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第12話

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 俺は訓練を続けた。
 訓練をメインとしつつ片手間でボッズのイベントを起こさせ、金を使わせた。
 ファインがイベントをこなす事で俺は集中して訓練が出来た。

 後7日で決闘か。



 フィール・バイブレーション
 体力レベル  182(+70)
 魔力レベル  155(+50)
 速力レベル  163(+63)
 生産レベル   10
 知力レベル    151
 魅力レベル    523(+73)
 スキル
『☆秀才』『☆風魔法の才能』『☆イケメン』『☆妖精契約・チンカウバイン』『剣術:中級』『炎魔法:下級』『水・氷魔法:下級』『風魔法:上級』『土魔法:下級』『聖魔法:下級』『闇魔法:下級』『生産魔法:下級』
 内政力
 爵位:男爵家の息子
 兵力レベル:無し
 収入レベル:無し
 領地レベル:無し



 間に合わないか。
 思ったように能力値が伸びなかった。
 後7日だけではそこまで能力値が伸びないだろう。

 チンカウバインの憑依は使わず、ひたすら恋愛相談を続けてもらった。
 試合当日にチンカウバインの恋愛ポイントをすべてつぎ込む。
 完全に勝てる保証はないけど、いい戦いが出来るはずだ。
 
 マッチョ教師がやって来た。

「フィール、試合の日時と方法が決まった。5対5の勝ち抜き戦だ。ファインたちが味方になってくれる」
「はあ!なん、だと!」

 俺は1対1の試合を想定していた。
 だが5対5となれば話は変わって来る。
 ボッズは強い生徒を金で雇う。
 対決の時期は早いまま、ゲームと同じパターンに戻った!

「これが試合の参加者だ」

 俺は紙を見る。
 やっぱりそうだ。
 ボッズは強い生徒を2人、金で雇っている。
 そして、こちら側は主人公のヒロインである教師は参加できない。
 当然聖女ヒロインも戦闘能力が低く参加できない。
 ゲームと同じで主人公のファイン・姫騎士、それに俺を入れて戦う事になる。
 残りはモブで埋めている状況だ。

 実質3対5だ。
 しかも試合の日時が早すぎる。
 1年の終わりではなく、夏休み前は早すぎる。
 ファインパーティーの強化イベント前にボッズ率いる5人とぶつかる事になる。

「なあに、ただの試合だ。気を張らずに、ただ全力を出し切ればいい」

 そう言ってマッチョ教師は去って行った。

「くそ!どうする」

 ブーン!

 チンカウバインが来た。

「困っているようだね。秘策があるよ」
「……聞こうか」



 俺は集められるだけの女性生徒を訓練場に集めた。
 ファインにも人集めを手伝って貰った。
 皆ボッズの横暴さに反対するメンバーだ。

「さあ、これからフィールのパワーアップをするよ!フィールの近くに集まって」

 女性生徒が集まって話を始めた。

「何をするのかしら?」
「分からないけど、凄く強くなるわけではないんでしょ?」
「でも、少しでもフィールの力になりたいわ」

「さあ、魔法防御を解除して!フィール、今だよ!」
「最後に確認したい。本当に協力してくれるのか?」
「「大丈夫!」」

「そうか、分かった。ありがとう。本当に助かる。風魔法展開!」

 優しい緑色の光がサークル状に広がった。

「きれいな光、きっと神聖な儀式なんだわ」
「安心して来たわ」
「でも、なんで魔法防御を解除するのかしら?」
「さあ、でも、その方が儀式の効果は高くなるみたいよ」

「バイブレーションフィールド!」

 女性生徒の胸とへその下が魔法陣で緑色に光った。
 ターゲットを振動させる。

「「きゃああああああああああああああああああ!!!」」

 女性生徒がビクンビクンと声をあげながら痙攣する。
 女性生徒は地面に倒れ、痙攣しながら俺のやっている事を理解した。

 アイラが俺の腕を掴むが、耐えきれなくなり地面にうずくまる。

「もっと!もっとだよ!もっと愛を発生させるんだ!」

 チンカウバインが空を走りながら華麗な舞を見せる。
 フィギュアスケートのようにくるくると華麗に舞う。
 ちなみにあの舞には何の意味もない。

「くう!最大出力!狙いを的確に!もっと激しく!」
「そう!いいよ!どんどん精度が上がっているよ!これで短期的に愛の力を手に入れられるんだ!魔力が切れるまで使い続けるんだ!」

 チンカウバインの舞は加速する。
 俺は膝を地面に着いた。
 立ち続けることが出来ない。

「まだだ!まだヤレる!まだいけるんだ!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 緑色の光が強まる。

 狙いをぼやけさせるな!

 ピンポイントで狙い撃つように的確に振動させろ!

 出力を落とすな!

 振動を弱めてはいけない!

 もっと女性生徒が反応するように!

 この空間すべてを掌握する。


 俺は、地面に倒れ、バイブレーションフィールドが解除された。

 チンカウバインは舞いながら羽音を鳴らし、テンションは最高潮に達した。

「ふぉおおおお!いいよ!愛の力でフィールと私はパワーアップできるよ!毎日やろう!試合まで毎日やろう!これで勝利は間違いなしだよ!」

 女性生徒が倒れる中、チンカウバインは舞い続ける。

 女性生徒がゆっくりと起き上がり、チンカウバインをガシっと掴んだ。
 次々と女性生徒が起き上がってチンカウバインが囲まれる。

 説教を受けている。
 この訓練は、もう無理か。

 俺は息を整えてゆっくりと起き上がる。

 目立たないように、逃げよう。

 怒っているのは今だけだ。

 明日謝ればいい。

 気配を消した。

 そしてくるっと反転する。

 ガシ!

 アイラが俺の服を両手で掴んだ。

「はあ、はあ、フィール君、まさか、逃げたりしないよね?」

 アイラはいつにも増して満面の笑顔だ。
 笑顔が怖い。

「きょ、今日は汗を流してゆっくり休もう」
「うん、お話が終わったらね」

 俺は、逃げ遅れた。

 俺とチンカウバインは説教を受けた。

 その様子をファインは、

 遠くで気配を消しながら、

 ただ眺めていた。
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