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第3章 学園に通おう
112話 人工精霊
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「で、では、パスワードを言います。あくまでパスワードです。
……サ、サルちゅきだいちゅき愛してる」
……。
……。
執務室に何とも言えない空気が流れる。
しかも、なんの反応もない。
「アッキーっ!?」
「人のせいにするでない。『ちゅき』が一個足らんかったぞ」
……ミッくんには今度あったときひたすらちゅきちゅき言わせてやる。
「……はぁ……サルちゅきちゅきだいちゅき愛してるっ!」
もうヤケだ。
僕が叫んだ瞬間、机が淡く輝き……机の真ん中、僕が手を置いたあたりに小さな人影が現れた。
10センチくらいで一瞬ノームさん?って思ったけど、ノームさんと違って帽子は被っていないし、体も透けている。
そのうえ、なんていうか……ドットが荒い?
なんかカクカクしていて、なんとなーく『ミッくんかな?これ』って言う程度にしか姿を認識できない。
「おおっ、これが人工精霊ですか……話には聞いたことありましたが、はじめてみました」
「ユニさんこれ知ってるのっ!?」
なんなのこれっ!?
ノームさんを見た時も驚いたけど、こっちはなんか魔法魔法していてちょっとテンションが上がる。
「エルフや魔族など、人間とは桁外れの魔力を持ったものだけが作れる人工……生命っていいっていいんですかね?まあ人工物です。
魔法の制御の助けなどをしてくれるという話を聞いたことがあります」
ほへー。
魔法の仕掛けだらけだな、このお屋敷。
まあ、流石にエルフさんたちが作ってくれたお屋敷ってことか。
「まあ、大まかにはユニ坊の説明であっている。
今回は屋敷の管理を担当させている」
「え、えっとよろしくお願いします」
管理をしてくれていると聞いて思わず頭を下げるけど、人工精霊さんはなんの反応もしてくれない。
「まだお前自身の登録を行っていないから反応はせんぞ。
そやつの顔のあたりに指を押し付けるがよい。
ああ、あと手はもう離していいぞ。そやつが出ればつけておく必要はない」
なるほど。言われたとおりに人工精霊さんの顔のあたりに人差し指を突きつける。
すると、人工精霊さんが顔を寄せて……なんか人差し指の先が顔の中に飲み込まれた。
なにかに触れているような感触とは違うんだけど、なにかの中に『指を突っ込んだ』感触だけはある。
なんか不思議な感触で少しだけくすぐったい。
「設定された魔力との照合……一致。
魔力結晶からの魔力補充から、マスターからの魔力補充へ回路を変更。
全魔力回路を仮設定から本設定に移行中」
人工精霊さんの方から、ミッくんと少し似た合成音声っぽい平坦な声が聞こえる。
絵面からすると顔面に指を突っ込んでいる感じだけど、どこから声を出しているんだろう?
まあ、ホログラムみたいな感じだし顔がどうとかっていうのは関係ないのかもしれない。
そんなことを考えながら『認証』をしてもらっているうちに、人工精霊さんのシルエットがだんだんはっきりしてくる。
荒かった画像が急速に鮮明になっていって……大きさを10センチに縮めただけのミッくんによく似た、でも明らかにミッくんとは違うエルフの姿になったところで、人工精霊さんは僕の指先につけていた唇を離した。
「全認証作業終了。
はじめましてマスター。なんなりと御用をお申し付けください」
そう言って、ミッくんと似てるって以外にもなんとなく見覚えのある気がする顔で、ニッコリと笑った。
「……とりあえず服を着てください」
最初の荒いドット画像ならともかく、今のはっきりくっくり細部まで作り込まれた画像だと全裸は目に毒です。
なんか、服を着てくれってお願いしたら、一瞬で人工精霊さんの体が服をまとった。
「これでよろしいでしょうか?マスター」
「あ、はい、ありがとうございます」
お礼を言う僕に、またニッコリと笑い返す人工精霊さん。
可愛い。
……けどなんか凄い見覚えあるんだよなぁ。
「ねぇ、アッキー、この人工精霊さんって誰をモデルにしているの?
