深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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投資はコツコツ続ける地味な作業だ

ジュンは慕われて仕事を失い、イツキは嫌われてはしごを外される

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 ラビイが後ろに控える錬金術師部隊に指示を出す。
 もちろんそれを護衛する部隊も居る。

「俺は錬金術を出来ない。魔物を狩ろう」
「お供しますわ」

 俺が周りを巡回すると、兵士が魔物の位置を感知して魔物を追い詰め倒していく。

「お疲れ様、手伝えることはあるか?」

「ジュン様の手を煩わせるわけにはいきません!」
「やる事が無くてな」
「大丈夫です!」

 斥候が現れて隊長と話をする。

「北東1キロの方向に魔物の反応があります」
「すぐに向かう!数は?」
「7体です!」
「余裕だな」

「我々は問題無く魔物を狩れます!どうかごゆるりとお過ごしください!失礼します!」

 そう言って走っていく。

「魔物狩りは、十分そうですわね」
「そうだな。石や倒木をどかそう」

 俺とエルルは道に戻った。


「大丈夫なのです。ジュンはゆっくりしているです」
「いや、でも暇なんだ」
「領主に余裕があるのは領がうまく回っている証拠にもなるのです。それにマッチョ101以下が頑張っているのです」

「ふんぬ!」
「どすこーい!」
「マッチョパワー!」
「ストレングス!」

 マッチョが倒木や道の石をどかせていく。

「漁も農業も出来ないマッチョは、石をどける事で筋肉を育てているのです。邪魔をするのは良くないのです」
「……確かに」

 マッチョにとって筋肉は何より大事

 道の整備と魔物の討伐は両国の物流計画で欠かせないものとなっている。
 だが、ラビイもマッチョも兵士も優秀で手伝える部分が無い。

「仕方がない。ダンジョンで魔石を集めてくるか」

 その瞬間ラビイが俺を見る。

「欲しいのです!道を使うのにも使えるのです!終わったら建物を建てるのです!それが終わったらポーションを作るために使うのです!」

「分かった。ダンジョンに行って来る」
「わたくしもお供しますわ」
「あー。2人だけになる。王女が男と一緒にいるのはまずいだろ」

「母さんに許可は頂いていますわ!!」

 周りに居る全員がエルルの方を向く。

「す、すみません。大きな声を出してしまいましたわ」
「いや、いい。分かった。行こう」
「はい!」





【ビッグ王国・王視点】

 聖騎士イツキは強い。
 だがそれ以上に問題が多い。

 戦いにおいては優秀だが、管理しきれないのだ。
 英雄であればそう言った部分もあるだろう。
 だがイツキの副官がすべての責任を取り、辞意を表明した。
 
 さすがにそこまで発展しては我も動かざる終えん。
 あの副官は誰に聞いても優秀で実直な男と聞く。
 我の評価も同じだ。

 周りの兵を庇う為副官は追い詰められ、自らが罪を被り辞意を表明したのだ。
 動くのが遅れた我は、慌てて副官の配属変更を行った。 
 その後は副官の居ないイツキの隊に居たくないと辞意を表明する兵が続出した。

 まったく、内政を進め、魔将の影に警戒し、そちらに目を向けていれば軍の内部で問題が起こる。
 キリが無い。

 しかも信頼する将軍でさえイツキを止められなかった。
 我が責任を持って動く今の事態にまで発展した。
 周りから聞き取りをした。

 イツキを刺激してはいけない。
 イツキが悪くなるような言い方をすれば絶対に話を聞かない。
 最悪殺されるとまで助言を受けた。
 イツキの評判の悪さと癖の強さはよく分かった。

 そのせいで根回しに多くの時間を取られた。
 やっとイツキを呼ぶことが出来る。
 我は謁見の間で待った。

 来ない。
 イツキは癖が強い職人のような存在だ。
 そういう者は時間や締め切りを守らない。
 自分のこだわりを優先する。
 そして、思い込みが激しい。

 悪い部分だけが出た職人。
 それが我の評価だ。

 


 30分待ち、イツキが現れる。

「うむ、早速本題に入ろう」
「何の用だ?」

「まず話を聞いてくれ。今我が国の部隊は聖騎士イツキの強さについて行けない状態だ」
「まったくだ!早く改善してもらいたい」

「……そして今魔将の影が見える。しかも複数の影が確認されている」
「何が言いたい?結論だけを言え!」

 イツキに結論だけを言えば怒り出す事は分かっている。
 うまくなだめて説明してから結論を言う。
 そうで無ければまた怒りだし、違う話が始まる事は目に見えている。

「まあ聞いてくれ。すべて大事な話だ。今のままではイツキの部隊が足を引っ張りイツキの動きが悪くなる。そこで、イツキには魔将討伐のエースとしてソロで自由に魔将を討伐して欲しいのだ」
「その前に部隊の質を改善してくれ」

「今、イツキについていける戦闘力を持った者は居ないのだ。このままでは必ず足を引っ張り、無駄に兵が死ぬ事になる。部隊の質を上げるには時間を要する。今回はイツキに【魔将殺し】の称号を授けたく呼んだのだ。魔将殺しとは、ソロで魔将を討伐できる者のみに与えられる称号だ」

 実質は降格だ。
 だが称号を与え、式典を行う。
 讃える事でそれを感じさせないように動く。
 部隊の管理からは抜けてもらう。

 イツキの地位と給金を上げる。
 だが部隊の管理は絶対にさせない。
 まだ15才でこの世界に来て間もない者なら、うまくいく可能性があるのだ。

「話は分かった。だが部隊の質を上げろ」
「分かっておる。だが時間はかかる」

 こうしてイツキは納得して退場した。
 イツキが居なくなった瞬間に我は胸を撫でおろす。

「お疲れ様でございます」
「聖騎士イツキか。戦闘力は高い。だが、奴は【個】の人間だ。【集】を束ねる力は無い。いや、無いどころかどんどん悪い方向に物事が進む」

「まったくです。それに比べ、内政の英雄はフロント大国で素晴らしい改善を行い、今や国の勢いを取り戻し、エルウィン王国を支援するに至っているようです」

「うむ、本来はそういった者と強い戦闘力を持った者が協力する事で大きな力を生むが、イツキは頑なに内政の英雄を認めようとしない」
「イツキ殿は、1度思い込んだら、考えを改めることは無いでしょうな」

「頑固な割には結果によって言う事が二転三転する。いや、このような話はやめにするか」
「……はい、ですが皆は、言い足りない者が多く居ましょう」
「分かっておる。イツキに責められた兵士が悪者扱いされぬよう根回しはしっかり頼むぞ」
 
 大臣は礼をして下がる。
 王は王座にもたれるように寄りかかり、額を抑える。
 そして上を向き、今までにないほど大きなため息をついた。

 王は心の中で思う。
 王は、皆の奴隷だ。
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