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十五話
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「おはようございますー」
シバリアさんとは朝の九時ごろに宿の前で待ち合わせできるように言っていた。そして宿の前で待っていると、荷物を背負ったシバリアさんがやってきたのだった。
「おはようシバリア!」
そう言えば思ってはいたのだが、灯のコミュニケーションの異常さとしては、年上の人にもタメ口で会話するというのも含まれているようだ。しかし注意すると言ってもすでにそれで馴染んでしまっているし仕方がないが。
それでもきになるのは確かであった。
普通に不愉快なのだ。
年下が年上にタメ口は。
よくテレビではモデルなんかが先輩芸能人に対してタメ口だったりと、逆にそのキャラが人気出て調子に乗りだすタイプなどを知っている。
ああ言った人間は、灯も含めてそうだが、総じて頭の悪い人間だ。
年功序列がわからない。そういう人間。
確かに歳なんて生きているだけで取るので、それを盾に威張っている大人を見るとがっかりもするが、大人は大人で立派な業績を残している方や、経歴を持つ方々もいる。シバリアさんなんかは、治癒魔法を取得するのに十年かかったそうだ。魔法少女と呼ばれる時から努力しての現在がある。そういう人間に対しては敬語ないし丁寧語でもいいから使わなければ、それは失礼というものだ。
「おはようございます、シバリアさん」
せめてもと思い、僕は丁寧にお辞儀する。
「集まったところで、行きますか」
「あっ、待ってくださいお二方」
シバリアさんが先行する僕と灯を止める。
「はぐれてしまった時、連絡手段を持ってなければ大変ですよ」
「連絡機器なんてこの世界にあるんですか?」
「ありますけど、もっと確実なのは、私の魔法です」
そう言ってシバリアさんは僕たちに手をかざす。
「神の身を以て、自らに神の耳を持たせる」
短い呪文と同時に、かざされた手から波動のようなものが発射され、僕たちに命中した。
「こ、これは?」
訊くと、シバリアさんは説明してくれた。
「これは念じることでその人にテレパシーを送れるようになる、同時に、そのテレパシーをキャッチできるようになるという魔法です。現在私たち三人にその魔法を共有させたので、念じれば心の中で会話できます。魔法の持続時間はありません。私が解除するまで解けない仕様になっています」
それか私が死ぬかでもしない限り、解けることはないでしょう。と、シバリアさん。
「なるほど、いい魔法だ」
「これではぐれまくれるね!」
「はぐれることを目的のようにいうな、はぐれちゃダメだ」
「はーい!」
灯と会話しつつ、
「シバリアさん、ありがとうございます、助かります」
「いえいえ。助けるためにギルドへ編入したのですから」
そしていよいよ、僕たちは別の集会所へ向かうため、歩みを進めたのであった。
「地図によるとこの方角であってるね」
「はい。というより私が把握しているので問題ないですよ」
「リダという町みたい」
「はい。勇者様には関係ないかもしれませんが、リダは大会が盛んに行われている町でもあります。大会に優勝すれば、大変な金額の賞金が受け取れますよ」
「大会によっては出たいなー。腕相撲とかだったりしたら、私勝つ自信あるよ」
「そこで人を勧誘もできるな」
「どいうこと?」
僕の発言に灯が食いつく。
「例えば模擬戦の大会があったとして、それに出るんだよ。それで優勝して賞金もらったら、準優勝の人にその賞金を譲って、その代わりにギルドへ編入してもらうとか、自分より強い人がいたら、勇者の紋章を使って好きな褒美を与えて、それを餌にギルドに編入させるとか。そう言った方法で仲間を集めることもできる」
前から考えていた方法でもある。
素案は自ら大会を開くことであったが、大会自体が元々あるのなら問題ない。
その大会に出て、強い奴を見つけ、ゲットする。
まるでゲームかのようにいうが、ほぼこれはゲームのようなものだ。
ゲーム感覚で生きていないとやってられないというか。それにしたって、勇者となって魔王を倒す役目を担うのは、まんまゲームの世界観だ。ならばその世界観に合った主観で生きていくしかあるまい。
「町はあとどれぐらいでつけるの?」
「三時間ぐらい」
灯が言った。三時間も歩けるか。
「馬車使おうぜ馬車」
今度はちゃんと言えた移動手段の提示。シバリアさんも、
「まさか歩きで行くつもりだったんですか!?」
と驚愕しているし、馬車を使うことは既に決定したと言っても過言ではない。もうあんなに歩きたくないのでとても嬉しい。
「馬車借りれるところありますかね」
シバリアさんに訊くと、
「たくさんあります。むしろ勇者様なら買ってしまえば問題ないのでは?」
と、答えた。
「よし灯。三人プラスアルファ乗れる馬車を買うぞ」
「りょーかいー!」