アッキーたちの親戚さん?」
もしかして、お父さんとかお母さんだったり?
「いや、基本的に人工精霊は製作者の魔力を元に形作られるから製作者と変わらぬ姿になるはずだ。
今回は弟の魔力で作られているらしいから弟の姿を模している……はずだが、確かになんか違うな」
アッキーも不思議そうな顔で人工精霊さんを眺めてる。
他のみんなも珍しそうに眺めているけど、眺められている人工精霊さん自身は一切気にすることなく僕をニコニコと見ているだけだ。
その笑顔とかもなんかすごい見覚えあるんだけどなぁ……。
むかーしから知っているような……。
「……ああ、なるほど、そういうことか。
弟がどうしても人工精霊は自分が作ると言って譲らなかったと聞いて不思議に思っていたが、そういうことか」
なにか分かったらしいアッキー。
「なになに?壊れちゃったりしているわけじゃないよね?」
「うむ、そういう心配は無いと思うぞ。
単なる弟のイタズラみたいなものだ」
ミッくんのイタズラ?なんだろう?
なんかユニさんとミゲルくんは分かったみたいで、『あっ』て顔している。
「人工精霊の姿は魔力をもとに作られる。
本来は製作者の魔力以外が入ることはないから製作者の姿そのままとなるが、今回は制作した弟の魔力と維持しているお前の魔力が混じり合ったことで姿が変わったんだろう」
「へー、なるほどなぁ。そういや僕の面影あるかも?」
言われて分かった。どこかで見たことある顔だと思ったら、この子すこーし僕に似てるんだ。
垂れ目気味な目元とかよく似てる気がする。
そんな風に納得している僕を、今度はイヴァンさん以外の全員が苦笑しながら見てる。
え?なになに?なんか僕変なこと言った?
「つまり、そやつはお前と弟の子供のような容姿をしているということだ」
……あー、そうか、僕とミッくんが混じった顔ってことはそういうことか。
何やってんのミッくん?
……サ、サルちゅきだいちゅき愛してる」
……。
……。
執務室に何とも言えない空気が流れる。
しかも、なんの反応もない。
「アッキーっ!?」
「人のせいにするでない。『ちゅき』が一個足らんかったぞ」
……ミッくんには今度あったときひたすらちゅきちゅき言わせてやる。
「……はぁ……サルちゅきちゅきだいちゅき愛してるっ!」
もうヤケだ。
僕が叫んだ瞬間、机が淡く輝き……机の真ん中、僕が手を置いたあたりに小さな人影が現れた。
10センチくらいで一瞬ノームさん?って思ったけど、ノームさんと違って帽子は被っていないし、体も透けている。
そのうえ、なんていうか……ドットが荒い?
なんかカクカクしていて、なんとなーく『ミッくんかな?これ』って言う程度にしか姿を認識できない。
「おおっ、これが人工精霊ですか……話には聞いたことありましたが、はじめてみました」
「ユニさんこれ知ってるのっ!?」
なんなのこれっ!?
ノームさんを見た時も驚いたけど、こっちはなんか魔法魔法していてちょっとテンションが上がる。
「エルフや魔族など、人間とは桁外れの魔力を持ったものだけが作れる人工……生命っていいっていいんですかね?まあ人工物です。
魔法の制御の助けなどをしてくれるという話を聞いたことがあります」
ほへー。
魔法の仕掛けだらけだな、このお屋敷。
まあ、流石にエルフさんたちが作ってくれたお屋敷ってことか。
「まあ、大まかにはユニ坊の説明であっている。
今回は屋敷の管理を担当させている」
「え、えっとよろしくお願いします」
管理をしてくれていると聞いて思わず頭を下げるけど、人工精霊さんはなんの反応もしてくれない。
「まだお前自身の登録を行っていないから反応はせんぞ。
そやつの顔のあたりに指を押し付けるがよい。
ああ、あと手はもう離していいぞ。そやつが出ればつけておく必要はない」
なるほど。言われたとおりに人工精霊さんの顔のあたりに人差し指を突きつける。
すると、人工精霊さんが顔を寄せて……なんか人差し指の先が顔の中に飲み込まれた。
なにかに触れているような感触とは違うんだけど、なにかの中に『指を突っ込んだ』感触だけはある。
なんか不思議な感触で少しだけくすぐったい。
「設定された魔力との照合……一致。
魔力結晶からの魔力補充から、マスターからの魔力補充へ回路を変更。
全魔力回路を仮設定から本設定に移行中」
人工精霊さんの方から、ミッくんと少し似た合成音声っぽい平坦な声が聞こえる。
絵面からすると顔面に指を突っ込んでいる感じだけど、どこから声を出しているんだろう?
