雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ

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第97話 救出作戦

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「皆に依頼が来てますよ」

 スマホを取り出して依頼を読む。

 堅苦しく書いてあるが、まとめると次のようになる。
 パーティーで30人のパーティーと一緒に牛人間を倒しに行って、倒せなければゲートから逃げて避難して欲しい。
 あのゲートはモンスターが通れない可能性が高いためゲートに逃げさえすれば危険ではない。
 ドローンを持って行って上に浮かんだゲートから脱出してもいい。
 希望は色々書いたけど、冒険者の判断にすべて任せると、最後はこう書かれていた。

「曖昧な依頼だけど、自由にしていいのは助かる」
「だよね! 倒しに行こう!」
「待て待て、牛人間を見て無理っぽかったらすぐに逃げよう。何度チャレンジしても良いなら強くなって再戦してもいい」

 俺達はドローンを収納に入れて奥を目指した。

「池ポチャバチバチです☆ 私の出番ですね」
「そうだな、俺達はドローンに乗って行こう」
「は! その手がありました!」

「いや、でもドローンを破壊されるかもだから、最初はメイがドローンに乗った上で二段ジャンプして地面にたどり着いて欲しい」
「分かりました☆」
「行くぞ!」
「「おー!」」

 みんな1人1つずつのドローンに乗ってゲートをくぐる。

メイがドローントリックスターで池に落ちないようにジャンプして地面に着地すると牛を倒していく。
 マナとリツカはドローンに乗ったまま銃で牛を倒していく。

 俺とカドマツさんはドローンから飛び降りて戦う。
 カドマツさんは左手に杖、右手に短剣を持って魔力を温存しながら戦った。


 すんなりと牛を全滅させて冒険者に合流するとみんなが笑顔で出迎えた。

「来てくれて本当に助かる!」
「本当に不安だったの、ありがとう」
「お前最高だよ、ネットでいいねを拡散するから」

 30人の冒険者は俺達を褒めた。


「それで、このまま帰りますか?」
「皆は牛の化け物に挑むのか?」
「俺達は、牛人間を見てから決めます」
「そうか、俺達はゲートの前で待とう。配信を見て、出来る事がありそうなら俺達もゲートに入って手伝う」

「行ってきますね」

 5人でゲートに入ると1000の牛が現れ倒すと牛人間が現れた。

「また来たか」
「うん、逃げてもいいんだよな?」
「挑む気は無いか、好きにするがいい」

 俺達はゲートから出た。

『戦わないのかよ!』
『まさか、あいつかなり強いのでは?』
『アキラですら無理な相手ならあきらめた方が良い。ドローンで帰ろう』

「出られるな、そして追っても来ない。再チャレンジだ」

『逃げ道を確保していたのか!』
『安全第一、大事よ』
『ずいぶんと慎重なのね』

 またゲートに入ると1000の牛が現れて倒すとまた牛人間が現れる。

「……なぜまた来た?」
「ちゃんと逃げられるかなーと思って」

「戦うのか?」
「うん、戦う」
「くっくっく、良かろう、我の力を見せてやる!」

 牛人間の頭に生えた2本の角が光り、雷をまとった。
 
「何人で挑もうと我の魔法の前では関係ない! 何故なら我の魔法は範囲攻撃だからだ! すべてをこの雷で焦がし、滅ぼしてくれるわ、食らえ!」

 俺は魔法が発動する前に剣で斬りつけた。

「ぐふぉ!」

 角の光が消えて魔法がキャンセルされた。
 俺は何度も剣で斬りつけて牛人間を追い詰める。

「貴様! やめ! ぐふぉ!」

 牛人間がドロップ品を噴水のように吐き出しながら消えた。

『ひでえ、魔法使いをハメ殺している』
『容赦ねえな』
『戦いとは非情なものさ』
『真剣な戦いなのに笑ってしまった』
『攻撃力が高くないと魔法キャンセルは出来ないんだろうな。アキラだから敵が弱く見えただけだろう』

 牛人間の強さはソウルランクBの上位くらいに感じた。
 でも、魔法使いが剣士の俺に接近を許すのは良くないと思う。


「見てくれ! レアドロップだ! 魔法威力アップのレアアイテムだ!」
「あ、魔法陣が2つ光りましたよ!」

 青い魔法陣と赤い魔法陣が光る。
 そして頭に声が響いた。

『赤い魔法陣は先に進む道、青い魔法陣はゲートの外に戻る道です』

「……青い方に入ってみよう」
「赤がいいよ!」
「青だ、行くぞ」

 シュン!

