妹、異世界にて最強

海鷂魚

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十二話

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「うっかり寝てた」
 眠気眼の灯とは別々のベッドに僕は入った。同じベッドということはない。ベッドがひとつしかなくても僕はソファで寝るけれど。妹と同じベッドで寝られるか気持ち悪い。
 けど、昔はよく一緒に寝たもんだ。灯がやれ怖い夢見ただの暗いのが怖いだの言って、よく一緒に寝ていた。それも僕が小学校を卒業するころにはやっていなかったが。
 僕が嫌がって一緒に寝なくなったんだっけな。
 灯はその時まだ八歳とかだった。
 まだ暗闇が怖かっただろう。怖い夢を見た時は不安だっただろう。そう考えると、もう少し一緒に寝てやっても良かったのではないかと、そう考えるのであった。
「寝てても良かったよ。歯を磨いてないと朝めちゃくちゃ口臭いけど」
 昔の思い出を、そんな冗談を言って忘れるようにごまかす。
 実際のところ、妹の口の臭いのは兄として嫌である。
 しかし歯ブラシも歯磨き粉もこの世界にはあったので、それでお互い歯を磨いて眠ろうとしていた。
「起こしてくれてありがとう」
「どうも。明日は何する?」
 作戦会議ではないが、少し話をしておきたかった。
「うーん。何も考えてないや。とにかく人を待つだけじゃダメな気がする」
「それじゃどうするんだ? 勧誘でもするか」
 適当に言ったが、それが見事当たっていたらしい。
「そう。勧誘。強そうな人を集会所で見つけて誘うの」
「待ってるだけじゃ、確かに何の成果も出ないかもな。それがいい。それもやってみよう」
 僕がいうと、灯は眠そうに、
「うん」
 とだけ応えた。
 もう寝るか。
「おやすみ」
「——兄ちゃん」
 一言言って寝相を変えようとした時、声をかけられた。
「私も愛してるよ、兄ちゃんのこと」
「気持ち悪いこというな」
「先に兄ちゃんが言ったんだ」
「言ったかもな。そんなことどうでもいいよ。おやすみ」
「……おやすみ」
 灯のために、僕ができることは何だろうか。
 眠い中考える。
 しかし何ができるかではなく。
 できる限りの事をし尽くすしかあるまい。
 それは骨の折れることだが。
 愛する妹のためだ。
 仕方がない。
 灯のためなら、僕は死のう。
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