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2話
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彼はライオンの獣人だ。
普通だったら電車通勤しないような見た目の獣人だった。
だってとっても高級そうなスーツにきっちりと決まった髪型、それに立派な毛並みに顔も整っている。
そういう獣人はトラブルに巻き込まれないようにするから御付きがいる車に乗ってくるのが普通だ。
だからどう考えても彼が優秀そうでかっこいい彼が電車で一目を引くのは当然だ。
それに比べて僕は平凡で身長も人間の平均はあるとは言え、ひょろひょろだ。
病気になってからあまりご飯も食べられなくなって前よりも細くなってしまったし。
本当に取り柄もないからきっと告白してもあんなに素敵な人とは付き合えそうにないのは至極当然だ。
だからこそ、ここで当たって砕けて潔く諦めようと思った…。
でもどうやって声をかけよう。
せめて、彼が僕よりも先に降りる人だったら何かと理由をつけて声をかけられなくもない気がするけど、いつも僕よりも後に降りるからどこまで向かってるのかも知らない。
ストーカーじみてることはわかってるけど、今日は彼がどこまで行くのか調べてみよう!
________________
電車に乗って少し経ってから、満員とはいかないけど通勤ラッシュで中は混んでいた。
それもあってか僕は途中で体調を崩してしまった。
今までなら全然このくらいは余裕だったのに…。なんで…。苦しい…。
どうしても苦しくなってしまって僕は次の駅で降りようとも思ったけれど快速だったからか次の駅まで距離があった。
だんだんと意識が朦朧としてきて耳がキーンとなっているが周りに迷惑をかけるわけにはいかない。
でもほんとに具合が悪い。
どうしよう、もうダメ、蹲りたい、…………
そう思ったときいきなり誰かに引き寄せられた。
誰だろう…?すごく温かい…
僕は意識が朦朧としていることもあり、そのままその人に体をあずけていた。
結局好きな人が降りる場所もわからず、無意味になってしまったし、人にも迷惑をかけちゃった。
何やってるんだろう…僕は…。
少し経つと駅についた。
あ、降りなきゃ。そう思っても体が言うことを聞かない。
そうしたら僕を支えてくれた人が僕を引っ張って一緒に降りてくれた。
迷惑かけちゃった…。どうしよう…。
その人はベンチまで僕を連れていってくれた。
僕は項垂れながらも
「あの…迷惑をかけてしまってすみません。電車のなかでは助かりました…。」
「気にしなくていいですよ。それよりも体調は大丈夫ですか?少し待っていてください」
そう言ってどこかに行った。
しばらく経つとその人は戻ってきた。
僕はまだくらくらしていて目の前が真っ白でその人の顔がよく見えなかった。
「これお水です。飲めますか?」
「あ…ごめんなさい。こんなことまで…」
「いいんですよ。はい、蓋は開けてあるので…」
「ありがとうございます…」
僕はお水をコクコクと飲んでいたが、まだふらついていたせいか手が震えて水を少し口からこぼしてしまった。
「あ、ごめんなさい」
「大丈夫ですよ。」
そういってその人は僕の口を拭いてくれて、僕が落ち着くまで側にいてくれた。
それから少し経つと意識がハッキリしてきた。
助けてくれた人の顔をみるとまさかの僕の好きなあの獣人だった!
「あの、本当に迷惑をかけてしまってすみません。少し体調が良くなってきたのでもう大丈夫です。ありがとうございました。お仕事大丈夫ですか!?僕が迷惑をかけたばかりに遅刻してしまったのでは…」
「少し体調が良くなったのなら何よりです。仕事は大丈夫ですよ。基本的に出社する時間がそんなに決められてるわけでもないですし、今日は急ぎの用事もないので。」
「ならよかったです。あの…お礼に何かさせてください。こんなにもご迷惑をおかけしてしまったので…」
「大丈夫ですよ。ただ私がそうしたかっただけなので」
「そうもいきません!何かお返しだけでもさせてください。」
「じゃあこちらの電話で連絡するので少し待っていてください。仕事が終わったらまた連絡しますので…連絡先を教えて頂いても?」
「ありがとうございます!もちろんです。」
そうして彼とは駅で別れた。
まさか、大好きな獣人が助けてくれるだなんて…しかも名前と電話番号も知れるなんて。
無理を言ってしまったし、困らせてしまったな。
迷惑はかけてしまったけど知れて嬉しいな…
アルベールって名前なんだ。素敵だな。
今日…彼から電話がくるかもしれないんだ。
そう思い、僕は家まで帰った。
普通だったら電車通勤しないような見た目の獣人だった。
だってとっても高級そうなスーツにきっちりと決まった髪型、それに立派な毛並みに顔も整っている。
そういう獣人はトラブルに巻き込まれないようにするから御付きがいる車に乗ってくるのが普通だ。
だからどう考えても彼が優秀そうでかっこいい彼が電車で一目を引くのは当然だ。
それに比べて僕は平凡で身長も人間の平均はあるとは言え、ひょろひょろだ。
病気になってからあまりご飯も食べられなくなって前よりも細くなってしまったし。
本当に取り柄もないからきっと告白してもあんなに素敵な人とは付き合えそうにないのは至極当然だ。
だからこそ、ここで当たって砕けて潔く諦めようと思った…。
でもどうやって声をかけよう。
せめて、彼が僕よりも先に降りる人だったら何かと理由をつけて声をかけられなくもない気がするけど、いつも僕よりも後に降りるからどこまで向かってるのかも知らない。
ストーカーじみてることはわかってるけど、今日は彼がどこまで行くのか調べてみよう!
