ギャルゲ主人公の朝は早い

海鷂魚

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第1章

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「来たのが同時ってことは、俺たち……運命の赤い糸で結ばれてる?」
 失礼な一よりも恥ずかしい二が選ばれてよかったと思う。ていうかもうこれ告白に近いだろ。
「え、いや、赤い糸って……すごい恥ずかしいこと言うね、テルくん」

一、いいや、この愛を前にしたら恥ずかしくないさ

二、冗談冗談。さっさと学校いこーぜ

「冗談冗談。さっさと学校いこーぜ」
 まあ、なんとか冗談で済ませられてよかった。俺は未知の先を行くように駅へ入った。未知もついてくる。未知が若干顔を赤らめているのは多分、俺も同じだ。
「…………」
 気まずいな。
 気まずい思いをさせてしまって未知にも申し訳ないが、これがギャルゲの世界だ。仕方ない。
「あのさ、テルくん。運命の赤い糸って、本当にあるのかな?」
 お前ももうその話題やめてくれよ!
 大体どんな選択肢が出てくるか分かっちゃうから!

一、ほら、俺たちの間に見えないかい?

二、あるわけねえだろブス!

「ほら、俺たちの間に見えないかい?」
 うわー! もう嫌だ! 恥ずかしい! 未知も変な話題引きずるなよ!
「み、見えるかも……」
 なんで!?

一、じゃ、放課後、ホテルにinしようぜ?

二、じゃあ、付き合っちゃう?

 なんじゃこの選択肢! いきなりすぎる……!
「じゃあ、付き合っちゃう?」
 だが安定の幸運。いきなりホテルに行けるわけないわ。
「そんな、恥ずかしい……ここ電車の中だよ……!」
 しかも満員電車である。
 通勤ラッシュ時だから、仕方ないね……。
 周りの視線が痛い。
「もうあまりしゃべらないでね」
 うっすらと涙を浮かべているようにも見える未知の拒絶しているかのような視線は、俺の胸に強く刺さった。いや、拒絶しているのだ。はっきりと。

一、どうでもいい豆知識を学校に着くまで喋る

二、ごめんと一言言ってから黙る

 二! 二来い!
「あ、でもお前知ってる? コンセントの穴って左右で少し大きさ違うんだぜ? ちなみにゴボウを食べんのは世界で日本だけらしいし、味噌汁は4リットル飲むと死ぬみたいだぜ——」
「…………」
 そうして俺は、未知と学校に着くまで、延々と自分の知る限りの豆知識を語り尽くした。
 未知は足早に教室へ向かい、そそくさと、俺に一言も残さずに去っていった。
 まあ教室も一緒だから、置いてかれても追いついちゃうんだけどね……。
「なーに辛気臭い顔してんのよ、あんた」
 後ろから声をかけられる。
 振り向くと、そこには同級生の高橋百合華たかはしゆりかが立っていた。

一、いや、背後から来てなんで顔が見えんだよ

二、フラれたんだ……
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