雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ

文字の大きさ
48 / 116

第48話 ブラックスター

しおりを挟む
【メイ視点】

「抱き着いてしまって、ああ、鼻水が」
「いいんだ」

 心の変化は、討伐イベントで負けてから。

『俺は負けた。だが、一片の悔いも無い! 仲間の悩みを犠牲にして勝っても何の意味も無い! 仲間を踏み台にして勝って何の意味がある!?』

『胸を張って言える! 兄さんとメイのソウルアップは間違っていない!!』

 その後、アキラは私のそばにいてくれた。

 慰めてくれた。

 そして、10メートル級を1人で倒してレアアイテムを何の迷いもなく私に使った。

 カフェでは1000ポイントのお金ですら焦っていたのに、

 あれだけキドウの心配をかけたくないと思っていたアキラが、

 自分の力が無い事を泣くほど悔しがっていたアキラが、

 お金を稼ぎたいといつも言っていたアキラが、

 売れば億はするレアアイテムを何のためらいもなく私に使ったのだ。

 10メートル級に挑む時のキリっとした表情は消えて、ふにゃっとした笑顔で私に微笑む。
 その笑顔で私の心は変わった。

 1000万ポイントを貰っても、サモンモンスターとスティールソードで簡単にお金を手に入れられるのにアキラの心にはまだ迷いがある。
 アキラは自分がお金持ちになれる確信が無い。
 アキラの力に心が追い付いていない。


 それなのにここぞという時は必ず前に出る、そしてどんなに無茶をしても勝ちを取りに行く。
 お金持ちになれるかどうか分からないと思っているのにそれでも私に何のためらいもなくレアアイテムを使った。

 お母さんの言葉を思い出した。

『困っているのに人を助けられる人は本当に優しいのよ』

 アキラは優しくて、

 ここぞという時は一番頼りになって、

 そして誰よりもかっこいい。

 アキラの事が、私は……

 心が温かい。

 心が変わっていく。

 これが魂、

 これが魂の輝き、

『ソウルスキルを取得しました』

『ブラックスターを使用可能です』

 私は靴を脱いだ。

「メイ? どうした?」
「ソウルスキルを、覚えちゃいました☆」
「おお! おめでとう! 俺も負けていられないな」

「アキラのおかげです」
「蹴り強化のレアアイテムが良かったのか! ダブル強化だな!」
「……使いますね」

「ブラックスター☆」

 黒いハイヒールタイプのバトルブーツが足を覆う。
 そして足から上は網目が膝上までを覆った。
 手の甲に黒く輝く宝石のついた黒い手袋が手から腕までを包み込んだ。

 ゲームと同じソウルスキル、ブラックスターの効果でチャクラヒールとトリックスターが使えるのも分かった。

「チャクラヒール☆」

 アキラに手をかざすと傷を回復させるスキルが発動した。

「おお、回復魔法か」
「そんな感じです。更にトリックスター!」

 ジャンプ中に黒い星型の足場が発生しジャンプできる。
 着地すると二段ジャンプをまた使える。

「2段ジャンプか!」
「ですです!」

 飛び上がりたくなるくらい嬉しい。

 ピョンピョン!

 ピョンピョン!

 ピョンピョン!

「はあ、はあ、疲れますね」

『ゲームスキルか!』
『ファンタジーソウルと同じソウルスキルだ!』
『マジで同じなのか! モンスターを踏みつけ続ける攻撃が現実でも出来るのか!』
『夢が広がるぜ!』

「みんなお疲れ様、車が到着するから今日は帰ろう。配信終わり、じゃあね! って、アキラは寝てしまったね」
「無理なソウルアップを続けて疲れているんですよ」
「私の家に行こう」
「リツカ、頼みがあります……」


 ◇


【アキラ視点】

 体が痛い。
 目覚めるとリツカの家にいて、医者が来た。
 診てもらったが、過労と成長痛と栄養失調らしい。
 
 コンコン!

「入っていいですか?」
「いいぞ」

 ガチャリ!

「メイ、髪を黒に染め直したんだな。化粧も無しか」
「メイド服もノーマルメイド服です☆」
「似合うな、と言うか、ゲームのキャラそのまんまじゃないか」

 メイがくるっと回ってポーズを取った。

「これからの私は一味も二味も違いますよ☆」
「うん、俺の症状が落ち着いたら、一緒にゲートに行こう。蹴り強化は取ったから次はウサギじゃない所に行ってもいいかもな」

「お任せください、ご主人様☆」
「うむ、期待しているぞ」

 またポーズを取った後メイが俺の寝るベッドに座った。

 少し、いや、かなり距離が近くなった気がする。
 気のせい、じゃない気がする。




【リツカパパ視点】

「……と言うわけでメイがソウルスキルを覚えたんだよ」

 リツカが嬉しそうに言った。
 ヤナギとカドマツも一緒に話を聞く。

「ふ、そうか。めでたいな」
「結婚するみたいな言い方だね?」
「ソウルスキルの取得は結婚と同じくらいめでたい事だ」

「なんか変なの、私もソウルスキルを覚えられるかな? ゲームみたいな万能剣が欲しいよ」
「こればかりは分からない。魂の記憶を読み取る事は出来ても、発動できるかどうかは別問題だ」

「私も覚えたいな」
「うむ、アキラとパーティーを組んでみてはどうだ? いつもと違う刺激があった方が良いかもしれん」
「……刺激かあ、メイにも聞いてみるよ」

 リツカが部屋を出て行った。

「オウセイ、言わなくていいのか? ソウルスキルの発動条件は恋をする事だ、リツカだけじゃなく、マナもな」
「ヤナギは言った方が良いと思うか?」
「あ、ダメですよ、私は言わない方が良いと思います。2人の場合は変に意識をしちゃったら逆効果です」
「カドマツの案を採用しよう」

「カドマツは女だからな」
「違うぞ。ヤナギは人の心が分からない。私もそれは同じだ。3人の中でカドマツが一番信頼できる」
「……それは認めよう」

「メイちゃんはようやく恋をしましたか。遅すぎですよホントにもう」
「……配信者にしたのが、良くなかったのかもしれん。結果3人は男を警戒するようになった」
「心配してもなるようにしかなりませんって」
「……そうだな、前世では3人が全員片思いに終わった。今度は、全員が幸せになって欲しいものだ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...