美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ

文字の大きさ
16 / 51

第16話

しおりを挟む
 僕たちは電車に乗って家に帰った。

「まあ、待ってたのよ。ユキナちゃん、来るのが遅かったわねえ」
「僕とメイが寄り道してしまったんだ」
「遅れてしまいました」

「そういう意味じゃないのよお、ふふふふふふふふ」

 母さんは笑っている。

「今日はお店で食べなさい。私と父さんとユヅキ・・・先生はもう食べ終わったわあ」

 そう言って母さんはユキナ先輩を笑顔で見た。
 ユヅキ先生を強調するように聞こえた。

「すぐ持って来るから座って待っててねえ」

「……ユヅキ先生って誰かしら?」
「ユヅキ先生はねえ。この家でルームシェアをしてるんだよ」
「メイ、女の人よね?」

「女の人だよ」
「美人の人かしら?」
「すっごく美人だよ~」

「何才くらいなの?お姉ちゃん知りたいわ」
「22才で今年高校の先生になったばかりの人だよ」

 母さんが食事を運んでくる。

「まあ、ユキナちゃんはユヅキ先生の事に興味があるのねえ」
「そうですね」
「所で、シュウは意外とモテるのよお。もっと何度もシュウに会いに来た方がいいと思うわあ。手遅れになる前に、ふふふふふ」

 ユキナ先輩の顔が赤くなった。
 母さんは絶対にからかってる。
 
「それにねえ、シュウと同じクラスのヒマリちゃんって分かる?」
「……分かります」
「最近シュウとヒマリちゃんが良く話しているのよねえ。それにシュウのデチューンの事をヒマリちゃんは知ってるわあ」

 ユキナ先輩の落ち着きが無くなり、コーヒーカップを持つ手が少し震えていた。
 ユキナ先輩は「ひ、ヒマリさんは駄目よ。強すぎるわ」と呟いていた。

「しゅ、シュウと、な、仲がいいんですか?」
「ええ、とってもいいわねえ。シュウはユヅキ先生にも気に入られているわあ。それにヒマリちゃんはまだ素直になれないけど、そうねえ。ユキナちゃんはもう少し急いだ方がいいわよお。もう一回言うわあ。急いだ方がいいのよお」

「そ、そうなんですね」
「所でシュウ、小説を書くのはうまくいってる?」

 何故か母さんは唐突に話題を変えた。

「お兄ちゃん今はラブコメを書いてるんだよ」

「そうなのねえ。シュウはまだ若いから、現実の自分をモデルにして書いた方が書きやすいかもしれないわねえ。ふふふふふ」

 僕は黙った。
 今書いているラブコメを消そう。
 
「ちょっとトイレに行って来るよ」
「あらあら、小説を消すならもっとばれないようにしないと駄目よお?母さんすぐに小説を消そうとしているのが分かったわあ。パソコンをいじって消せるのよねえ?もっとばれないように消さないと小説家のユキナ先輩にバレるわよ」

 母さんはユキナ先輩に僕の秘密がバレてもいいのか!?
 危ない危ない!
 危険しかないよ!

「そ、そうだね。気を付けるよ」

 スマホで消そう。
 少ししたらスマホ画面で小説を消す。
 これで今日はゆっくり落ち着いて眠れる。

「所でネットに投稿する小説ってスマホでも消せるのかしら?ユキナちゃん、知ってる?」
「消せますね。シュウ、スマホを出しなさい」

「そんな事より早く食べよう。せっかくの料理が冷めてしまうよ。母さんの冗談を真に受けるのは良くないよ」
「そうね、シュウのスマホを回収したら食べましょう」

「お兄ちゃん怪しい」
「出しなさい」

 ユキナ先輩は笑顔で、でも決して曲げないような目で言った。

「ふふふふ、どうしたの?シュウ、汗が出てるわあ。何か秘密がバレそうな事でもあるの?うふふふふふふふ」

 母さんはユキナ先輩に秘密がバレても良いと思ってるんだ!
 母さんの考えが分からない!
 母さんは直感で動くことはあるけど、損になることは避けると思っていた。

 母さんの考えが読めない!

 ユキナ先輩が抱き着いてきた。

「シュウ、隠し事は良くないわね」

 ユキナ先輩がスマホを抜き取ろうとする。   
 僕はあわててブロックした。

「シュウ、ユキナちゃんにスマホを渡しなさい。そうしないと私、ユキナちゃんに色々話しちゃんわ」

 僕の力が抜ける。
 色々って、メイやユズキ先生との事以外思い浮かばない。
 ユキナ先輩は僕のスマホをキープする。

 く、母さんの考えが読めない!

 僕は落ち着かないまま食事を摂り、パソコンも母さんに一時没収され、僕もユキナ先輩もお風呂に入って寝るだけの状態になる。

 僕の部屋でスマホとパソコンが返却された。
 ユキナ先輩が没収したスマホとパソコンは母さんがキープしており、僕じゃなくユキナ先輩に返却した。
 母さんの行動がおかしい。

 そこは僕に返す所だよ!
 僕は自室のイスに座る。
 力が抜けるよ。

 隣にはユキナ先輩がいる。

「シュウ、名探偵ユキナちゃんと一緒に、小説を見なさい」

 母さんは僕の小説の内容を知らないと思う。
 でも、もし僕の小説に変な事が書かれていなくても、ユキナ先輩にたくさんヒントを与える様な言動が多かった。

 母さんが部屋を出て行く。
 ユキナ先輩と二人っきりはドキドキしてしまう。

「シュウ、小説を開きましょう。言っておくけれど、シュウが見せなかったらシュウのお母さんを呼ぶように言われているわ」
「……分かったよ」
 
 僕は立ち上がってパソコンから、投稿していない小説を開いた。

「いいわよ、遠慮せず椅子に座って」
「先輩が座ってください」
「駄目よ。シュウ、座って」

 ユキナ先輩の顔が少し赤い。
 顔を見られたくないのかもしれない。

 ユキナ先輩は僕の椅子の後ろから手を伸ばしてパソコンを操作する。
 ユキナ先輩の顔が僕の真横で近い。
 僕の小説を見ながら吐息を漏らすのがドキドキする。

 僕が先輩の顔を見ようと振り返ろうとすると頭を押さえられた。
 絶対に顔を見られたくないんだろう。

 僕に触るのはいいけど顔は絶対に見られたくないようだ。

 僕はドキドキしながら黙って座っていた。



「シュウ、この小説をすぐに投稿しましょう」
「でも、まだ誤字の修正が出来ていないよ」
「第1話だけ誤字や言い回しをチェックして1話を投稿しましょう。やってみないと結果は分からないけれど、伸びるかもしれないわ」

 僕は無言で1話の文章をチェックして投稿した。

「お疲れ様ね」

 そう言って僕の頭を撫でて後ろを向いて部屋を出て行った。
 結局ユキナ先輩の顔を見ることが出来なかった。

 でも、ユキナ先輩がロングヘアの髪を直した時、

 ちらっと見えた耳が赤く見えた。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに

家紋武範
恋愛
 となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。  ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

処理中です...