雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ

文字の大きさ
31 / 116

第31話 私達、人気者なんです

しおりを挟む
「ヒロインとも言えますし、メインキャラでもありますね」
「配信をして、売れているゲームのメインキャラか、目立つよな」

「そうですよ」
「私達、お菓子とかコンビニでもコラボしてるんだけど、本当に見た事が無いの?」
「あ、ダメですよ、それ言っちゃ、長くなりますから」

「お菓子、スーパーのお菓子コーナーは罠だ。コンビニは貧乏人が行くところじゃない。コンビニの前を通った時点で負けすらある。もっと言えば総菜コーナーは魔境だ。誘惑の前に立った時点で無駄な戦いが始まる。俺は米やパスタとパン、野菜とキノコ類、たまに肉や魚が食べられれば生きていける。生きていけるんだ!」

「アキラとキドウの前でそう言う事言っちゃ駄目ですよ」
「そう、何かごめん」
「……いや、取り乱した」
「サクサク行くよ、まずはこっち」
 
 俺はリツカについて行きストーリーを進行した。

 リツカの父が治めるホワイトシールド領の隣に不穏な噂があり調査しに行く事になった。
 で、道中でモンスターが出て来る。

「ちっちゃいスケルトンか」

 人の骨が剣を持っていて大きさは子供サイズだ。

「じゃあ、アキラ、倒してみましょう」

 俺は剣を振ってスケルトンを倒した。

「……よわ!」
「冒険者じゃない子も遊べるように最初の敵は隙だらけだよ」
「体感はリアルの戦闘に近いな」
「リアル感が売りです」

『魔石を拾ってください』

 魔石を拾うとクエストを達成した。

「走ってどんどん行くよ」

 リツカについて行く。

「もしかして、クラックって最初のゲームルールを教える所でやられるキャラなのか?」
「そうです。クラック討伐までがチュートリアルです」
「そかあ、クラック、不満は無いか?」

『そこそこリアルではある』
「そっか」

 俺は話をしながらクラウド領に向かった。
 兵士と何回か会話をする。
 今この領を支配している人間は悪い事をしていて、それとは別にクラックが暗躍している会話が何度も出てくる。

 そして領主館にたどり着くと目の前で領主がクラックに斬り殺されて消えた。

「ムービーはカットしないでくださいね」
「分かってるわよ」

 目の前がムービーモードに切り替わった。

 男性兵士が怒鳴った。

「クラック! お前には元家臣を殺した罪! 娼館の店主を殺した罪! そして多くの兵士を殺した罪が疑われている!」
「くっくっく、全部事実だ、くっくっく」

 クラックが不気味な笑顔を浮かべて言った。

「クラウド家の領地は、ここにいるシルビア・ホワイトシールド様が治める事になった!」

 リツカがここを治めるストーリーか。

「何だと! 領地をかすめ取るのか! ふざけるなあああああ! 決闘だ! みんなまとめてかかってこい! 皆殺しにしてやる!!!」

 クラックの記憶と大分違う。
 クラックが分かりやすく悪く見えるように会話が変えられているのか。

 戦闘が始まった。

「アキラが倒しましょう」

 クラックが地面に剣を突き立てた。

「ここでダークソードを使うのか、隙だらけじゃないか」
『あり得ない、このキャラはバカなのか!』

『攻撃のチャンスです。攻撃をして魔法を妨害してください』

 アナウンスの声が流れる。

 クラックを剣で斬るとクラックの魔法チャージが止まった。

 キュインキュインキュインキュイン!

『攻撃して魔法チャージを止めてください』

「俺に防御など無意味、ぐふぉ!」

 クラックを攻撃するとチャージが中断された。

 キュインキュインキュインキュイン!

「弱すぎるんだけど、倒していいんだよな?」
「どぞどぞ~!」
「やられるためにほぼ棒立ちじゃないか、たまに思い出したように斬りかかって来るけど斬る前のセリフで動きがバレバレだ」
「気にしなくていいわ。倒しましょう」

 キュインキュイン!

『攻撃して魔法チャージを止めてください』

「くっくっく、吸いつぐふぉ、ぐあ! がは! ぐああああああ!」

 連続で斬りつけるとクラックが倒れた。

「「おつかれ~!」」

「クラックが倒れるムービーを見ますか? クラックの記憶と似ていて後味が悪いですが」
「いや、俺はいいけど、クラックは」
『いらん!』

「クラック、怒ってる?」
『ゲームはいったん中止だ』
「クラックがゲームを中止したいって」

「うん、お昼にしよう」

 ヘッドセットを取る。

『今すぐ変われ』
「でも怒ってるだろ?」
『何もしない! 直接感想を言ってやる!』
「どうしても直接言いたいんだな、分かった。体を受け渡す」

 体の支配権がクラックに移った。
 明らかに悪役に仕立てられている。
 クラックは気に入らないんだろう。

「俺はあんな間抜けな動きはしない!」
「「そっち!!」」

「クラック、分かりましたから。一旦食堂に行きましょう」

 メイがクラックをなだめて食堂に連れていく。
 クラックはフォークでガツンと肉を突き刺してむしゃむしゃと食べる。

「もぐもぐもぐもぐ」
「……」
「……」
「……」

「あの動きはなっていない。ダークソードをあそこで使うのはおかしい。あれではただの間抜けではないか!」
『序盤の敵だからしょうがない』

 ガツン! もぐもぐ!

「それにチャージが終わっているのに敵に攻撃してくださいと言わんばかりのあのセリフは何だ? あの動きはただの的だ」

 クラックはひたすら文句を言いつつ肉を3回お代わりしていた。

「きゅう、きゅう」

 きゅうがよってきてまとわりついた。

「きゅう、やはりお前は、気高くて雄々しい」

 そう言ってクラックがきゅうを優しく撫でると3人が笑った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...