妹、異世界にて最強

海鷂魚

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三十八話

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 今晩もキャンプ地を見つけた。
ㅤ灯が今日走った時間は十三時間。とてもではないが人間のなせる技ではない。
 化け物のごとく。
 灯の体力は尋常じゃなくあった。無限とまではいかないだろうが、少なくとも、休憩なしで十時間以上走れる体力はあるようだ。しかも、馬車を先導できる程度の速さでの話だ。
「みんな心配するけど、私は意外と大丈夫だよ。いい運動って感じ」
「そうか……すごいな」
 凄いとしか言えない。
 皆も賞賛より恐怖を感じているらしく、灯の体力に対する言葉数は少ない。
 晩御飯を終えた僕らは、シバリアによってシロとクロ以外に洗浄魔法をかけて貰って、また見張りのチームに分かれて夜を過ごした。
「アカリさんは寝ていていい。見張りは私一人でやるよ」
 ザギが提案したのは、今晩の灯、ザギのアルファチームは明け方の見張りで、その見張りをザギ一人でやろうと言うのだ。
「アカリさんはずっと走っていたし、なるべく体力を残して置いてほしい」
「えー、いいの?」
 遠慮気味の灯を押すように寝かせたザギは、
「こう言う形でアカリさんの力を活かせるようにしないとな」
 と、ザギも寝る準備に入った。
 最初の見張りはチャーリーチームの僕とシバリアなので、起きて見張っていた。
 そして時間が来て、見張りチームを入れ替える。そして、寝て。
 そうしているうちに、また朝が来た。
「おはよう」
 皆、顔を合わせて、今晩も乗り切ったなと安堵した。
「ごめんね、私だけ多く寝てて」
 謝る灯に、
「いいえ、あなたが一番働いていてくれてるから、寝ててもいいのですよ」
 シバリアが励ますようにしたおかげで、灯はすぐに元気を取り戻した。単純なやつだが、そのおかげで助かっている点もある。
 単純すぎて、敵を殺すことに躊躇いがないこととか。
 僕なら敵を殺すことなんてできない。
 だが、それを魔王の前でも貫くつもりはない。
 元の世界に帰るためだ。魔王は殺さなければならない。
 シュバルハのためでもあるし、自分のためでもある。
 だが、非力な僕が、魔王を打倒することができるのだろうか?
 ……出来るだろう。僕には、仲間がいる。
 灯がいる。
 だから、僕たちが負けることはない。
 必ず、勝つ。
 勝利の確信を胸に抱きしめ、馬車はまた進む。灯を先頭に、敵をなぎ倒しながら。
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