ち上がらせる。
「でもね、こういう時
僕は守るんじゃなくて、
大好き、って言って欲しい。
僕もね、
ガイのこと、大好きだよ」
素直な気持ちを伝えたのに。
ガイは顔を真っ赤にして、
口をぱくぱくしている。
「エレ? どうした?」
先に神官さんと入り口まで
向かっていた兄が
ドアのところで振り返る。
「ううん、なんでもない」
僕が握っていたガイの
手を引いたけれど、
ガイは、口をぱくぱくして
動こうとしない。
「ガイディス・ブレイトン!
報告しろ!」
厳しい兄の声がして、
ガイは、はっと僕の手を
離して敬礼した。
「は!
美しい天使に
生涯の愛を誓っておりました!」
「いいだろう。
殊勝な心掛けだが、
この場所はもう施錠する。
早く持ち場に戻れ」
「はっ!」
綺麗な敬礼の後、
ガイは真っ赤な顔のまま
僕を見た。
「え、え、エレ」
「うん」
「お、俺、俺も、
あ、アイシテル」
「うん!」
僕は嬉しくて。
ガイと手をつないだ。
教会から出ると、
兄が父と母はすでに
タウンハウスに戻ったという。
それから、あのお姫様が
僕をお茶会に招待しているらしい。
少し付き合ったら、
兄かガイが迎えに行くから
少しだけ付き合ってやれ、
そう言われて僕はうなずいた。
兄がそういうのだから
そうした方が良いんだと思う。
「ガイのお母さんは?」
「夫人もお帰りいただいた。
一応、全員の意見を聞き、
デザイナーがまとめたものを
エレの元に持ってくるように
伝えてある。
衣装はエレが決めればいい」
「ありがとう、兄様」
届いたデザインが
ドレスだったら、
僕は甘んじてそれを受けよう。
騒動になるぐらいなら
頑張ってドレスを
着た方が楽な気がする。
「エレ、嫌なことは
嫌だと言えばいいし、
しなくていい」
そんな僕の考えを
見透かしたように兄が言った。
兄は僕の頭を撫でた。
「いろいろあって、
エレの婚約式も、
デビュタントも
前倒しになってしまったが。
お前が望まないことは
しなくても構わないし、
何かあれば兄に言いなさい」
「はい!兄様」
僕は笑顔で返事をする。
やっぱり兄は頼りになる。
「この兄は、お前が
デビュタントを終えたら
あの屋敷を出る準備に入る」
そうだ。
兄もまた結婚して
屋敷を出るんだ。
「領地のことは
父が頑張るだろうから
お前はおいおいでいい。
父はお前のために
現役復帰をして
金を稼ぐと言っていたからな」
「え?」
「お前は楽しく、
タウンハウスで療養しなさい」
「え? え?」
「ガイディス・ブレイトン」
「はっ!」
「いいか。お前がなぜ、
エレの婚約者に選ばれたのか、
今一度、考えておけ。
いいな。
ブレイトン公爵家の別荘は
温泉があるというから
私は許可をしたのだ。
エレの望まぬことを
した場合、どうなるか
わかっているな?」
「もちろんです!
俺は天使に命を捧げる
覚悟ではありますが、
愛を乞うだけの存在だと
自覚しております」
「よかろう。
その言葉、忘れるな」
兄はそれだけ言うと、
ガイにお姫様の場所まで
僕を送るように言って、
仕事に戻ると、言い残し
早足で去っていく。
ガイは兄の姿が
見えなくなると、
大きな息を吐いた。
「俺はエレに愛を乞う。
だが、エレが俺に
心を向けてくれるなら、
喜んでそれを受け取ろう」
大きな手が、僕の手を握った。
「うん!」
って僕は手を握り返す。
僕とガイは視線を合わせた。
ガイが体を傾けて、
唇が僕に触れそうになった。
「エレミアス様、
ガイディス殿。
王宮でされるのは
ご遠慮ください」
誰の目があるかわかりませんので。
と急にケインの声がする。
いつの間に!
僕とガイは、ぱっと離れて、
二人そろって、
顔を真っ赤にしてしまった。
兄様によってガイと一緒に
神聖教会に隔離された。
神聖教会はガイが言ってたみたいに、
ものすごく綺麗だった。
僕は教会って初めて見たんだけど。
高い天井の建物は、
三角形をしていて
屋根にはステンドグラスの
窓がついていた。
教会に入ったら
礼拝堂があって、
入り口から見ただけで
ステンドグラスから
差し込む色とりどりの
光が一番奥にある
祭壇を照らしている。
光に当たる祭壇は、
神様のシンボルだけが
日の光をそのまま反射して
輝いていて、その周囲を
ステンドグラスの色が
光を守る騎士にように
彩っていた。
幻想的で、
僕は感動のあまり
息を漏らしてしまう。
礼拝堂には沢山の椅子が
並んでいたけれど。
入り口から神様のいる
祭壇までの道だけは
ぽっかりと穴が
開いてるみたいに
何も置かれてなかった。
なんでも、真ん中の道は
誰にも邪魔されることなく
まっすぐに神様に
祈ることができるように
椅子とかは置かないように
してるんだって。
祭壇の前に立つと、
僕の頭上にも
ステンドグラスの
光が降り注いできて、
あまりの美しさに
僕は自然と手を組み、
神様に祈りを捧げていた。
こんな素敵な場所で
婚約式ができるなんて!
それに父の話では、
僕が望めば結婚式も
この場所でできるらしい。
素敵すぎる!
