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バッドエンドその1からの
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【七條直人ルートエンディング】
----------------------------------------------
「先輩、俺先輩のことが好きです」
突然の告白に、生徒会長、七條直人は真意を図り兼ねるといった様子で黙りこくる。
2人しかいない生徒会室に時計の秒針を刻む音だけが響いていた。
目の前でソファーに座り俺を見つめる先輩に、俺は怯むことなく言葉を続けた。
「会ったばかりの頃は、先輩のこと、冷たくて意地悪な人だと思ってました。けど、特別親しかったわけでもない俺を守ってくれて、そのせいで怪我までして。一緒に過ごしてそんな先輩の一面を見る度に、好きだなって。前はあんなに苦手だった先輩の性格が、内面が、今はとても大好きなんです」
緊張で、言葉が上手くまとまってくれない。
でも思っていることは言い切ることができた。
流石に拒まれることはわかっている。
俺は男だし、先輩も男だし。
ただ、もうきっと会えなくなるだろうこの人に、気持ちだけでも置いていきたかった。
この告白は俺のわがままだ。
「君は吊り橋効果を錯覚しているだけだ」
七條先輩は少し目を逸らして、そう言い捨てる。
普段の七條先輩なら「とうとう頭でもいかれたか?」と憎まれ口を叩いてもおかしくない状況だと言うのに、やけに言葉にキレがない。
「錯覚なんかじゃありません。もう逃げ切るのが無理だって分かってしまったから、本当の俺の気持ちを先輩に伝えたかっただけです」
「無理じゃない。一緒に逃げ切って明日には君は生贄から解放されて自由になれる。………そうしたら、また生徒会に手伝いにきてほしい」
無理なんです………。
だって、俺の目の前にいる七條先輩、あなたにもケケカト様に操られる前兆が出てるから。
でも俺は七條先輩となら。
「こんなことを言って気持ち悪がられると思ってました。俺が先輩のこと好きでも手伝いに行っていいんですか?」
「ああ。………歓迎する」
拒絶の意図のない返答は思わぬ収穫で、つい嬉しく思ってしまう。
心なしか先輩の頬が赤いように見えるのは、俺の都合のいい見間違いなのかもしれない。
「半沢、来週の土曜日空けておけ」
それって………。
「はい」
土曜日ということは、少なくとも生徒会の用ではないはずだ。
少しは期待してもいいのだろうか。
「………あの、先輩は、俺のことどう思ってますか?」
ふたたび降りた沈黙に、俺はどうしてそんなことを聞いてしまったんだろうと後悔する。
ところが、七條先輩の返事は意外なもので。
「………好きだ」
先輩の口から出た小さな呟きは、多分聞き間違いじゃない。
安堵と感激で胸が一杯になる。
「先輩!」
喜びのあまり、思わず七條先輩に抱きついてしまう。
意外にも先輩はそれを受け入れて抱きしめ返してくれた。
タイミングがいいのか、悪いのか。
抱きしめ合い顔を見合わせたその瞬間、七條先輩の瞳孔の色が完全に赤色に変わったのが見てとれた。
体の所有が完全にケケカト様に移った証だ。
愛しいその人は、自我も意識もなくして、他の生徒や教師と同じく、狩るべく獲物として俺を見遣る。
こうなっては、もはや七條先輩もケケカト様の従順な僕だ。
「先輩、大好きです。さようなら」
快楽で埋め尽くされ、蹂躙されて。
幸いなことといえば、その相手が体だけでも七條先輩のものであるということ。
犯され尽くして、ようやく解放された頃には、月明かりが暗い生徒会室を薄く照らしていた。
そろそろケケカト様のお出ましだろう。
空気感が変わるのがわかり身構える。
「先輩………」
離れる前に七條先輩にもう一度好きだと言いたい。