まあ、ホログラムみたいな感じだし顔がどうとかっていうのは関係ないのかもしれない。
そんなことを考えながら『認証』をしてもらっているうちに、人工精霊さんのシルエットがだんだんはっきりしてくる。
荒かった画像が急速に鮮明になっていって……大きさを10センチに縮めただけのミッくんによく似た、でも明らかにミッくんとは違うエルフの姿になったところで、人工精霊さんは僕の指先につけていた唇を離した。
「全認証作業終了。
はじめましてマスター。なんなりと御用をお申し付けください」
そう言って、ミッくんと似てるって以外にもなんとなく見覚えのある気がする顔で、ニッコリと笑った。
「……とりあえず服を着てください」
最初の荒いドット画像ならともかく、今のはっきりくっくり細部まで作り込まれた画像だと全裸は目に毒です。
なんか、服を着てくれってお願いしたら、一瞬で人工精霊さんの体が服をまとった。
「これでよろしいでしょうか?マスター」
「あ、はい、ありがとうございます」
お礼を言う僕に、またニッコリと笑い返す人工精霊さん。
可愛い。
……けどなんか凄い見覚えあるんだよなぁ。
「ねぇ、アッキー、この人工精霊さんって誰をモデルにしているの?
アッキーたちの親戚さん?」
もしかして、お父さんとかお母さんだったり?
「いや、基本的に人工精霊は製作者の魔力を元に形作られるから製作者と変わらぬ姿になるはずだ。
今回は弟の魔力で作られているらしいから弟の姿を模している……はずだが、確かになんか違うな」
アッキーも不思議そうな顔で人工精霊さんを眺めてる。
他のみんなも珍しそうに眺めているけど、眺められている人工精霊さん自身は一切気にすることなく僕をニコニコと見ているだけだ。
その笑顔とかもなんかすごい見覚えあるんだけどなぁ……。
むかーしから知っているような……。
「……ああ、なるほど、そういうことか。
弟がどうしても人工精霊は自分が作ると言って譲らなかったと聞いて不思議に思っていたが、そういうことか」
なにか分かったらしいアッキー。
「なになに?壊れちゃったりしているわけじゃないよね?」
「うむ、そういう心配は無いと思うぞ。
単なる弟のイタズラみたいなものだ」
ミッくんのイタズラ?なんだろう?
なんかユニさんとミゲルくんは分かったみたいで、『あっ』て顔している。
「人工精霊の姿は魔力をもとに作られる。
本来は製作者の魔力以外が入ることはないから製作者の姿そのままとなるが、今回は制作した弟の魔力と維持しているお前の魔力が混じり合ったことで姿が変わったんだろう」
「へー、なるほどなぁ。そういや僕の面影あるかも?」
言われて分かった。どこかで見たことある顔だと思ったら、この子すこーし僕に似てるんだ。
垂れ目気味な目元とかよく似てる気がする。
そんな風に納得している僕を、今度はイヴァンさん以外の全員が苦笑しながら見てる。
え?なになに?なんか僕変なこと言った?
「つまり、そやつはお前と弟の子供のような容姿をしているということだ」
……あー、そうか、僕とミッくんが混じった顔ってことはそういうことか。
何やってんのミッくん?
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