 みんなで青い魔法陣に入ると13ゲートの外に出た。

 そして青い魔法陣はそのまま残っている。

「もう一回入れるのか?」
「やってみよう」

 シュン!

「戻ってきました!」
「一旦ゲートから出るとどうなるんだ?」

 みんなで後ろにあるゲートに入ると冒険者が俺達を見つめる。

「すまないが、俺達も一緒にゲートに入っていいか?」
「どうぞどうぞ。一緒に行きましょう。帰りたいですよね?」
「ああ、すまん」

 ゲートに戻ると1000の牛が出て来て冒険者が焦る。

「まだ出てくるのか! 嫌な予感は現実になった!」
「まずいぞ!」
「魔法陣が消えているぞ!」
「焦るな! 今は牛を倒す!」

 みんなは焦るが、俺はスティールソードを使ってモンスターを倒していく。

 牛を倒すとまた牛人間が現れた。

「ほう、挑戦者が現れ」
「おりゃあああああああああああああああああああああああ! ディフェンスダウン!」

『ひでえ! スティールソードとディフェンスダウンでぼこぼこにしてるじゃないか』
『周りの冒険者の顔を見てみ、やっぱあの牛人間強いんだって。アキラの強さと相性の問題で倒せただけだ』


 牛人間を倒すとまたレアアイテムの魔法威力アップが出た。
 そして赤と青の魔法陣が復活する。

「まさか、確定でレアアイテムが出るのかな!」
「あ、皆さん、お疲れさまでした、青い魔法陣から帰れるので帰ってゆっくり休みましょう」

「あ、ああ、助かった」
「アキラ君、ありがとね」
「本当に命を救われた。後で何かあれば助けになろう」

 みんながお礼を言って魔法陣でワープし帰って行く。

「……もう一回後ろのゲートをくぐって戻ってこよう」

『おいおいおいおい! またボスが出てくるなら、1回倒すだけで億のレアアイテムを取り放題じゃねえか!』
『なお、失敗すれば死ぬため他のパーティーには無理な模様』
『他のソウルランクBは第7ゲートに行ってるからな』

『さっき帰った30人の冒険者もソウルランクCで強いよ。並みの冒険者なら1000の牛で死ぬし、そもそもここに来る前に死んでる』
『つまりは、アキラのパーティーが独占するようにレアアイテムを取れると?』
『そうなるね』

 俺達はまたゲートに出て牛1000体を倒し牛人間を倒すとまたレアアイテムが出た。
 5回牛人間を倒し、大量の魔石と5つのレアアイテムを手に入れた。

「皆で分けようか」

 俺は迷わず魔法威力アップを使った。
 俺が使った上でみんなに配る。

「でも、全部アキラ君が倒したものでしょ?」
「いや、平等に分配しましょう」
「ありがとう。遠慮なく使わせてもらうよ」
「私も使うわ」

 マナ・リツカがレアアイテムを使うとカドマツさんも使った。

「私も使って、あれ? 使えません」
「魔法威力アップは錬金術やファイア、魔法系のスキルを覚えないと使えないわよ」

「そんな! チャクラヒールがあるのに!」
「チャクラヒールはソウルスキルを使うと使えるやつだから別枠なんじゃないか? それにチャクラヒールって魔法依存じゃくて近接依存の能力だよな? 魔法スキルと呼べないんじゃないか?」

「そうですね。私だけ使えないです☆」
「でも、メイは蹴り強化があるだろ?」
「そうですね、しゅ! しゅしゅしゅ! みんな1つレアアイテムを持っています☆」

「機嫌が直って何よりだ。おし、周回しよ!」

 俺は全部で10回牛人間を倒したが、次ゲートに入ると牛1000体と牛人間が出なくなっていた。

「ち、もう出ないのか。牛人間を倒すと能力値が上がって良かったんだけどな」

 訓練に行き詰まる中、能力値が上がる実感を得られた。
 牛人間はすぐに斬りかかって倒せば攻撃されることもないし、レアアイテムは絶対に落とす。
 いい相手だった。

「今日は帰りましょう」

 俺達は魔法陣に乗ってゲート外にワープした。
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