そう思い、床の上で眠っている七條先輩に、呼びかけた刹那。
突如として、先輩が爆ぜた。
真っ赤な肉片が当たりに散らばり、濃厚な血の匂いが嗅覚を埋め尽くす。
「………は?」
今まで聞いたことがない。
生贄以外の存在が消えるなんて。
ましてや死ぬなんて。
愛する人が一瞬にしてこの世から姿を消した。
その事実に頭がついていかず、俺は茫然とし、あまりのことに気を失った。
あれから、毎日俺はケケカト様に体を貪られている。
目の前で大切な人を失った今、常世に未練などない。
元凶がこのケケカト様自身だとしても。
ケケカト様は快楽をくれる。
途方もない頭がおかしくなるくらいの快楽。
その快楽だけあれば、俺ハ生きてイけるノダカラ………
------------------------------------------
胸糞バッドエンドだな。
ひとまず今手がけているBLゲーム「悪魔と生贄の円舞曲ワルツ」の1ルート目のプログラミングを終らせ、抱いた感想はこれに尽きる。
少なくとも、昨日別のゲームのプログラミングを完了させ、クライアントに提出したばかりの5徹目で読まされていい内容ではない。
ギャルゲとかであれば話は別だ。
ギャルゲで尚且つハマる内容であれば、何徹でもいける。
しかしこれはBLゲームだ。
しかもバッドエンドを至高とするゲームメーカーの新作なんて、男の俺にとっては一切モチベーションが上がる要素がない。
このゲームメーカーが出すダーク系BLは巷の腐女子には大人気らしいが、もう少し爽やかさやハッピーエンド要素を入れた方がいいと思う。
俺の精神衛生上。
見ればディスク上のデジタル時計が深夜3:40を示している。
さてと。キリもいいし、今日は家に帰るとするか。
また明日も8:00出勤なのだから、少しでも体を休めなくては。
作り上げたデータを保存し、椅子から立ち上がろうとした時、ブチリと何かが切れる音がした。
目の前が真っ暗だ。
意識が薄らいでいく中、これが過労死かと他人事の様な感想を抱いたのが、鐸木裕太の最期だった。
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「先輩、俺先輩のことが好きです」
突然の告白に、生徒会長、七條直人は真意を図り兼ねるといった様子で黙りこくる。
2人しかいない生徒会室に時計の秒針を刻む音だけが響いていた。
目の前でソファーに座り俺を見つめる先輩に、俺は怯むことなく言葉を続けた。
「会ったばかりの頃は、先輩のこと、冷たくて意地悪な人だと思ってました。けど、特別親しかったわけでもない俺を守ってくれて、そのせいで怪我までして。一緒に過ごしてそんな先輩の一面を見る度に、好きだなって。前はあんなに苦手だった先輩の性格が、内面が、今はとても大好きなんです」
緊張で、言葉が上手くまとまってくれない。
でも思っていることは言い切ることができた。
流石に拒まれることはわかっている。
俺は男だし、先輩も男だし。
ただ、もうきっと会えなくなるだろうこの人に、気持ちだけでも置いていきたかった。
この告白は俺のわがままだ。
「君は吊り橋効果を錯覚しているだけだ」
七條先輩は少し目を逸らして、そう言い捨てる。
普段の七條先輩なら「とうとう頭でもいかれたか?」と憎まれ口を叩いてもおかしくない状況だと言うのに、やけに言葉にキレがない。
「錯覚なんかじゃありません。もう逃げ切るのが無理だって分かってしまったから、本当の俺の気持ちを先輩に伝えたかっただけです」
「無理じゃない。一緒に逃げ切って明日には君は生贄から解放されて自由になれる。………そうしたら、また生徒会に手伝いにきてほしい」
無理なんです………。
だって、俺の目の前にいる七條先輩、あなたにもケケカト様に操られる前兆が出てるから。
でも俺は七條先輩となら。
