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隣国の王子
105:陣中見舞い
しおりを挟むルイは準備が整い次第、
公爵家のタウンハウスに
引っ越しして
来ることになった。
ルイがこれから住む
ゲストハウスは、
タウンハウスの離れとはいえ、
公爵家の敷地内にあるので
警備の心配は必要ない。
だが、護衛やメイドなど
使用人たちも必要だし、
新しく雇うとしても
身元の保証がない者を
雇うわけにはいかない。
隣国の王子と言うことで
王家からも護衛を
付ける必要もあるらしく、
気軽に
「じゃぁ、明日から
よろしくな」
というわけにはいかないようだ。
そしてその手配やら
なんやらを、今回の
スイーツ交流会の世話役である
ティスがしているようだ。
……なんか、
俺の親友がスマン。
おかげでティスは
さらに忙しくなり、
学園で顔を見ることは
ほとんど無い。
仕事のしすぎで
倒れたりしていないか
俺はそれだけが心配だ。
そのうち、
手土産でも持って
陣中見舞いに行こうかな。
そんなことを考えつつ、
俺は学園でルイを
公爵家がタウンハウスの
離れで預かることになったと
クリムとルシリアンに伝えた。
朝の短い時間で
突然の話の振り方だったが、
事実だけは知らせておいた
方が良いと思ったのだ。
二人ともルイを
敵認識している義兄と
ティスを知っているから、
いきなり俺がルイと
仲良くしはじめたら
驚くと思うし。
案の定、二人は驚いて、
一瞬、動きが止まった。
そして何故かすぐに
「ルティクラウン殿下と婚約ですか?」
と二人に聞かれる。
何故そうなる?
絶対にありえないし、
と笑い飛ばそうと思ったが、
二人の本気のまなざしに、
これは誤解が無いように
きちんと否定をしておこうと言う気になった。
「そんなわけがないよ。
僕も、ルイ……殿下も、
そんなこと望んでないし」
俺がそう言うと、
二人はほっとした顔をする。
が。
その話を聞いていたのだろう、
ルイが俺たちの会話に
急に割り込んだ。
「本当は求婚したんだけど
すぐその場で断られたんだよ」
なんてことを!!
俺は咄嗟にルイをにらんだが、
ルイは胡散臭い
笑顔を向けてくる。
しかも
「だから私は
アキルティア殿を
望んでいるんだけどね」
何て言うものだから、
あっという間にその話が
学園中に広まってしまった。
あれだ。
外堀を埋めるという
ルイの戦略だ。
俺はそれがわかってるから
求婚の話は全くと言って
相手にはしてないけれど。
だからといって
ルイを邪険にはしない。
もともと親友だったし、
互いに友情はある。
ルイと一緒に
魔法について語り合うのも
めちゃくちゃ楽しいしな。
そんなわけで、
俺が学園でクリムと
ルシリアン。
そしてルイと一緒に
行動することが増えた。
ルイには王家の護衛が
付いていたけれど、
その護衛もキールと
すっかり打ち解けたようで、
情報交換などもしているようだ。
そしてルイは
クラスメイトにはルティ様と
呼ばれているが、俺がいつも
ルイ、ルイ、と呼ぶので
クリムとルシリアンまで
ルイ様、ルイ殿下と呼ぶようになった。
まぁ、似てる名前だし
本人も気にしてないから
いいよな。
それにしても、
ティスに会わない。
俺は楽しく学園生活を
おくっているが、
ティス、大丈夫だろうか。
なんたってまだ14歳だ。
中二病が発症しても
おかしくない時期なのに、
公務だ、勉強だ、仕事だと
不憫すぎではないだろうか。
俺も何か手伝えれば良いのだが
さすがに王子の仕事は
無理だろうしな。
何かティスの喜ぶような
ものを贈ってみようか。
俺はティスが喜びそうな
物を考えるがすぐには浮かばない。
匂い袋も花冠も喜んでは
くれたけれど、
そんなんじゃなくて……。
そういやティスは
王家でお茶を飲むときに
俺が公爵家のシェフが
作ったお菓子を持って行ったら
嬉しそうにしていたよな。
よし!
お菓子を持って
陣中見舞いに行こう。
俺はそこまで考えると、
タウンハウスのシェフに
お菓子を作りたい旨を伝えた。
「王子様への手土産ですか?」
「うん。それでね、
僕も一緒に作りたいんだけど
いい?」
学園は休日の前の日は
授業が午前中しかない。
だからその日に作って
王宮に届ければ、
ティスは休みの日に
のんびりしながら
お菓子を食べれると思うんだ。
俺がそう言うと、
シェフは頷いてくれたが
俺が手伝うと言ったからだろう。
表情は戸惑っている。
公爵家の息子が
することではないって
わかってるけどさ。
でも自分で作ったもので
ティスを労わってやりたいんだ。
ティス、頑張ってるもんな。
そして俺は作りたい菓子も
すでに決まっている。
花の好きなティスのために
花を模ったクッキーだ。
前世で見た動画で
作り方も俺は知っている。
俺はシェフに頼んで
材料を揃えて貰って、
プレーン味とチョコ味の
クッキーを作ることにした。
しかもシェフが
食べることができて
食材を色付けることができる
食紅? みたいなのがあると
言ってくれたので、
赤い色を生地に混ぜることが
できたら、赤いバラも作れそうだ。
めちゃくくちゃ楽しみ。
だがその前に、
まずは下準備だな。
俺はまず先に
まだ王宮にいる
義兄とティスに手紙を書いて
次の休みの日の前日、
差し入れを持って行く旨を伝える。
義兄は手紙では無く
屋敷で会えば直接伝えることも
できるのだが、
最近は義兄も忙しいみたいで
しばらく義兄の姿も
見ていない。
クッキーは多めに焼いて
義兄にも食べて貰おう。
二人とも、甘いものを食べたら
疲れが取れるかもしれないしな。
俺はそんなことを思いつつ、
クッキー作りの日を
待ちわびた。
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