完結・転生したら前世の弟が義兄になり恋愛フラグをバキバキに折っています

たたら

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学園に入学しました

37:求婚

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 その日は初めての自習の日だった。
学校も慣れて来たころで、
それぞれに学びたい科目もでてきたと
学園も判断したのだろう。

表向きは自習なので、
教室で勉強しても良いが、
目当ての科目がある場合は
実際にその教授や教員を訪ねて
話を聞くこともできるらしい。

もっとも、目当ての教員が
暇だとは限らないので
会えるまで、何度も通う必要はあるとのこと。

俺はルシリアンと一緒に
魔法の研究をしている教授の所に行くことにした。

ルシリアンの話では、
魔道具と呼ばれる魔石を使った道具の
研究もしている人らしく、
学園で教鞭をとっているものの、
あまりまともな授業をしないことでも
有名らしい。

どういうことだ?

とにかく、この世界は
不思議なことばかりだ。

俺たちが教授に
与えられていると言う研究室に行くと、
何やら物凄い音がした。

慌てて部屋に入ると、
静電気のようなもので
皮膚のいたるところがピリピリする。

これ、大丈夫か?

電力が強かったら感電したんじゃないか?

そう思って部屋を見渡すと、
白衣を来た一人の男性が
床にしゃがみ込んでいた。

部屋には長いテーブルの上に
よくわからない機材が所せましと並んでいる。

デスクもあったが書類だらけで
仕事ができるスペースは皆無だったし、
床にも書類や何故か、皿やマグカップ。
シャツといった衣類まで散らばっている。

ソファーもあったが
その上には本が溢れかえっていた。

やけに生活感がある。
まさかここで寝泊まりしているのか?

「あの、大丈夫ですか?」

ルシリアンが男性に声を掛けた。

「あぁ、大丈夫だ。
すまない。雷石の研究をしていたら
いきなりビリビリっとなってね」

って、あぶないな。
大丈夫か、この人。

改めて顔を見ると、
年は40代……いや、30代ぐらいか。

よれよれで無精ひげだったから
年を取っているように見えたが、
よく見ると俺の父と同じぐらいに見える。

肌は白くて、インドア派の匂いがするが
よれよれの汚れたシャツがかなり残念だ。

「えっと、何か用かい?」

「ここは、魔法の研究室だと思うのですが」

ルシリアンの声に、男性は頷いた。

「そうだよ。
ここは僕の研究室だ」

「先生?」

「あぁ、魔法学のマリク・リシャルだ」

マリクはそう言い、
目を擦って俺を見た。

「まてよ。
君は……紫の瞳……」

その言葉に、ルシリアンが
咄嗟に俺を庇うように俺の前に立った。

「け、け、結婚してください!」

「「は?」」

と、俺とルシリアンの
間抜けな声が重なったのは
仕方がないことだろう。


しばらくは互いに見つめ合い、
一番最初に我に返ったのは俺だった。

仕切り直しだ。

俺は何も聞かなかったことにした。

「初めまして。
マリク先生ですね。
僕はアキルティア・アッシュフォードと言います。
自習の時間に魔法を学びたいと思い、
先生の元を尋ねました。

ご迷惑でなければお話をお伺いできますか?」

どうだ、俺の『すべてなかったこと』攻撃は。

伊達に何年もコミュ障兼オタク社員に囲まれて
社畜をしてたわけじゃないだぜ。

なんたって同僚のオタク社員たちは
自分の好きなことしかしゃべらないし、
勝手に色々話だすからな。

話を聞き直したり、
ついていくことを考えるより
聞き流して終わる方がいいのだ。

そして、聞き終わったら
『すべてなかったこと』にする。

これが人間関係を無難にする一番の方法だ。

俺が笑顔で無かったことにしたことに
気が付いたのだろう。

マリク先生は顔を真っ赤にしたけれど
すぐに俺に頭を下げた。

「いきなり変なことを言って申し訳ない」

「いえ、気にしてませんから」

気にするけどな。
社交辞令だ。

ルシリアンはいまだに警戒したような顔で
マリク先生を見ている。

マリク先生はもう一度謝罪の言葉いい、
とにかく座って……と部屋を見回し、
座る場所が無いことに気が付いたようだった。

「先生はいつもどこに座ってるんですか?」
と聞いてみると、床を指さした。

なるほど。
合理的だな。

ルシリアンはしょうがない、と
ソファーの上にある本を
すべて床に下した。

そうすると俺だけでも座るスペースができる。

俺だけ座るのも、と遠慮しようと
思ったが、いかんせん、体力が無いので
素直に座らせてもらうことにする。

マリク先生は先ほどの求婚は
無かったことになったようで、
自分の研究の話をしてくれた。

だいたいは魔道具の研究をしているが、
研究チームは別にあること。

そして自分は教鞭を持つことで
研究チームとは別に、
この研究室を貰っていること。

そして申し訳ないが
教鞭をとるよりも
研究をする方が好きだと言うことも。

研究チームでは、
当たり前だが国のためになることを
研究しなければならない。

研究費用は国が出してるからな。

けれど、この部屋の研究は
好きなことを好きなだけ
研究できるから良いらしい。

そう言うマリク先生に
俺は首を傾げる。

「あの、先生」

「はい、なんでしょうか」

「先生のその主張は間違っていると思います」

俺がそういうと、マリク先生は
驚いた顔で俺を見た。



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