雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ

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第29話 リツカパパの涙

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【ヒメビシオウセイ視点】

 私は即座にクラックの記憶をチェックした。
 涙が、止まらない。

 私は王として多くの民を幸せにしようとした。
 迫る危機に対処するためクラウド家の乗っ取りは後回しにした。

 クラウド家を乗っ取った一派が衰えたタイミングでリツカ(シルビア)に代理で統治させるよう命を出した。

 だが、衰えたのではなかった、クラックが、地道にその勢力を潰していたのだ。
 長い時間をかけて闇討ちし、事件を調べて国に情報を上げる毎日。
 頼れる者を、愛犬すら失い長い間苦しんで、最後は私の決断が決め手になって惨殺する事になった。

 すぐに取り掛かろう、ファンタジーソウルのストーリーを大幅に変更する!
 クラック編のサイドストーリーを追加する。
 こんなことで償いにはならない、だが、クラックが、いや、アキラが不遇な人生を送る事は許されない!

 報酬1000万ポイントと装備2セットでは足りなかった。

 私はスマホを取り出した。

「カドマツ、アキラの人生を調べてくれ。今までよりも出来るだけ正確に、そうだ。リツカの護衛はヤナギ1人でいい、そうだ、大至急で頼む」

 そして次の連絡先に続けて電話する。

「ファンタジーソウルのストーリーをすぐに変更する、クラックの印象を上げて作り直す。更にクラックとアキラのサイドストーリーを追加する、重ねて言うがクラックは悪役貴族ではない、可愛そうな悲劇の英雄に見えるようにしてくれ。予算は増やす、分かっている、ああ、それでいい、次の開発は後回しでいい。ストーリーが出来たら私が直にチェックする。負担をかけてすまないがよろしく頼む」

 監視カメラの映像から研究室の映像を映し出した。

 アキラの上をきゅうが飛び回り、リツカたちがなだめるようにアキラを囲む。
 皆に、愛されているのだな。

 私は家にも電話をかけた。

「もしもし、もし皆が、揃ってファンタジーソウルをプレイしたら、ああ、無理にプレイさせなくていい、アキラの思うようにやらせたい、うむ、そうだ、プレイしたら感想を聞いておいて欲しい。クラックにだ、そうだ」

 私は電話を切り椅子に深く腰掛けた。

『オウセイ、覚えておけ。力あるものは無意識に人を踏みつける』

 この世界の今は無き父が言った言葉だ。
 私は、前世の記憶を持ちながら、今も何も変わっていなかった。
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