ゲーム序盤で死ぬモブ炎使いに転生したので、主人公に先回りしてイベントをクリアしたらヒロインが俺について来た

ぐうのすけ

文字の大きさ
33 / 105

第33話

しおりを挟む
【勇者ダスト視点】

 俺は急いでクグツが占領している城に向かった。

「へっへっへ、俺はゲームで知っているんだ。あの城には隠し階段と水門の水責めに弱いってなあ!」

 しかも俺は隠密と逃げ足のスキルを持っている。
 相手を翻弄して1人でクグツを追い詰めることも出来るぜ!

 クグツの使い魔や女兵士を倒せばサクサクレベルを上げられる。

 くっくっく!
 レベルを上げて、ブレイブポイントを上げて、名声も手に入れる。
 うまくいく未来しか見えねーぜ!



 ◇



 早速城の近くまで来た。
 クグツの使い魔発見!
 は、ブラックウルフなんて俺の敵じゃねーんだよ!
 俺は華麗に進化し続けている!

 ブラックウルフが振り返った瞬間に俺はダッシュで近づいて斬りつける。

「おりゃあ!おりゃあ!おりゃああ!はははは、余裕で倒せるぜ!もうブラックウルフは敵じゃねえんだよ!」

 この調子で100体も魔物を狩れば、俺のレベルはかなり上がる。
 だが待てよ、ゲットが後ろから手柄を横取りする可能性もある。
 ちんたらやってたら手柄を取られちまうな。

 俺クラスの実力者になればサクッと攻略して、英雄になることも出来るか。
 俺の華麗な美技で、最速攻略してやるとするか。

 そうすりゃあ俺の力を誰もが認めるだろう。

 本来なら水門を襲撃して決壊させて、その後に隠し階段から奇襲をかけるが、水門の決壊は必要ねえな。

 なんせ俺様がやるんだ。
 うまくいく未来しかねーぜ。

 俺は隠し階段に向かった。



「へっへっへ!あったあった」

 この隠し階段から城に侵入する。
 
 隠し階段に入るが誰もいねえな。
 くっくっく、そうだろう。
 クグツが隠し階段の位置を知っているはずねえよなあ!

 俺は隠し階段を通って城にたどり着いた。

 なんだ?ゴブリンを使って護衛させているのか。

 俺は後ろからゴブリンを何度も斬りつけた。

 へっへっへ!簡単に倒せる、しかも経験値がうまい。
 レベルがたけえゴブリンだな。
 ま、俺にとっては都合がいい。



 ゴブリン3体か。
 あれも余裕だぜ!

「おりゃあああああ!!」

 奇襲を仕掛けてゴブリンを1体倒した。

 更に次も倒す。

 ギシャアアアアアアア!

「ち!仲間を呼んだか!」

 魔物が10、20、30体以上出て来やがった!

 く!一旦後ろに下がるか。


「はあ!はあ!くそ、しつこいんだよお!はあ!はあ!ヒール!」

 俺は10体以上の魔物を倒した。
 俺様の華麗なヒールがあったから何とかなってるが、ゲットなら速攻で死んでいるぜ!

 だが、どんどん魔物が増える。
 それだけじゃねえ。

「侵入者を発見しました!包囲してください!」

 女兵士まで出て来やがった。

 くそ、扉を閉められ、外に出ることも出来ねえ!

 仕方ねえ、隠し階段を使って逃げる!
 ここから逃げりゃあ隠し階段がバレちまう。
 だが、俺の命には代えられねえ。

 ち、俺様が撤退に追い込まれるとは、クグツめ、やるじゃねえか!

 俺は隠し階段を使って逃げ出す。



 俺は城から離れて呼吸を整える。

「はあ!はあ!はあ!はあ!くっそ、しつこく追ってきやがって!」

 もう、隠し階段はバレちまったか。
 しゃあねえ。
 今日は休む。
 明日は水門を攻めてやる。



【水門付近】

 この辺境は山岳地帯で、高い位置に水門があり、水を溜めている。
 その水門を全部開き、城を水浸しにする事でクグツは水門の対応に追われる。
 決壊させなくても、水門を開くだけでいいんだ。

 ゲームと同じで水門を魔物が守ってやがる。

 俺は何度も水門を襲撃しつつ魔物を減らした。
 ゲームじゃ連続で襲撃して、100体ほどいる魔物を減らして、最後に水門を決壊させる。

 俺はその日、15体ほどの魔物を倒した。



【次の日】

 おいおいおい!
 数が増えてねーか?
 ゲームと違うじゃねーか!
 くそが!

 いや、気のせいだ。
 今日は倍倒す!

