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奇妙な首輪とエルフ
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その言葉の意味がよく分からなかった。大人になると他人に乾かされる行為が恥と感じる事があるのか
随分と険しい顔をしていたようで、ボスに考えすぎてないかと苦笑された。
「成長するにつれ色々と出来るようになるからだよ、それはそれでいいんだろうけど…」
「……寂しいのか?」
そう聞くとそういう訳でもない、と返ってきた。ならばどういう気持ちなのか、懐かしいって何なのだろう
「理解は、難しいが…… ボスが望むなら俺がやろう…」
「それは嬉しいかも、でも…たまにでいいからね」
乾かし終えてもらったところでリヒトは紙袋を俺に渡して来た。
「…ボスなら何でも似合うと思ったから、迷った」
「その絶対的な信頼はどこから来てるんだ?」
そう答えつつ紙袋を開けて中を覗いてから取り出してみると模様が入ったマフラー、ではなくストールが出てきた。
早速巻いてみると長さは胸ぐらいで、幅は首輪がしっかり隠れるくらいの余裕があった。
「ありがとう、お金は後で―――」
ボス、と呼び掛けられ顔を覗き込まれたかと思えばそのままキスをされた。
急な出来事に固まり、されるがままになっているとそれはより深いものになった。
「んっ…!?む、ぅ……!?」
「……もう、貰った…」
リヒトはやや満足そうに離れ、シャワールームへ向かって行った。俺はしばらく呆然としていた。
浴室から水の音が聞こえる。別に何をする訳でもないのに、どうしてこんなに心臓と水の音がよく聞こえるのだろう
急にしてくるなんて思ってなかったから心構えも出来なかった。リヒトの気持ちも、まだはっきりとは聞いていないのに
(誤解だったら恥ずかしいし…)
俺が彼を生み出した上に協力もしてくれているのだから関係性は良好だとは思っている。
それをふまえてリヒトが俺を好きになる要素があるとしたら何だろうと疑問が浮かぶ。
恩はもしかしたらあるのかもしれないが、それはあまり理由にはならない気がする。
そう考えているうちにガチャ、と浴室の開く音がして心臓が跳ねた気がした。俺は慌てて布団へ潜り込んだ。
(…なんで俺は隠れたんだ?)
考えている事とやっている事がちぐはぐしている。俺自身も分かってない
「ボス?……具合が悪いのか?」
大丈夫と答えたのにリヒトは近寄って来た。そういえば昨夜も同じように伝えたのに聞いてくれなかったなと思い出す。
しばらくするとポンポンと軽く叩かれた感じがして、目だけ出してみると彼は僅かだが微笑んでいた。
「……なーに笑ってんだよ」
「…何でもない」
リヒトは少し離れた所で着替え始め、俺はベッドで寝転がりながら地図を頭上で掲げて眺めていた。
(聞いた情報を頼りにしてるのに上手くいかないな… 首輪じゃなくて骨に反応してたし、首輪も犬用じゃなかった……)
1つ目と2つ目にはバツが付いており、最後の3つ目が点滅している。依頼書に映る犬がここに居てくれたらいいんだけど
「そろそろ出るか…?」
「分かった、着替えるよ」
着替えながら鏡の前に向かう。ストールを調整し、首輪が隠れるようにしっかりと確認してから固定する。
(手も、足も…大丈夫だ)
手首をブラブラしているとリヒトに怪訝な表情で見られていた。ふざけてピースしてみたが反応は変わらなかった。
よし!と顔を叩いて気合を入れ直した。とにかく今は愛犬を見つける事が最優先だ
宿の支払いをしているリヒトを待ちながら地図を開いてみると現在地はべーライズ 4の地域、と分かりやすく表示された。
次の目的地を見れば近くの湖を指していた。2の地域から出るのが一番近いようだけど、4から2って… 結構遠いような?
