完結・転生したら前世の弟が義兄になり恋愛フラグをバキバキに折っています

たたら

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高等部に進級しました

171:仲間が増えました

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 とうとう俺は16歳になった。
高等部に進級したのだ。

ティスは17歳。
この国では18歳で成人だから
ティスはあと1年で学園を卒業して
成人を迎える。

早いものだ。

俺が神殿に出入りするようになり、
もう3年が過ぎた。

あれから王家と神殿の関係は
俺たちが間を取り持つようになり、
以前よりもかなり良好になっている。

俺はローガンさんと相談をして
創造神の愛し子を名乗ることになった。

そしてその名を広めつつ、
『創造神からのお言葉』として
食物連鎖や環境破壊などの
考え方を地道に布教した。

そんな考え方をする人間は
この世界にはいなかったので
最初は驚かれたけれど、
言っている内容は本当のことなので
誰も疑わなかった。

少しづつだけれど
この考え方は受け入れられているとは思う。

貴族の間では
年中行われていた狩りも、
動物の繁殖期には
行わないようになったし、
食べ物だって「命をいただく」という
考え方も生まれた。

創造神に感謝をして
食事をするのと同時に、
与えてくれた命に感謝して
食べるという考え方だ。

この考え方は前世日本人の
俺にはなじんだ思考だが
人間が動植物の中で
一番偉いと思っているこの世界の
人々には考え難いものだったらしい。

最初の頃は反発する貴族も多かった。

父がいるから俺に面と向かって
反抗する人間はいなかったが
俺はそういう人がいると言う
情報を受け取ると、
積極的に出かけて話をした。

俺が人前に出ることを
父は嫌がったが、
逆に俺はこの稀有な紫の瞳を
利用することにしたのだ。

『神のご意思です』と言えば
たいていの人間は黙る。

そして前世でスマホ専用の
プログラムを作ったのに、
パソコンで動かないとか言う
わけのわからないクレームを
持って来たおじさんを
相手にしたときのように。

じっくり、ていねいに、
相手が理解するまで
時間をかけて説明してやった。

え?
別にストレス解消じゃないぞ。

そんな俺に付き合うキールも
義兄も苦笑していたが、
俺、自分の考えを話すのが好きだからな。

相手が感情的になればなるほど
理屈で納得させてやる!って
燃える人間なんだ。

それ以外では
神殿が集めた情報を元に
王家を通じて支援をする仕組みを
ティスや義兄、ルイと一緒に作った。

最初は細々と活動していたぐらいだが、
今ではこの国で起こったことは
たいていのことは王宮で把握できるし、
それに対しての対処法も
神殿と一緒に考えて行えるようになった。