と僕は隣にいたガイを見る。
「ガイ?」
ガイはなぜか僕を
拝むようなしぐさをしている。
どうしたのかと思って
兄を振り返ると、
兄までも目に指をあてて
涙をこらえているみたいだった。
もしかして二人とも、
この教会の素晴らしさに
感動してるのかな。
僕たちは感動したまま
当日の流れを神官さんに聞いて
教会を出た。
婚約式自体は、
そんなに長くなくて。
立会人と神様の前で
二人の名前を書いて、
神官さんがそれを受理したら
それで終了らしい。
結婚式も婚約式と
似ているけれど、
立会人はいなくて、
神様の前で署名をして
宣言するだけになる。
婚約は人間同士の約束だけど
結婚は「生涯愛し合います」
って神様と約束するから、
ということらしい。
そうやって、
人間同士の約束の婚約と
神様との約束の結婚。
この2つが重なることで
神様に祝福された結婚になるんだって。
凄いなあ、って
僕は思ってしまう。
誰かを愛して、
愛されるって、
簡単なことじゃないんだ。
だって死ぬまで一緒、って
神様に誓うんだから。
でも僕はガイのことなら
一生、一緒にいたいって
思っているし、
一生、好きでいられると思う。
「では、参りましょうか」
説明が終わって、
神官さんが僕たちを促したとき。
ガイが祭壇の前で僕に跪いた。
「俺はエレを一生、大事にする。
命を捧げて、守る」
僕はびっくりした。
「ガイ、えっとね。
僕も同じことを思ってたんだ」
僕はガイの手を取り
ガイを立ち上がらせる。
「でもね、こういう時
僕は守るんじゃなくて、
大好き、って言って欲しい。
僕もね、
ガイのこと、大好きだよ」
素直な気持ちを伝えたのに。
ガイは顔を真っ赤にして、
口をぱくぱくしている。
「エレ? どうした?」
先に神官さんと入り口まで
向かっていた兄が
ドアのところで振り返る。
「ううん、なんでもない」
僕が握っていたガイの
手を引いたけれど、
ガイは、口をぱくぱくして
動こうとしない。
「ガイディス・ブレイトン!
報告しろ!」
厳しい兄の声がして、
ガイは、はっと僕の手を
離して敬礼した。
「は!
美しい天使に
生涯の愛を誓っておりました!」
「いいだろう。
殊勝な心掛けだが、
この場所はもう施錠する。
早く持ち場に戻れ」
「はっ!」
綺麗な敬礼の後、
ガイは真っ赤な顔のまま
僕を見た。
「え、え、エレ」
「うん」
「お、俺、俺も、
あ、アイシテル」
「うん!」
僕は嬉しくて。
ガイと手をつないだ。
教会から出ると、
兄が父と母はすでに
タウンハウスに戻ったという。
それから、あのお姫様が
僕をお茶会に招待しているらしい。
少し付き合ったら、
兄かガイが迎えに行くから
少しだけ付き合ってやれ、
そう言われて僕はうなずいた。
兄がそういうのだから
そうした方が良いんだと思う。
「ガイのお母さんは?」
「夫人もお帰りいただいた。
一応、全員の意見を聞き、
デザイナーがまとめたものを
エレの元に持ってくるように
伝えてある。
衣装はエレが決めればいい」
「ありがとう、兄様」
届いたデザインが
ドレスだったら、
僕は甘んじてそれを受けよう。
騒動になるぐらいなら
頑張ってドレスを
着た方が楽な気がする。
「エレ、嫌なことは
嫌だと言えばいいし、
しなくていい」
そんな僕の考えを
見透かしたように兄が言った。
兄は僕の頭を撫でた。
「いろいろあって、
エレの婚約式も、
デビュタントも
前倒しになってしまったが。
お前が望まないことは
しなくても構わないし、
何かあれば兄に言いなさい」
「はい!兄様」
僕は笑顔で返事をする。
やっぱり兄は頼りになる。
「この兄は、お前が
デビュタントを終えたら
あの屋敷を出る準備に入る」
そうだ。
兄もまた結婚して
屋敷を出るんだ。
「領地のことは
父が頑張るだろうから
お前はおいおいでいい。
父はお前のために
現役復帰をして
金を稼ぐと言っていたからな」
「え?」
「お前は楽しく、
タウンハウスで療養しなさい」
「え? え?」
「ガイディス・ブレイトン」
「はっ!」
「いいか。お前がなぜ、
エレの婚約者に選ばれたのか、
今一度、考えておけ。
いいな。
ブレイトン公爵家の別荘は
温泉があるというから
私は許可をしたのだ。
エレの望まぬことを
した場合、どうなるか
わかっているな?」
「もちろんです!
俺は天使に命を捧げる
覚悟ではありますが、
愛を乞うだけの存在だと
自覚しております」
「よかろう。
その言葉、忘れるな」
兄はそれだけ言うと、
ガイにお姫様の場所まで
僕を送るように言って、
仕事に戻ると、言い残し
早足で去っていく。
ガイは兄の姿が
見えなくなると、
大きな息を吐いた。
「俺はエレに愛を乞う。
だが、エレが俺に
心を向けてくれるなら、
喜んでそれを受け取ろう」
大きな手が、僕の手を握った。
「うん!」
って僕は手を握り返す。
僕とガイは視線を合わせた。
ガイが体を傾けて、
唇が僕に触れそうになった。
「エレミアス様、
ガイディス殿。
王宮でされるのは
ご遠慮ください」
誰の目があるかわかりませんので。
と急にケインの声がする。
いつの間に!
僕とガイは、ぱっと離れて、
二人そろって、
顔を真っ赤にしてしまった。
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