待たせた、とリヒトの声が掛かる。彼に向けて地図を見せながら指で目的地を示した。
「湖が目的地っぽいんだけど、2の地域から4の地域って距離あるよね?」
「歩くか、馬車になる……」
魔術でも移動出来なくはないと彼は含みを持たせて答えたが、おそらく適さないのだろう。これは用意してくれた食事と同じだ
そういえばゲームでも初期は馬車を使った覚えが。使うとはいってもお金を使って移動する、という簡単なものだったけど
ワープが使えないとこうも原始的に感じるものなんだなと感じた。
「仕方ない、歩くか!」
「それは推奨出来ない…ボスが思っている以上に距離がある」
そうなのか?と返すと彼は頷いた。そういえば丘でべーライズを眺めた時ですら壮観だったと思い出した。
「そっか、じゃあ馬車……って初めてかも」
歩きながら近くの乗り場へ向かうと、街道を通って走り抜ける馬車と遭遇した。
物珍しく眺めているとリヒトに誘導されるように腕を引かれた。受付に2の地域まで、と彼が告げると目の前に馬車が現れた。
(人生で馬車に乗る機会があるなんて)
ちゃんと客室もあってガラス窓で景色も見られそうだ、そう思うとなんだかわくわくしてきた。
随分と険しい顔をしていたようで、ボスに考えすぎてないかと苦笑された。
「成長するにつれ色々と出来るようになるからだよ、それはそれでいいんだろうけど…」
「……寂しいのか?」
そう聞くとそういう訳でもない、と返ってきた。ならばどういう気持ちなのか、懐かしいって何なのだろう
「理解は、難しいが…… ボスが望むなら俺がやろう…」
「それは嬉しいかも、でも…たまにでいいからね」
乾かし終えてもらったところでリヒトは紙袋を俺に渡して来た。
「…ボスなら何でも似合うと思ったから、迷った」
「その絶対的な信頼はどこから来てるんだ?」
そう答えつつ紙袋を開けて中を覗いてから取り出してみると模様が入ったマフラー、ではなくストールが出てきた。
早速巻いてみると長さは胸ぐらいで、幅は首輪がしっかり隠れるくらいの余裕があった。
「ありがとう、お金は後で―――」
ボス、と呼び掛けられ顔を覗き込まれたかと思えばそのままキスをされた。
急な出来事に固まり、されるがままになっているとそれはより深いものになった。
「んっ…!?む、ぅ……!?」
「……もう、貰った…」
リヒトはやや満足そうに離れ、シャワールームへ向かって行った。俺はしばらく呆然としていた。
浴室から水の音が聞こえる。別に何をする訳でもないのに、どうしてこんなに心臓と水の音がよく聞こえるのだろう
急にしてくるなんて思ってなかったから心構えも出来なかった。リヒトの気持ちも、まだはっきりとは聞いていないのに
(誤解だったら恥ずかしいし…)
俺が彼を生み出した上に協力もしてくれているのだから関係性は良好だとは思っている。
それをふまえてリヒトが俺を好きになる要素があるとしたら何だろうと疑問が浮かぶ。
恩はもしかしたらあるのかもしれないが、それはあまり理由にはならない気がする。
そう考えているうちにガチャ、と浴室の開く音がして心臓が跳ねた気がした。俺は慌てて布団へ潜り込んだ。
(…なんで俺は隠れたんだ?)
考えている事とやっている事がちぐはぐしている。俺自身も分かってない
「ボス?……具合が悪いのか?」
大丈夫と答えたのにリヒトは近寄って来た。そういえば昨夜も同じように伝えたのに聞いてくれなかったなと思い出す。
しばらくするとポンポンと軽く叩かれた感じがして、目だけ出してみると彼は僅かだが微笑んでいた。
「……なーに笑ってんだよ」
「…何でもない」
リヒトは少し離れた所で着替え始め、俺はベッドで寝転がりながら地図を頭上で掲げて眺めていた。
(聞いた情報を頼りにしてるのに上手くいかないな… 首輪じゃなくて骨に反応してたし、首輪も犬用じゃなかった……)
1つ目と2つ目にはバツが付いており、最後の3つ目が点滅している。依頼書に映る犬がここに居てくれたらいいんだけど
「そろそろ出るか…?」
「分かった、着替えるよ」
着替えながら鏡の前に向かう。ストールを調整し、首輪が隠れるようにしっかりと確認してから固定する。
(手も、足も…大丈夫だ)
手首をブラブラしているとリヒトに怪訝な表情で見られていた。ふざけてピースしてみたが反応は変わらなかった。
よし!と顔を叩いて気合を入れ直した。とにかく今は愛犬を見つける事が最優先だ
宿の支払いをしているリヒトを待ちながら地図を開いてみると現在地はべーライズ 4の地域、と分かりやすく表示された。
次の目的地を見れば近くの湖を指していた。2の地域から出るのが一番近いようだけど、4から2って… 結構遠いような?
待たせた、とリヒトの声が掛かる。彼に向けて地図を見せながら指で目的地を示した。
「湖が目的地っぽいんだけど、2の地域から4の地域って距離あるよね?」
「歩くか、馬車になる……」
魔術でも移動出来なくはないと彼は含みを持たせて答えたが、おそらく適さないのだろう。これは用意してくれた食事と同じだ
そういえばゲームでも初期は馬車を使った覚えが。使うとはいってもお金を使って移動する、という簡単なものだったけど
ワープが使えないとこうも原始的に感じるものなんだなと感じた。
「仕方ない、歩くか!」
「それは推奨出来ない…ボスが思っている以上に距離がある」
そうなのか?と返すと彼は頷いた。そういえば丘でべーライズを眺めた時ですら壮観だったと思い出した。
「そっか、じゃあ馬車……って初めてかも」
歩きながら近くの乗り場へ向かうと、街道を通って走り抜ける馬車と遭遇した。
物珍しく眺めているとリヒトに誘導されるように腕を引かれた。受付に2の地域まで、と彼が告げると目の前に馬車が現れた。
(人生で馬車に乗る機会があるなんて)
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