「打倒してしまっても構わんのだろう?」と魔王城へと向かい、逃げ帰ってきた勇者に追放された俺、その後英雄となり、美女たちと幸せライフを送る

ぐうのすけ

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【オガ視点】オガの記憶

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「オガ!早くするんだぞ!」
「アカ姉、待つだよ!」
 小さい頃からどんくさいと言われていた。
 木偶の棒と言われていた。
 体だけは立派。

 それが周りからの評価だった。
 小さい頃に家族は姉以外皆亡くなった。
 でも、強いアカ姉がいつも守ってくれた。
 自慢の姉だ。

 アカ姉について行くように兵士になった。
 いつもアカ姉が面倒を見てくれた。
 魔物が出てもいつもアカ姉が守ってくれる
 自慢の姉だ。

 ある時、たくさんの魔物に囲まれた。
「オガ!みんなを連れて逃げるんだぞ!」
「でも!アカ姉一人じゃあぶねえだよ!」

「大丈夫だ!アカ姉は強いんだぞ」
「分かっただよ」
「オガ、皆を守るんだぞ!」

 アカ姉は自慢の姉。
 今日も大丈夫だ。
 そう思っていた。

 でも、アカ姉はその日魔物に殺された。
「お、おらが逃げたから殺されただか!おらが!」
「オガ!落ち着け!お前は皆を守った。しんがりを務めてみんなを守った!」

 色々悩んだ。
 色々悩んで決めた。
 皆を守るんだ!
 皆を助けるんだ!

 アカ姉みたいにできなくても、自分なりに頑張ろう。
 魔物が出るとよく逃げだした。
 でも!みんなに危険が迫ったら怖くても戦った。
 皆が危なくなったら一番前に出て戦った。

 何度も死にかけ、運よく生き残った。
 15才になると、魔王様に呼ばれた。

「オガ、いつも頑張っているようだな」
「そんな事無いだよ。おら、いつも逃げているだよ」
「確かに一人だけの時はそうだが、仲間に危険が迫ると、オガは1回も逃げていない。オガは守る者だ」

「守る、者」
「オガ、今日からこの装備を使ってくれ」
 そこには立派な鎧と、大楯と、剣があった。

「こ、こんな立派なもん、もらえねーだ!」
「オガ、自信を持ってくれ。お前には期待している」
 装備をつけて皆の前に出る。
 馬鹿にされると思ったけど、みんな優しかった。

「期待してるぜ!」
「この前は助かった」
「お前強いんだからもっと自信持てって」

 魔王様に認められて、仲間にも励まされた。
 嬉しくなった。

 しばらくするとウインに会った。
 しばらく教官をしてくれるらしい。

 ウインの訓練は普通じゃなかった。
 動けなくなってくるまで魔物と戦わせる。
 でも、ウインも、『自信を持て』と言ってくれた。
 それが、嬉しかった。

 


 魔王様を狙う名前持ちのメツが現れた。
 魔王様が倒れて、セイラ様も追い詰められる。

 アカ姉が死んだ時の事を思い出した。
 何もしなかったら魔王様も皆も死ぬ。
 急いで鎧と大楯、剣をつけて魔王様を運んだ。
 走って逃げた。

 スケルトンを倒し、名前持ちと闘い、やっと、ウインの顔を見た。
 安心する。
 力が抜けてくる。

 魔王様も助かった。
 全部うまくいった。
 体が、軽くなる。
 力が、抜ける。
「おらあ、頑張っただよ」
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