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電車に乗って少し経ってから、満員とはいかないけど通勤ラッシュで中は混んでいた。
それもあってか僕は途中で体調を崩してしまった。
今までなら全然このくらいは余裕だったのに…。なんで…。苦しい…。
どうしても苦しくなってしまって僕は次の駅で降りようとも思ったけれど快速だったからか次の駅まで距離があった。
だんだんと意識が朦朧としてきて耳がキーンとなっているが周りに迷惑をかけるわけにはいかない。
でもほんとに具合が悪い。
どうしよう、もうダメ、蹲りたい、…………
そう思ったときいきなり誰かに引き寄せられた。
誰だろう…?すごく温かい…
僕は意識が朦朧としていることもあり、そのままその人に体をあずけていた。
結局好きな人が降りる場所もわからず、無意味になってしまったし、人にも迷惑をかけちゃった。
何やってるんだろう…僕は…。
少し経つと駅についた。
あ、降りなきゃ。そう思っても体が言うことを聞かない。
そうしたら僕を支えてくれた人が僕を引っ張って一緒に降りてくれた。
迷惑かけちゃった…。どうしよう…。
その人はベンチまで僕を連れていってくれた。
僕は項垂れながらも
「あの…迷惑をかけてしまってすみません。電車のなかでは助かりました…。」
「気にしなくていいですよ。それよりも体調は大丈夫ですか?少し待っていてください」
そう言ってどこかに行った。
しばらく経つとその人は戻ってきた。
僕はまだくらくらしていて目の前が真っ白でその人の顔がよく見えなかった。
「これお水です。飲めますか?」
「あ…ごめんなさい。こんなことまで…」
「いいんですよ。はい、蓋は開けてあるので…」
「ありがとうございます…」
僕はお水をコクコクと飲んでいたが、まだふらついていたせいか手が震えて水を少し口からこぼしてしまった。
「あ、ごめんなさい」
「大丈夫ですよ。」
そういってその人は僕の口を拭いてくれて、僕が落ち着くまで側にいてくれた。
それから少し経つと意識がハッキリしてきた。
助けてくれた人の顔をみるとまさかの僕の好きなあの獣人だった!
「あの、本当に迷惑をかけてしまってすみません。少し体調が良くなってきたのでもう大丈夫です。ありがとうございました。お仕事大丈夫ですか!?僕が迷惑をかけたばかりに遅刻してしまったのでは…」
「少し体調が良くなったのなら何よりです。仕事は大丈夫ですよ。基本的に出社する時間がそんなに決められてるわけでもないですし、今日は急ぎの用事もないので。」
「ならよかったです。あの…お礼に何かさせてください。こんなにもご迷惑をおかけしてしまったので…」
「大丈夫ですよ。ただ私がそうしたかっただけなので」
「そうもいきません!何かお返しだけでもさせてください。」
「じゃあこちらの電話で連絡するので少し待っていてください。仕事が終わったらまた連絡しますので…連絡先を教えて頂いても?」
「ありがとうございます!もちろんです。」
そうして彼とは駅で別れた。
まさか、大好きな獣人が助けてくれるだなんて…しかも名前と電話番号も知れるなんて。
無理を言ってしまったし、困らせてしまったな。
迷惑はかけてしまったけど知れて嬉しいな…
アルベールって名前なんだ。素敵だな。
今日…彼から電話がくるかもしれないんだ。
そう思い、僕は家まで帰った。
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