ゲーム序盤で死ぬモブ炎使いに転生したので、主人公に先回りしてイベントをクリアしたらヒロインが俺について来た

ぐうのすけ

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第102話

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 俺は走るルンバの前に立つ。
 隣にはライターがいた。

 ルンバとゴールデンオーク以外の魔物は兵士と冒険者で対応できる。
 更にアリシア・クレア・エステルも魔物に応戦している。
 魔物はルンバとゴールデンオークを抑える事が出来れば倒せる!

 もっと言えばゴールデンオークはエムル・ダイヤ・リリスが相手をすれば倒せるだろう。
 つまり俺とライターがルンバを抑えられるかがカギとなる。

 盾役の俺とライターが時間を稼ぐ!

「援護はさせない」
「邪魔ですよ!」

「私が目の前にいるのだ。私を殺したいのではないか?ガルウインやアミュレットのように」
「ライタあああああああああああああああ!!」

 俺とライターはルンバを挟み撃ちにして戦う。



【エムル視点】

「スケルトン、出番だよ」

 ゴールデンオークにスケルトンが群がるが、すぐに倒されていく。
 リリスも爪の斬撃で参戦するけど時間稼ぎにしかならない。

 でも問題無いよ。

「準備は出来たようだね。ダイヤ」
「整った!離れているのだ!」

 ゴールデンオークからみんなが離れる。

 ダイヤの鎧と盾が剣に移動し、顔以外すべて剣に移動する。
 ダイヤの姿は黒い水着に鉄仮面をつけた状態で、10メートルの長さがある剣を両手で持っていた。

「アルティメットラッシュ!」

 ダイヤの長い剣が高速で振られ、ゴールデンオークが強力な連撃で受け続けた。

 ゴールデンオークが倒れてドロップ品とお金を吐き出しながら消える。

 MPが切れた事でダイヤの魔法で作った仮面が壊れ、ダイヤの素顔が露わになる。
 ダイヤは顔を隠しながら走って逃げ出した。

「み、見ないでくださーい!」

 ダイヤ、お疲れ様。
 ゴールデンオークを瞬殺できた。
 この功績は大きいよ。

 後はルンバを倒せば終わりだね。



【ルンバ視点】

 おかしい!何度剣で斬りかかっても全部防がれる!
 私はレベル100、最高の力を手に入れているのに!

 ライターもゲットも難なく盾と剣で私の攻撃をいなし、それどころか私に攻撃を当ててくる。

「魔王の変身能力は使わないのか?」
「使えない可能性もあるのだ」

「温存しているだけです!魔物達!私を守るのです!」

 魔物がゲットとライターに襲い掛かる。
 なのに2人は余裕で魔物を倒していく!

 南の島は兵士や冒険者のレベルが高い!
 このレベルの高さは異常だ!
 このままでは私以外全滅してしまう。

「いいでしょう!本気で行きます!」

 私の頭から2本の角が生え、コウモリのような黒い翼が生えた。
 更に肌の色が黒紫に変わっていく。

「この形態になった私には誰も勝てません!ゴールデンオークを倒しても、魔物をすべて倒しても最後は私が皆全滅させます!」
「ルンバ、知っているか?その形態は長く使えば使うほど寿命が短くなる。変身しなくても魔王になった時点で寿命が短くなるんだ。シャドウジャイアはだんだん髪が真っ白になっていなかったか?途中で動きが悪くなっていなかったか?睡眠時間が多くなっていなかったか?」

「ふ、動揺させようとしても無駄ですよ」
「シャドウジャイアの睡眠時間は徐々に長くなっていたはずなのだ。寿命が迫るとそうなるのだ。ルンバの行動は斥候を通じて耳に入っているのだ。才能値を上げる為多くの魔物を従え、使役してきた。そこまで力を使って無事なはずが無いのだ。睡眠時間が長くなる感覚があるはずなのだ」

「う、嘘には引っかかりません。ライター、あなたは口がうまい。私を騙す話術を持っているのです」
「私はどちらかと言うと胡散臭くみられる事が多い。だが真実なのだ!」
「ルンバ、今すぐ大陸に帰って人のいない所でひっそりと短い余生を全うしてくれ」

