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第42話 ブチ切れ案件
しおりを挟む「文句があるなら前に出ろ! 前に出て言ええええ!」
いつも穏やかな校長が眉間にしわを寄せて怒鳴った事で一瞬静寂に包まれた。
校長の顔がふっと穏やかになった。
『校長が怖すぎる』
『ああいう奴が一番ヤバいんだよ』
『そりゃ、不良が多い13ゲート西高校よ? 不良を抑えられなきゃ校長は出来ないでしょ』
『西高校は昔のネット民みたいなやばいやつが多いんだな』
『今の時代文句だけ言って自分で動かないやつは相手にされないんだけどな』
『そういう奴が西高校に集まる。西高校は性格に問題があるか才能の無い人間が集まるからな』
『動物園じゃないか』
『口だけギャラリーの負けだな』
『勝負あり』
『静かになったな、口だけのやつらはそうだよな』
配信からの声が漏れ聞こえた事でさっきまで怒鳴っていたギャラリーが校長を睨む。
「ハンダ君、狩野くん、岩城くん、よく頑張りました。勝利、おめでとうございます」
「お、おう」
「はい、ありがとうございます」
「どうもです」
3人とも完全に引いている。
「それにイナセ君、ホウシさん、3人もおつかれさ」
「校長も金持ちの味方か!」
そう言って生徒の1人が前に出た。
更にその後ろからは3人がついてきた。
『すげえ! 校長の言葉を突破してきたぞ』
『西高校はやばいんだって』
『ヤンキーには未来が無いから失う物も無いんよ』
『ヤンキーは舐められたら終わりな文化があるんだよ』
校長のこめかみに青筋が立った。
「話を聞きましょう」
「校長は金で買われてんだよ! ギャンブル勢とPTAに負けてる! お前はそういう人間だ!」
「そうだそうだ!」
「確かにギャンブル勢とPTAの圧力に抗えませんでした。それは認めましょう」
「ほら見ろ! 罪を認めたな!」
『あの仰け反るような指差しがむかつくわ!』
『極論で自分の事は棚に上げて相手を批判している、クズだな』
『自分で切り開く人間は相手をあそこまで相手を批判する事に時間を使わない』
『ギャンブル勢とPTAの問題を持ち出すなら対決イベント中に表に出てギャンブル勢とPTAに直接言うべきだったな』
「話は終わりだね? 戻りなさい」
「はあ! そうやって金に屈してハンダに有利なように運んだんだろ!」
「それは違います」
「ギャンブル勢とPTAに負けたんだろうが!」
「それとこれとは別問題です。戻りなさい」
「ふざけんな!」
「ギャンブル勢とPTAの圧力に屈しはしました。それは事実ですが」
その瞬間にヤバイ生徒がぎゃあぎゃあと声を上げる、だがそれをかき消すように校長は更に大きな声でいた。
「ハンダ君はあなたたちより努力しています!! バカにするのはやめなさい!!」
「校長は金で買われたんだろうが!」
「違います。買われていません! あなた方と違ってハンダ君は努力しています!! あなた方のように遊んでばかりの人間が努力している人間を批判をするのはやめてください!!」
「これだ! いつも金持ちばかり贔屓して俺達は割りを食っている!」
「違います!! ハンダ君とあなた方の差は努力の有無です!! ハンダ君は努力して、あなた方はサボってばかりです!! あなた方は嫉妬をする前に自分で努力しなさい!」
「てめえ! 舐めるなよ!」
前に立つ生徒が剣を抜いた。
『はあ! 剣を抜くのか!? 捕まるだろ!』
『これが13ゲート西高校だ』
『日常だぞ?』
『西高校の生徒にはテロリストもおるで』
『普通に生徒が先生を撃って捕まってるから』
「剣をしまいなさい。ここで斬りつければ犯罪です。バカな事はやめなさい!」
「ビビってんだろ?」
「いいえ、生徒に対して犯罪をやめるように説得しています! バカな真似はやめて剣をしまいなさい!!」
生徒が剣を校長に近づいて剣を振りかぶった。
「おりゃあああああああ!」
校長の腕から血が出る。
だがその瞬間に校長の拳が生徒のみぞおちを捕えた。
「ごふぉおおおおおおおおおおおお!」
生徒がくの字に吹き飛ばされて地面に転がり動かなくなった。
「まさか斬りつけて来るとは思いませんでした! 身の危険を感じて反撃してしまいましたが、後ろにいる3人は何か他にありますか?」
『嘘つけ、避けられたけど斬らせて殴ったんだろ』
『過剰防衛な件』
『西高校だからこのくらいしないと危ないで』
『ヤクザの抗争と変わらん、舐められたら終わりだからこれが正解』
『やられたあいつを見て分かったわ、口だけの不良だ』
『腕を斬らせて見せしめパンチ』
生徒3人が首を横に振って後ろに戻った。
「ハンダ君の事で誤解があるようなので数分だけ時間をください。ハンダ君は朝になると必ず毎日広い農場を見回ってモンスターを狩ります。そして学校が終わるとまた農場を見回ります。毎日です。更に休みの日は農場を2回見回るのと、ゲートでモンスターを狩る生活を続けて努力しました。最初に買って貰ったハンドガン以外、ハンダ君はすべて自分が狩った魔石で装備を揃え、弾を揃えて努力してきました。ハンダ君はトップクラスの努力をしています!!」
校長の言葉には更に熱がこもる。
「ハンダ君がもし、すべての装備を親から買って貰えていたら、すべて与えられて、すべての時間を訓練とモンスター狩りに費やす事が出来ていたとしたら、ハンダ君はもっと強かったでしょう。ハンダ君はハンデを与えられてはいません。ハンデを背負いながら努力してきたのです!! ハンダ君、嫌われ役にしてしまい申し訳ありません!! みなさん、他に何か文句があれば私に言いなさい!! 私の所に来なさい!! 以上です!!!」
司会に返したマイクが握力で歪んでいた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
後ろに下がる校長からオーラを感じる。
辺りが静まった、だが、1人だけ、泣く声がする。
メイだ。
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