 俺は30体を超える魔物を倒した。
 俺にかかれば30体の魔物を狩ることも可能だ。

 ゲットには無理だろうが、勇者である俺にはできるぜ!
 明日には水門を破壊できるだろうな。

 俺はその日、隠れて休んだ。

 

「へへ……おいおい、どうなってやがる!」

 そこには昨日の倍以上の魔物と、更に女兵士が水門を守っていた。
 ゲームじゃこうはならねえはずだ!
 なんで守りを増やしてやがる!くそが!

 ガルルルルルル!

「ブラックウルフに俺の位置がバレた!」

 俺は即座に逃げ出した。

「まずいまずいまずいまずい!うおおおおおおおおおお!」

 俺は全力で逃げる。

 走って近づく魔物を斬り倒し、どんどん走って逃げる。

「森の中に逃げました!追ってください!」

 ガルルルルル!
 キシャーーー!
 ギャオオオオオ!

 くそくそくそくそ!
 俺を捕まえられると思うなよ!

『逃げ足LVが5から6にアップしました』

『逃げ足LVが6から7にアップしました』

 俺様の才能にほれたぜ!
 連続でLVが上がっていきやがる!
 さすが勇者!
 さすが俺様!

「ん?クレアと、斥候兵がいる!敵をなすりつけて俺だけは逃げ切ってやる!俺は死なねえ!俺だけは逃げ切る!うおおおおおおおお!」

 俺はクレアがいる部隊を突っ切って敵を押し付けた。

 走って逃げる。

 俺は全力で逃げた。



「はあ、はあ、はあ、も、もう、追って、来ない?
 へ!俺を倒せると思うなよ!俺は臨機応変に立ち回り、相手の裏をかき続ける。
 ある時は攻め、ある時は逃げ、ある時は隠れ常に意表を突き続けるぜ!

 俺の脚力の前では、魔物だろうが女兵士だろうが勝てはしねえ!
 俺の勝ち、そう、俺の完全勝利と言える!

 俺を逃し、この世界にはどう頑張っても太刀打ちできない人間がいると思い知っただろう。
 ふ、敵に学びをあたえてしまったぜ」

 だが、敵はある意味幸運だと言える。
 俺と言う絶対的な力と美技を拝むことが出来たんだ。

 俺は城から距離を取るように離れて休息を取った。



【六将知略のクグツ視点】

 女兵士が慌てて走って来る。
 まったく、落ち着きがない。
 私のように常に落ち着き、優雅にふるまってもらいたいが、女兵士ごときに言っても分からんか。

 いや、可愛がって分からせてやるか。
 クレアがなかなか来ず、女を味わえていない。

「クグツ様!この城の水門付近にクレアが現れました!」

「何だと!すぐ行く!早くしろ!すぐ動け!総員出撃だ!」
「し、しかし、城の守りが」

「うるさい!急げ!早くクレアを捕まえる!城よりクレアを捕える方が大事だ!」
「りょ!了解しました!」

 私が叫んだことでようやく皆が動き出す。
 まったく、もっと機敏に動いて欲しいものだ!

 だが、クレアがいる。
 絶対に捕まえて、私の紋章魔法で奴隷にしてやる。
 絶対に逃がさない。
 

「ひっひっひ!楽しみだ」


 勇者ダストの行いにより、水門の襲撃は難しくなり、隠し階段の位置もばれた。
 水門と隠し階段には固い守りの布陣が敷かれ、迅速な連絡網も整備される事になる。
 そしてクレアは敵に包囲された。



しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

付きまとう聖女様は、貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも、モテたい願望が強すぎて、つい……〜

咲月ねむと
ファンタジー
この乙女ゲーの世界に転生してからというもの毎日教会に通い詰めている。アランという貧乏貴族の三男に生まれた俺は、何を目指し、何を糧にして生きていけばいいのか分からない。 そんな人生のアドバイスをもらうため教会に通っているのだが……。 「アランくん。今日も来てくれたのね」 そう優しく語り掛けてくれるのは、頼れる聖女リリシア様だ。人々の悩みを静かに聞き入れ、的確なアドバイスをくれる美人聖女様だと人気だ。 そんな彼女だが、なぜか俺が相談するといつも様子が変になる。アドバイスはくれるのだがそのアドバイス自体が問題でどうも自己主張が強すぎるのだ。 「お母様のプレゼントは何を買えばいい?」 と相談すれば、 「ネックレスをプレゼントするのはどう? でもね私は結婚指輪が欲しいの」などという発言が飛び出すのだ。意味が分からない。 そして俺もようやく一人暮らしを始める歳になった。王都にある学園に通い始めたのだが、教会本部にそれはもう美人な聖女が赴任してきたとか。 興味本位で俺は教会本部に人生相談をお願いした。担当になった人物というのが、またもやリリシアさんで…………。 ようやく俺は気づいたんだ。 リリシアさんに付きまとわれていること、この頻繁に相談する関係が実は異常だったということに。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...