「こんなことを言って気持ち悪がられると思ってました。俺が先輩のこと好きでも手伝いに行っていいんですか?」
「ああ。………歓迎する」
拒絶の意図のない返答は思わぬ収穫で、つい嬉しく思ってしまう。
心なしか先輩の頬が赤いように見えるのは、俺の都合のいい見間違いなのかもしれない。
「半沢、来週の土曜日空けておけ」
それって………。
「はい」
土曜日ということは、少なくとも生徒会の用ではないはずだ。
少しは期待してもいいのだろうか。
「………あの、先輩は、俺のことどう思ってますか?」
ふたたび降りた沈黙に、俺はどうしてそんなことを聞いてしまったんだろうと後悔する。
ところが、七條先輩の返事は意外なもので。
「………好きだ」
先輩の口から出た小さな呟きは、多分聞き間違いじゃない。
安堵と感激で胸が一杯になる。
「先輩!」
喜びのあまり、思わず七條先輩に抱きついてしまう。
意外にも先輩はそれを受け入れて抱きしめ返してくれた。
タイミングがいいのか、悪いのか。
抱きしめ合い顔を見合わせたその瞬間、七條先輩の瞳孔の色が完全に赤色に変わったのが見てとれた。
体の所有が完全にケケカト様に移った証だ。
愛しいその人は、自我も意識もなくして、他の生徒や教師と同じく、狩るべく獲物として俺を見遣る。
こうなっては、もはや七條先輩もケケカト様の従順な僕だ。
「先輩、大好きです。さようなら」
快楽で埋め尽くされ、蹂躙されて。
幸いなことといえば、その相手が体だけでも七條先輩のものであるということ。
犯され尽くして、ようやく解放された頃には、月明かりが暗い生徒会室を薄く照らしていた。
そろそろケケカト様のお出ましだろう。
空気感が変わるのがわかり身構える。
「先輩………」
離れる前に七條先輩にもう一度好きだと言いたい。
そう思い、床の上で眠っている七條先輩に、呼びかけた刹那。
突如として、先輩が爆ぜた。
真っ赤な肉片が当たりに散らばり、濃厚な血の匂いが嗅覚を埋め尽くす。
「………は?」
今まで聞いたことがない。
生贄以外の存在が消えるなんて。
ましてや死ぬなんて。
愛する人が一瞬にしてこの世から姿を消した。
その事実に頭がついていかず、俺は茫然とし、あまりのことに気を失った。
あれから、毎日俺はケケカト様に体を貪られている。
目の前で大切な人を失った今、常世に未練などない。
元凶がこのケケカト様自身だとしても。
ケケカト様は快楽をくれる。
途方もない頭がおかしくなるくらいの快楽。
その快楽だけあれば、俺ハ生きてイけるノダカラ………
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胸糞バッドエンドだな。
ひとまず今手がけているBLゲーム「悪魔と生贄の円舞曲ワルツ」の1ルート目のプログラミングを終らせ、抱いた感想はこれに尽きる。
少なくとも、昨日別のゲームのプログラミングを完了させ、クライアントに提出したばかりの5徹目で読まされていい内容ではない。
ギャルゲとかであれば話は別だ。
ギャルゲで尚且つハマる内容であれば、何徹でもいける。
しかしこれはBLゲームだ。
しかもバッドエンドを至高とするゲームメーカーの新作なんて、男の俺にとっては一切モチベーションが上がる要素がない。
このゲームメーカーが出すダーク系BLは巷の腐女子には大人気らしいが、もう少し爽やかさやハッピーエンド要素を入れた方がいいと思う。
俺の精神衛生上。
見ればディスク上のデジタル時計が深夜3:40を示している。
さてと。キリもいいし、今日は家に帰るとするか。
また明日も8:00出勤なのだから、少しでも体を休めなくては。
作り上げたデータを保存し、椅子から立ち上がろうとした時、ブチリと何かが切れる音がした。
目の前が真っ暗だ。
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