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第11話
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【ボッズ・ウインドソード視点】
早速馬車を借りに行った部下が戻って来たか。
「うまくいったか?」
「いえ、それが」
ウオン!
無能な部下を風魔法で弾き飛ばした。
「がああ!お、お待ちください!理由、理由があります!」
「言ってみろ」
「馬車の値段が3倍に値上がりしていたのです!」
「……3倍か。まあいい。借りろ」
「わ、かり、ました」
部下が出ていった。
まったく、臨機応変と言う言葉を知らんのか。
しばらくするとまた部下が戻って来た。
「3倍で馬車を借りようとした所向こうは4倍の値段で借りようとしています!相手はファインとフィールです!何を言っても聞きません!今、他の者が価格交渉をしています!」
「何だと!すぐに行く!」
私は急いで学園の外に出た。
馬車を手配できる場所は一か所しかない。
風魔法でジャンプして魔道バスを飛び越え、急いで街はずれに走った。
街を抜け、畑や牧草が広がる地帯に入るとスピードを上げて更に走る。
「はあ、はあ、はあ、ファイン!フィール!馬車でどこに行く気だ!」
私の手下が契約の邪魔をしていたが、ファインは無視をするように書類に記入を始めた。
私はその紙を奪い取り、風魔法で切り刻んだ。
紙が花吹雪のように舞う。
馬車小屋の主人が前に出た。
「お客さん、困りますよ。こっちは商売なんです。このお客さんは4倍の値段で馬車を借りてくれるんですから」
「私は3倍で馬車を借りている!」
「ええ、ですが最後の1台はファイン様が4倍で借りてくれます」
「私は5倍出す!まだ契約は終わっていないはずだ」
「……お客さん、ありがたい話ですが、うちにも信用があるんです。もう貸すと約束してしまいました」
「契約はまだだ。問題無い!」
ファインが口を開く。
「なら俺は10倍出すぜ!」
「貴様!俺は30倍を出す!」
「30倍だと!」
「く、くっくっくっく、出せんか!たかが男爵の息子風情には出せんか!はははははははは、決まりだな!」
おとなしくしていたフィールがしゃしゃり出た。
「俺が金を足して出す。俺の金を足して31倍で借りたい」
「私は35倍を出す!」
「36倍!」
「私は40倍を出す!」
「く、42倍だ!」
「フィール、無理をするな、それが貴様の限界だ!私は50倍で馬車を借りよう!」
「く、50、だと」
「は、ははは、50は出せんか!ははははははは!私の勝ちだな!」
フィールも、ファインもその場に黙った。
俺は勝利を味わいながら契約を済ませて小屋を出た。
実に気分がいい。
【フィール視点】
「言われた通り、ボッズ様は高い金額で馬車を借りてくれました。フィール様には感謝しかありません」
店の主人がお礼をした。
「いや、チンカウバインの勘が良かったんだ」
嘘だ。
ゲームでこのイベントを知っている。
生徒の父を癒す為ヒロイン聖女を連れて馬車を借りようとするとボッズが邪魔をしに来る。
馬車のセリが始まって、50倍を超える値段を出せればファインの勝ちとなる。
ボッズの50倍を引き出したうえで負けた場合奴は金で困るイベントが発生する。
ボッズの雇っていたゴロツキが金を貰えず去って行く為監視の目が甘くなる。
ゴロツキを雇う金が無くなるのだ。
そう、俺はワザと負けた。
「ファイン、次は目立ちながら女子生徒の元へ行こう」
「ああ、妖精の力を信じよう」
更に3つのボッズ貧乏化イベントがある。
1つ目がボッズが狙っている貧乏女子生徒の家を盗賊を使い放火させる。
放火イベント中に盗賊を返り討ちにする事でボッズの貧乏イベントが確定する。
2つ目がアイラに金を出してポーション作成の特別訓練(有償)を受けさせようとすれば手下が特別訓練の枠を高値で買って埋め、貧乏イベントが確定する。
3つ目が学園の近くにある鍛冶屋の娘を落とすために鉄を買い占めて供給を絶とうとしてくるが、ファインが鉄を買う事でボッズはムキになって鉄を買い占める。
このことでボッズは高騰した鉄を買い続ける。
3つのイベントをすべてこなす事でボッズは金に困り、ファインは困った人を助けるイベントが始まる。
ファインが慕われてボッズの評判はどんどん落ちていくのだ。
ボッズの取り巻きが俺を見ている。
俺は思わず笑い、口元を押さえる。
「次はアイラにポーション作成の特別訓練を受けて貰おう!特別訓練は金がかかるけど、費用は俺が出すから!高めの費用を出す代わりに枠が埋まらないように教師に話をしに行こう」
その瞬間に取り巻きが慌てて立ち去った。
面白いほどに思い通りに動いてくれる。
このイベントは札束の殴り合いだが、勝つ必要はない。
ボッズに金を使わせて領地経営が困るよう追い込む事で人が離れて行く。
俺はボッズが策をめぐらせ動き回る中、訓練を続け力を蓄える。
ボッズには勝っていると思わせておけばいい。
ボッズ、どんどん勝って、油断してくれ。
その方が助かる。
お前は勝っていると思っているだけで実際は負けイベントを味わう。
早速馬車を借りに行った部下が戻って来たか。
「うまくいったか?」
「いえ、それが」
ウオン!
