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回-recovering-
F25.知りたいんでしょう?天使さん。
しおりを挟む約3ヶ月前、残暑の夕暮れ時に初めて九理と会った時みたいだった。
あの時私は悩んでいたーー
訳が分からないことが起こっていたからだ。あの時はみかんの初恋の相手が二階堂なのか、真君なのか、分からなくて悩んでいたっけ…ーーそして今回は、二階堂と真君が双子であることを確かめようとしてる。それも2人の意見が食い違っていて、全く解決はしていない。
そう、私はまた、悩んでいた。
「知りたいんでしょう?天使さん。」
神秘的。神々しい。そう言った表現がぴったり合うーー何もかも見透かしたような微笑みは、ハッタリではない。
彼女には分かってしまうんだ。他人の心中が。
確かに彼女がいれば百人力…というより、今回のことは容易く解決してしまうだろう。
でも…
「やめて、きゅうり。」
「………」
「その力は使わないで。」
その力を使えば、今回のことが解決する代わりに九理が犠牲になる。それはだめだ。今回のことに関しては関係のない彼女に寿命を使わせるなんて事、出来るはずがない。
「みかんみたいなことを言うのね…貴方にとっては私なんてすぐ死んでしまう人間なんだから、上手く利用してしまえばいいのに。」
少し間が空いてから、出てきた言葉はなんだか寂しげに聞こえた。ーー最初に会った時はまるで得体の知れないものに遭遇してしまったようで、その綺麗な容姿でさえも怖く感じたーー最近ではちゃんと私と同じ1人の女の子だと分かったつもりになっていたけど…それも、違うのかもしれない。私と同じ訳がない。私に分からないだけで、きっと1人で抱えているものは多いはずだ。
「きゅうりを利用しようなんて思わないよ。」
「泣くほど困ってるのに?」
「うん、困ってる。だから力を貸して欲しい。」
「じゃあ…」
「力は使わなくとも、きゅうりに頼みたいことがあるの。」
私達に足踏みをする時間はない。みんなが人生のタイムリミットと共に生きている。それが分かっている私達は、進まなきゃいけない。後悔しないように気をつけながら、全力でやり切るしかない。
だから、私もみんなと一緒に背負いたい。無理かもしれないど…後悔はしたくないから、全力で。
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