雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ

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第28話 不思議なきゅう

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 感極まって兄さんが俺を抱きしめた。

「うおおおうう、私は、もっと強くなる。きああああああい!」
「に、兄さん、今は休もう」

「家に帰って、休んで強くなる」
「もう少しだけここで休んだ方が」
「なにか、何かがしたいんだ。何でもいいからあ、何かしたい」

「わ、分かった。メイの母さんに貰ったタッパーと、魔石を渡すから装備を整えて欲しい」
「車で送って貰うよ」

 俺は魔石を返そうとしてくる兄さんを諦めて運転手さんに兄さんが下りる時に魔石を渡してもらうよう頼んでみんなで見送った。

「キドウは何がしたいのよ?」
「キドウも自分で分かっていません。感動してじっとしていられなかったんですよ」
「ゲームデータのライセンス報酬について話をしよう」
「リツカ様、すべて終わってからの方が良いかと」
「そうだね、最終的な報酬は後で話すとして」

「らいせんすほうしゅう?」
「そう、まず、制服は新品に変えようか」
「剣も変えましょう。直してもまた折れるわよ?」
「後靴も変えましょう」

「すべてのスペアも必要だね」
「「私達が採寸します」」
「え、ちょ!」

 俺は採寸して昼食を食べた。

「所で、きゅうについてなんだけど」
「きゅう?」

「意味不明ですよね」
「父さんの会社で調べたがっていたけど、調べていいかな?」
「血を取ったり、きゅうが嫌がりそうなことは出来ない」
「それ以外ならいいのかな?」
「大丈夫だ」
「車の準備は出来ています」

「どこに行くんだ?」
「ヒメビシ商事の本社だよ」
「ヒメビシってヒメビシ財閥か!」
「そうだよ? すぐに行こう」

「お、おう、そ、そうか、う、うん」
「アキラ、落ち着きましょう」
「そうよ、みんな同じ人間なんだから」

 同じ人間ではあるけど、3人は美人で配信者として人気があり、ゲームのキャラだ。
 俺は悪役だから3人は正義側なんだろうな。
 ゲームでの立ち位置も全然違う。

 俺はこの市で一番大きなビルに入った。

 そしてきゅうが円筒形の筒に入ったり、体重を測ったりする検査が進んだ。

 でも分かった事がある、きゅうは遊んでいた。


 検査が終わると研究者が全員並んで礼をする。

「「何の成果も得られませんでした!」」

「何もって! 体重くらいは分かりますよね?」
「いえ、体重が不規則に変わります! 浮く際に魔力反応が無いのでいつ浮いているのか分からず、体重すら測定出来ませんでした! 体も息を吸い込んで膨らんだり小さくなったりする為大きさすら不明です!」

 きゅうは研究者の上をぷかぷかと浮いていた。

「オスかメスかは?」
「それも分かりませんでした! 触診しても分からず、X線などの内部診察も魔道測定器も通用しません!」
「モンスターなのか、哺乳類なのかすら不明です!」

「きゅう♪」

 きゅうが浮きながらぴかっと光った。

「知能指数とかは?」
「真面目に受けず遊び始めるので測定できませんでした!」

 きゅうがバスケットボールでドリブルする。

 ドムドムドムドム!

 ドリブルが異様に早い!
 ドリブルマスターか!
 バスケットボールの方がきゅうより大きい為、ドリブルを見ていると不思議な感じがする。
 でも楽しそうだ。

 きゅうがバスケットボールをシュートするとぱさっと3ポイントシュートを華麗に決めた。
 なんで結果が出ないか何となく分かった気がする。


「そ、そうですか、ご迷惑をおかけしました」
「いえ、これほど研究しがいのある対象は居ません。我々ももっと知恵を絞らねばいけないと様々な気付きを得ました」

「帰ろうか」
「その前にスマホを出して」

 俺がスマホを出すと機械に通す。

 ピ!

「魂の記憶開示ときゅうを研究した報酬だよ」
「……あれ? 疲れているのか? 1000万にみえる」
「1000万ポイントの振り込みで合ってるよ」

「……1000万、1000万!」
「そう、1000万」
「1000万ポイントだとおおおお!」
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