無能な部下を風魔法で弾き飛ばした。
「がああ!お、お待ちください!理由、理由があります!」
「言ってみろ」
「馬車の値段が3倍に値上がりしていたのです!」
「……3倍か。まあいい。借りろ」
「わ、かり、ました」
部下が出ていった。
まったく、臨機応変と言う言葉を知らんのか。
しばらくするとまた部下が戻って来た。
「3倍で馬車を借りようとした所向こうは4倍の値段で借りようとしています!相手はファインとフィールです!何を言っても聞きません!今、他の者が価格交渉をしています!」
「何だと!すぐに行く!」
私は急いで学園の外に出た。
馬車を手配できる場所は一か所しかない。
風魔法でジャンプして魔道バスを飛び越え、急いで街はずれに走った。
街を抜け、畑や牧草が広がる地帯に入るとスピードを上げて更に走る。
「はあ、はあ、はあ、ファイン!フィール!馬車でどこに行く気だ!」
私の手下が契約の邪魔をしていたが、ファインは無視をするように書類に記入を始めた。
私はその紙を奪い取り、風魔法で切り刻んだ。
紙が花吹雪のように舞う。
馬車小屋の主人が前に出た。
「お客さん、困りますよ。こっちは商売なんです。このお客さんは4倍の値段で馬車を借りてくれるんですから」
「私は3倍で馬車を借りている!」
「ええ、ですが最後の1台はファイン様が4倍で借りてくれます」
「私は5倍出す!まだ契約は終わっていないはずだ」
「……お客さん、ありがたい話ですが、うちにも信用があるんです。もう貸すと約束してしまいました」
「契約はまだだ。問題無い!」
ファインが口を開く。
「なら俺は10倍出すぜ!」
「貴様!俺は30倍を出す!」
「30倍だと!」
「く、くっくっくっく、出せんか!たかが男爵の息子風情には出せんか!はははははははは、決まりだな!」
おとなしくしていたフィールがしゃしゃり出た。
「俺が金を足して出す。俺の金を足して31倍で借りたい」
「私は35倍を出す!」
「36倍!」
「私は40倍を出す!」
「く、42倍だ!」
「フィール、無理をするな、それが貴様の限界だ!私は50倍で馬車を借りよう!」
「く、50、だと」
「は、ははは、50は出せんか!ははははははは!私の勝ちだな!」
フィールも、ファインもその場に黙った。
俺は勝利を味わいながら契約を済ませて小屋を出た。
実に気分がいい。
【フィール視点】
「言われた通り、ボッズ様は高い金額で馬車を借りてくれました。フィール様には感謝しかありません」
店の主人がお礼をした。
「いや、チンカウバインの勘が良かったんだ」
嘘だ。
ゲームでこのイベントを知っている。
生徒の父を癒す為ヒロイン聖女を連れて馬車を借りようとするとボッズが邪魔をしに来る。
馬車のセリが始まって、50倍を超える値段を出せればファインの勝ちとなる。
ボッズの50倍を引き出したうえで負けた場合奴は金で困るイベントが発生する。
ボッズの雇っていたゴロツキが金を貰えず去って行く為監視の目が甘くなる。
ゴロツキを雇う金が無くなるのだ。
そう、俺はワザと負けた。
「ファイン、次は目立ちながら女子生徒の元へ行こう」
「ああ、妖精の力を信じよう」
更に3つのボッズ貧乏化イベントがある。
1つ目がボッズが狙っている貧乏女子生徒の家を盗賊を使い放火させる。
放火イベント中に盗賊を返り討ちにする事でボッズの貧乏イベントが確定する。
2つ目がアイラに金を出してポーション作成の特別訓練(有償)を受けさせようとすれば手下が特別訓練の枠を高値で買って埋め、貧乏イベントが確定する。
3つ目が学園の近くにある鍛冶屋の娘を落とすために鉄を買い占めて供給を絶とうとしてくるが、ファインが鉄を買う事でボッズはムキになって鉄を買い占める。
このことでボッズは高騰した鉄を買い続ける。
3つのイベントをすべてこなす事でボッズは金に困り、ファインは困った人を助けるイベントが始まる。
ファインが慕われてボッズの評判はどんどん落ちていくのだ。
ボッズの取り巻きが俺を見ている。
俺は思わず笑い、口元を押さえる。
「次はアイラにポーション作成の特別訓練を受けて貰おう!特別訓練は金がかかるけど、費用は俺が出すから!高めの費用を出す代わりに枠が埋まらないように教師に話をしに行こう」
その瞬間に取り巻きが慌てて立ち去った。
面白いほどに思い通りに動いてくれる。
このイベントは札束の殴り合いだが、勝つ必要はない。
ボッズに金を使わせて領地経営が困るよう追い込む事で人が離れて行く。
俺はボッズが策をめぐらせ動き回る中、訓練を続け力を蓄える。
ボッズには勝っていると思わせておけばいい。
ボッズ、どんどん勝って、油断してくれ。
その方が助かる。
お前は勝っていると思っているだけで実際は負けイベントを味わう。
応援ありがとうございます!
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