ということで、地図を見て、近所の馬車屋までむかうのであった。
シバリアさんとは朝の九時ごろに宿の前で待ち合わせできるように言っていた。そして宿の前で待っていると、荷物を背負ったシバリアさんがやってきたのだった。
「おはようシバリア!」
そう言えば思ってはいたのだが、灯のコミュニケーションの異常さとしては、年上の人にもタメ口で会話するというのも含まれているようだ。しかし注意すると言ってもすでにそれで馴染んでしまっているし仕方がないが。
それでもきになるのは確かであった。
普通に不愉快なのだ。
年下が年上にタメ口は。
よくテレビではモデルなんかが先輩芸能人に対してタメ口だったりと、逆にそのキャラが人気出て調子に乗りだすタイプなどを知っている。
ああ言った人間は、灯も含めてそうだが、総じて頭の悪い人間だ。
年功序列がわからない。そういう人間。
確かに歳なんて生きているだけで取るので、それを盾に威張っている大人を見るとがっかりもするが、大人は大人で立派な業績を残している方や、経歴を持つ方々もいる。シバリアさんなんかは、治癒魔法を取得するのに十年かかったそうだ。魔法少女と呼ばれる時から努力しての現在がある。そういう人間に対しては敬語ないし丁寧語でもいいから使わなければ、それは失礼というものだ。
「おはようございます、シバリアさん」
せめてもと思い、僕は丁寧にお辞儀する。
「集まったところで、行きますか」
「あっ、待ってくださいお二方」
シバリアさんが先行する僕と灯を止める。
「はぐれてしまった時、連絡手段を持ってなければ大変ですよ」
「連絡機器なんてこの世界にあるんですか?」
「ありますけど、もっと確実なのは、私の魔法です」
そう言ってシバリアさんは僕たちに手をかざす。
「神の身を以て、自らに神の耳を持たせる」
短い呪文と同時に、かざされた手から波動のようなものが発射され、僕たちに命中した。
「こ、これは?」
訊くと、シバリアさんは説明してくれた。
「これは念じることでその人にテレパシーを送れるようになる、同時に、そのテレパシーをキャッチできるようになるという魔法です。現在私たち三人にその魔法を共有させたので、念じれば心の中で会話できます。魔法の持続時間はありません。私が解除するまで解けない仕様になっています」
それか私が死ぬかでもしない限り、解けることはないでしょう。と、シバリアさん。
「なるほど、いい魔法だ」
「これではぐれまくれるね!」
「はぐれることを目的のようにいうな、はぐれちゃダメだ」
「はーい!」
灯と会話しつつ、
「シバリアさん、ありがとうございます、助かります」
「いえいえ。助けるためにギルドへ編入したのですから」
そしていよいよ、僕たちは別の集会所へ向かうため、歩みを進めたのであった。
「地図によるとこの方角であってるね」
「はい。というより私が把握しているので問題ないですよ」
「リダという町みたい」
「はい。勇者様には関係ないかもしれませんが、リダは大会が盛んに行われている町でもあります。大会に優勝すれば、大変な金額の賞金が受け取れますよ」
「大会によっては出たいなー。腕相撲とかだったりしたら、私勝つ自信あるよ」
「そこで人を勧誘もできるな」
「どいうこと?」
僕の発言に灯が食いつく。
「例えば模擬戦の大会があったとして、それに出るんだよ。それで優勝して賞金もらったら、準優勝の人にその賞金を譲って、その代わりにギルドへ編入してもらうとか、自分より強い人がいたら、勇者の紋章を使って好きな褒美を与えて、それを餌にギルドに編入させるとか。そう言った方法で仲間を集めることもできる」
前から考えていた方法でもある。
素案は自ら大会を開くことであったが、大会自体が元々あるのなら問題ない。
その大会に出て、強い奴を見つけ、ゲットする。
まるでゲームかのようにいうが、ほぼこれはゲームのようなものだ。
ゲーム感覚で生きていないとやってられないというか。それにしたって、勇者となって魔王を倒す役目を担うのは、まんまゲームの世界観だ。ならばその世界観に合った主観で生きていくしかあるまい。
「町はあとどれぐらいでつけるの?」
「三時間ぐらい」
灯が言った。三時間も歩けるか。
「馬車使おうぜ馬車」
今度はちゃんと言えた移動手段の提示。シバリアさんも、
「まさか歩きで行くつもりだったんですか!?」
と驚愕しているし、馬車を使うことは既に決定したと言っても過言ではない。もうあんなに歩きたくないのでとても嬉しい。
「馬車借りれるところありますかね」
シバリアさんに訊くと、
「たくさんあります。むしろ勇者様なら買ってしまえば問題ないのでは?」
と、答えた。
「よし灯。三人プラスアルファ乗れる馬車を買うぞ」
「りょーかいー!」
ということで、地図を見て、近所の馬車屋までむかうのであった。
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