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S10.ホームズかよ
しおりを挟む「僕でよければ。」
「いや、何でだよ?!」
よく分からないまま快諾するそいつに
俺は反射的に突っ込んだ。
「じゃあ、俺はこれで。」
こんな状況を作った星梓は
けろっとその場を離れようとする。
「ちょっと待て!お前には色々聞かなきゃ…」
「真のことは真に聞いて。」
そう言うと全く表情を変えずに俺の手を振り払い、その場を離れて行く…
なんて奴だ…よりにもよって
なぜこいつと友達にならなければいけないんだ…
ボーゼンとする俺に背後から恐る恐る話しかけてくる。
「あの…」
「な、なんだよ」
振り返ると遠目で見るより身長が高く感じて、少し後ずさった。
(俺が165センチだから…185…位ありそうだな…)
こういう時に少し劣等感を感じるもので、
思わず睨みつけてしまう。
「僕は水谷真です。…上条君って呼んでいいのかな?」
「……いいけど。」
昨日の必死な顔とは違い、
落ち着いた言葉遣いと笑顔で話しかけてくる。
俺が睨んで来てるのに、本当に友達になる気なんだろうか?
「上条君…もしかして剣道部?」
「え…俺のこと知ってんのか?」
「いや今日初めてあったけど…なんとなくそうかなって思って。」
「はぁ?」
俺はどちらかというと剣道が似合わないと言われてきた方だ。
身長だってそんなに高くないし、派手顔でやっているようには見えないと、よく言われる。
なんとなくで分かるわけがない。
「なんていうか、動作が綺麗だったから」
「…動作?」
「歩いて来た時も、振り返る時も、今みたいに後ずさる時も…体の芯がぶれてない感じがして、武道でもやってるのかなって。」
俺は数秒固まってしまった。
いつも人に言われることといえば、
イケメンだとか、かっこいいとか、好青年だとか…
漠然と見かけを褒められることが多い。
それが嬉しくもあったけど、少し虚しくもあった。
やっぱりみんな顔しか見てないよなって…
そんなことを当てられても嬉しくないはずなのに…
そいつの言葉がやたら こそばゆくて、
視線を逸らしてしまう。
「………ホームズかよ」
「シャーロックホームズ読むの?!」
「少しだけな」
「名作だよね!他のはどんなの読むの?」
(変な奴…)
どうやら俺には 2人目の男友達ができてしまったらしい…。
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