雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ

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第104話 救援要請

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 俺はソウルアップをして寝て過ごした。
 やっとソウルアップ出来たが、それでも新しいスキルは覚えられなかった。
 でも、ゆっくり寝る余裕があるのはいい。
 今まで無茶をしすぎた。

 ソウルアップをして1日休んだ。
 本調子ではないけど、たっぷり食べて眠ったおかげで調子は大分良くなった。
 ハンダから電話?
なんだろ?

『六角が現れた。助けて欲しいべ!』
「何の冗談だ?」
『これを見るべ!』

 冗談の割に声色がおかしい。
 電話が切られて動画が送られてきた。

 西地区の避難所に六角がいる。
 そしてスケルトンの軍勢もいる。
 そして、兄さんとライカさん、この3人は第三調査班か、カドマツさんとヤナギさん、それにリツカ、メイ、マナが前に立った。

 六角が皆に襲い掛かる。
 そして兄さんが攻撃を刀で防いで、はあ!
 吹き飛ばされた!

『すぐに向かう』

 クラックが俺に憑依したのなら六角がいても不思議じゃない。
 奴らは負の感情で倒しても定期的に蘇る死霊系モンスターだ!
 俺は部屋から飛び出した。

 そして走る。
 このペースだと、たどり着く頃には疲れているだろう。
 あと数日あればソウルアップの体調不良も落ち着いていただろう。

 でも、関係ない。
 今は間に合うように走るだけだ!

 俺は東から防壁に登り、ドローンを呼びながらジャンプした。
 向かってくるドローンに飛び乗り、またドローンを蹴って飛び降りて一直線に走る。
 ゲートを追い越し西防壁に走るとドローンを呼んだ。
 ドローンに飛び乗り、またジャンプし、防壁を蹴って防壁の上を手で掴み強引に上に登り飛び降りて西地区の避難所に走った。


 血の匂いがする。
 道路に人が倒れ、血を流している。
 俺はペースを考えずに走った。


【キドウ視点】

「我は魂砕きのブラックハンドだ。もっとも我はゲームのキャラクターとして、有名らしいがね」

 雨がぽつぽつと降り、雲が太陽を覆う中、全員が避難所の前にいた。
 黒いデーモンが礼をし、全員を取り囲むようにスケルトンのモンスターが回りを固めている。
 そして多くの人質が避難所の前に集められ私達を見守る。
 
「人質を取って脅すつもりか?」
「話は最後まで聞け、話を遮られると腹が立つ、ここにいる全員を殺してしまいそうになる」
「……」
「結構、配信の声によれば、この街で一番強いのが気合侍かアキラらしいな? どっちが強い?」

「アキラの方が強いはずだ」
「そのアキラはどこだ?」
「寝ている」
「臆病者か」

「そうではない、アキラは」
「あーいい、そこはいい。話を遮るな、我の邪魔をするな」

 ブラックハンドが両手を上に掲げた。
 そして大地が震動するほどの大声で叫ぶ。

「避難所に集まった人間共、今からゲームを始める! ここにいる精鋭と我らが戦い、一方的に精鋭を殺すゲームだ。もちろん、逃げようとした人間はついさっき見せたように殺す! 目を逸らした人間も殺す! ついでに言うとテロリスト制圧用の特殊部隊とやらはすでに殺した! お前たち人間どもはここにいる精鋭が死んでいくのを黙ってみていろ!」

 赤ちゃんが泣き声をあげ、子供も釣られて泣き出すと多くの子供も泣き出す。

「こわいよお、怖いよおおお!」
「だめ、声を出さないで!」
「えーん! えーん!」
「ぼく、なにも、わるいこと、してないのに、うえええええん!」

「はっはっはっはっは! 声を出して泣いても構わない! 配信をしても構わない! だが目を逸らさず今の現実を見続けるのだ! 自分が殺されるかもしれないと絶望しながら結果を見届けるのだ! 精鋭が殺されながら、次殺されるのは自分かもしれない、そこのお前かもしれない、そう思いながら決して目を逸らすな!」

 雨が強くなりみんなが雨に打たれる。
 ブラックハンドがその雨音をかき消すほど声をあげる。

「想像しろ! ここにいる精鋭が殺されれば次誰が殺される!? 我らを止められる者がいなくなれば誰がお前たちを助ける!? 今ここで精鋭をねじ伏せて殺し、そしてその次はお前たちを殺してやろう!!」

「ブラックハンド、話がなげえ、うぜえよ」
「パープルフォグ、負の感情には演出が必要だ」
「うぜえ、こいつらを殺してからにしろ、まじうぜえ」

 六角と呼ばれる化け物が構える。

「仕方がない、演出は後にするとしよう。精鋭を早く殺し過ぎてしまうか」

 こちらは私とライカ、そして第三調査隊の3人、それとヤナギさん、カドマツさん、そしてリツカ、マナ、メイの10人。
 9人がソウルランクB。
 マナだけはソウルランクCか。

 この6体は1体で私より強い。
 そしてこの中で話をしている2体には得体のしれないモノを感じる。

 最強のパープルフォグは黒紫色をしたスケルトンだ。
 最強と言われるのもうなずける魔力を持っている。

 そしてさっきからよく話す黒いデーモンは魂砕きのブラックハンドらしい。
 魔力はパープルフォグほどではないが、何故かパープルフォグより禍々しいような何かを感じる。

 あの2体だけは特に油断できない!
 戦いが始まった。


 ◇


【アキラ視点】

 息が切れる、でも、やっとたどり着いた。
 目の前には信じられない光景が広がっていた。

 六角に一方的に追い詰められるみんな、

 そして、

 メイが氷の魔法で腹を、

 貫かれていた。

「がは、しっぱい、しちゃい、まし、た」
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