あと大きく変わったことと言えば、
俺たちが集まっていた部署が
父の管轄である『相談課』に
吸収されたということだろうか。

理由は神殿が持ってくる情報には
国の騎士団を動かす必要が
ある場合もあるので
俺たちだけでは対処するのに
無理があること。

またルイが魔法や魔石の研究を
本格的にしたいと
言ったことが挙げられる。

そんなわけで学園の
おじいちゃん先生を顧問とした
『魔法研究所』が王宮内に
設立されて、
ルイはそこ入り浸っている。

とはいえきちんと学園には通っているし、
ルイは留学生の扱いではあるが、
この研究所の成果を踏まえ、
国賓扱いになった。

それに、
創造神の愛し子に請われ、
世界の発展に協力する、
という理由で、帰国せずに
ずっと俺のそばにいることに
ルイの国の王家からも
認められた。

ルイの国も創造神を信仰してるし
世界の崩壊を止めると言われれば
拒否はできないだろう。

ルイいわく「厄介払いだ」だそうだが、
本人は物凄く嬉しそうだった。

どうやら両親にも
「戻ってこなくていい」とまで
言われたらしい。

俺は憤慨したが、
ルイは気にしてないと言う。

ただ、一番上の兄だけは
ルイに手紙で

「何かあれば頼って欲しい。
自分が国王になったら
必ず、この国を良い国に
導いていくから協力して欲しい」

と言うようなことを
伝えたらしい。

それを教えてくれたルイは
ちょっと嬉しそうだった。

そんなルイは今、魔法に夢中だ。

もちろん、
公爵家のゲストハウスで
生活しているので
毎日顔は合わせている。

それからルイが抜けた分、
クリムとルシリアンを引き込むことにした。

二人はこのままいくと
ティスの側近になるし、
今のうちから経験を積むのも
良いだろうと陛下が判断したのだ。

仕事としては、
クリムは騎士を
目指しているので
俺たちの事務作業を
手伝ってはいるけれど、
騎士見習のような立ち位置だ。

実際に護衛としての動きを学べると
クリムは嬉しそうに言う。

いずれティスを護るのだから
そう言った経験は大事だと
思ったがクリムは違ったようだ。

「アキ様のことは
これからもずっと
僕がお守りしますね」なんていう。

俺ではなく、
ティスを守るのでは?
と思ったが、どうやらティスが
それを望んでいるそうだ。

首を傾げる俺にクリムは
「見知らぬ護衛をアキ様のそばに
付けるのは嫌らしいですよ」笑った。

俺が理詰めで攻撃している姿を
見続けて、新人イジメでもすると
思われたのだろうか。

本当にそうだったら
地味にへこみそうだ。

俺とルシリアンは
神殿から来る情報を
整理したり、
必要なことをピックアップしたり。

また必要な対策案を考えて
提案したり、それに関して
神殿と王宮との調整をしたりと
それなりに忙しい。

ルシリアンは優秀で、
細かいことに良く気が付くし、
俺が何かを考えだして
声に出したことや、メモを
したことをいつのまにか
丁寧に清書して書き残してくれている。

これは本当にありがたい。

こうやって考え、
提案書としてまとめたものを
審議し、実際に動いたり、
指示を出すのは父の役目だ。

義兄とティスは元々の
王子としての仕事もあるので
俺が要請したときと、
時間が空いたときにだけ
仕事を手伝ってくれている。

また魔法研究所に関しては
俺も紫の瞳の魔力のことが
あるので、時折、
ルイのところに行って
研究にたずさわったりもした。

魔力や魔石に関しては
前世とは全く関係ない仕組みで
俺もルイのことを言えない程
魅力的に感じていて

愛し子の役目が終わったら
卒業後はこの研究所で
研究員になりたいと思うぐらいには
楽しい時間を過ごしている。

父は俺が学園が終わると
すぐに父のそばで仕事をするので
大喜びだったし、

父がそばにいる間は
護衛は必要ないので
キールはその間、
支障が無い時はクリムを連れて
騎士たちの訓練に
参加している。

なんとなく俺の周囲の皆が
それぞれ楽しく過ごせていて
俺は嬉しくて仕方が無い。

神殿に行くと
相変わらずイシュメルは
大げさに創造神と俺を
褒め称えてくれる。

最初は驚いたけれど
今では慣れたものだ。

ただ、慣れたとしても
イシュメルが話しているというのに
それを放置することができなくて
俺はいつもイシュメルに捕まると
ずーっと話を聞くことになってしまう。

イシュメルが情報を
持っている時は良いのだが、
ただ単に創造神のすばらしさだけで
体感的に1時間以上も話されると
さすがに疲れてくる。

イシュメルの話を
早く終わらせる方法を
見つけることが
俺の目下の目標だ。

あと神殿が絡んでいるとき、
つまり『愛し子仕事』に行くときは
必ずカミュイが護衛についてくれる。

聖騎士は忙しいと思うのだが
カミュイは必ず自分がお守りします、と
俺に騎士の礼をしてくれるのだ。

俺はありがたいと思うのだが、
キールがそんなカミュイに
過剰反応をする。

俺の護衛のポジションを
取り合ってるのか?って思う程、
「俺が護衛だ」とか言って
すぐにカミュイと喧嘩をするのだ。

かと思えば、俺が
神殿でローガンさんと
打ち合わせをしている間は
二人で剣を持って
一緒に訓練しているようで、
仲が良いのか悪いのかよくわからない。

そんなこんなで
平穏ではないが楽しい日々を
送っているのだが、
俺は今、心配していることがある。

それは義兄の結婚のことだ。

義兄と俺は7歳年が離れている。

つまり義兄はもう23歳だ。

この世界ではそろそろ
結婚していてもおかしくない年齢だ。

むしろ、遅いぐらいなのだ。

義兄は結婚しない。
跡継ぎは俺の子どもにする。

なんて言ってはいるが、
俺はまだまだ結婚する気は無いし、
俺の子を生んでくれる女性と
出会える気もしない。

もちろん、
俺が子どもを生むというのも
出来る気がしない。

子どもを生むとか言われても
イメージがわかないので
そんなことを言われても
よくわからない、というのが本音だ。

結婚というのは、
好きになった相手とすることだと思う。

俺は恋愛に疎い人間だが
それぐらいは理解している。

この世界では政略結婚が主流だが
公爵家はそんなことはしなくても良いし、
俺は義兄には幸せになって欲しい。

このままだと俺のために
人生を使ってしまうのではないかと
そんな不安もある。

俺は社交界には出ないので
良くわからないが、
ルイ曰く、

「弟君は男性からも
女性からも、かなりの人気だよ。
俺ももっとアピールしようかな」

……らしい。

まぁ、ルイはいつもの冗談だろうが、
実際に義兄は、次期公爵だし
ハンサムだし、優良物件だからな。

俺はぜひ義兄には婚活してもらって
すてきなお嫁さんを
連れてきて欲しいと思っている。

そうやって充実した日々を
俺は過ごしていたのだが。

この俺の平穏な日々は
あるティスの一言によって
崩れ落ちてしまった。



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