「嘘は感心しません!!そうか、余裕が無いのでしょう!嘘をつくしかない。ゲットもライターも追い詰められているんです!」
「ルンバ、自分の髪を見てみろ!白髪が多くなっている!」
「やはり!変身した私に勝てないと分かり、焦っているのでしょう?なんせ変身後の魔王は帝国六将の女性陣3人を圧倒したと言います。内からみなぎる力を感じるのです!おしゃべりは終わりです!楽に殺してあげますよ!」

「スケルトン!」

 100のスケルトンが私に迫る。

「無駄です!」

 エムルがけしかけたスケルトンを圧倒し、1撃で倒していく。

「怖いでしょう?魔王の力」
「切り札を出すよ。レッドスケルトン!」

 1体の赤いスケルトンが発生した。
 武器を持っておらず、ただ赤いだけ。
 何が出来ると!

 赤いスケルトンは通常のスケルトンの3倍の機動力で動き、一気に私に迫った。
 ゲームでは見なかった能力!
 なんなんだ!
 
 私に殴り掛かるその動きは格闘家、ブルベアのようだ!
 だ、だが私の敵ではない。
 私は素早く剣を振り、赤いスケルトンを砕いていく。
 腕!脚!体!

 赤いスケルトンの肋骨を斬ると、スケルトンが灰になり風で飛んでいった。

「どうです?切り札は通用しま!」

 気づくと周りにいた魔物はすべて倒され、兵士と冒険者に包囲されていた。
 皆が私から距離を取り、矢の雨と魔法が一斉に飛んでくる。

 砂が爆発で舞い上がり、地面すら爆発により足場が無くなる。
 だがそれでも魔法と矢の雨は止まない!

 それでも私は倒せない!

 攻撃が止むと、兵士と冒険者に怯えの表情が見えた。

「はは、はははははは!私は倒れません!そんな攻撃は無駄なのです!降伏するなら私の部下にして命は助けてあげますよ!」

「無理か、リリス!行くぞ!」

 リリスが竜化していた!
 あり得ない!
 リリスのレベルを100に上げ、スキルをカンストさせても短期間で2回の竜化は出来ないはず!
 何が起きているのだ!?

 私は両腕をクロスさせ、翼で自分を守るように包み込んだ。
 その瞬間ゲットのエクスファイアとリリスのファイアブレスが私を襲う。
 
 攻撃が止むと私の翼はボロボロになっていた。
 リリスの変身が解けて人の姿に戻る。

 意味が分からない。
 リリスが竜化を維持できなくなるまでMPをブレスにつぎ込んだ?
 竜化はブレスと竜の体術をバランスよく使う事で効率よく力を発揮できる。
 ここにいる奴らの戦いはめちゃくちゃだ。
 一貫性が無い。


「おかしいです」
「何がだ?」
「なぜ一気に攻撃を仕掛けてこないのです?アリシア!クレア!ライター!畳みかけるならもっと攻撃の仕方があるはずです!総攻撃を仕掛けるしか道は無いはずだ!」

「分かっていないのか?」
「何がです?」
「俺がお前に仕掛けているのはな、消耗戦だ。もっとも、飛んで仕切り直しをさせないように翼だけは焼かせてもらった」

「意味が分かりません」
「その変身能力は寿命を大きく削ると言っただろ?意図的に時間差で攻撃を仕掛けて、お前を消耗させている」
「ば、ばかばかしいですよ!皆殺しにして黙らせてあげます!」

 私は両手の指先を敵に向ける。

 私が死ぬ!
 嘘だ!嘘に決まっている!

 10本の指先から無数の黒い弾丸を発射する。
 これは魔王のなった私の能力!
 元テイマーな為か剣以外に弓の遠距離攻撃の才能もあった!

 兵士や冒険者を狙うと面白いように皆逃げだす。
 皆も騒ぎ出す!

 そう、私は最強で特別な存在!
 敵の情報操作には乗らない!
 一気に決着をつける!

 
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