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それぞれの想い
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移動した先にはやや白い水のようなものが入った透明の管があった。
これには水中で浮いているものはなかったが、みなぎるような力を強く感じた。
彼は俺から降り、隣に立ってから透明管の前に魔法陣を展開させた。
「……個人的には嬉しい反面、複雑でもあります。この判断は誤りでなかったと、そう思いたいのかもしれません」
レイルは、飛躍した物言いをするんだとようやく理解した。そう言い聞かせるような言葉を発する彼を見つめていると視線が合った。
「これを使えば人間の姿に戻れるはずです。ただ…正式な戻り方ではないので別のリスクが伴います」
「わふっ…」
小さく答えると彼は魔法陣を見つめ、何かに戸惑いながらも再び俺を見た。
「っと、その…… ダンナは…本来この世界に存在しないので、オレからデータを強引に喚び出す形となります」
急に歯切れが悪く、そわそわと落ち着きのないレイルに疑問を抱きつつも頷いた。
どちらにせよこの姿ではまともに喋れないし、人の姿に戻って色々と聞いた方が早いだろう
「こちらの魔法陣にお立ちください」
彼が出現させた魔法陣の中央に移動した。それからレイルは日本語ではない言葉で語りかけるようにして唱え始めた。
あのエルフ達が出した魔法陣とは違い、体が温かくなるような感覚がした。
(リスクが気になるけど、それでも戻れるなら戻ってから…回避出来る方法を考えよう)
それに彼が推奨するならそこまで酷い状況になるとは思えない
全身が温まるような感覚になったあと、パッと見は特に何も起きずに魔法陣はゆっくりと消えた。
「あの管に移動してもらいますので体を楽にして、必然的に眠くなると思うので身を任せてください」
体が浮いたような気がしたかと思えば白い水の入った管に移動していて、レイルと向かい合う形になったかと思えば急激に眠くなった。
うとうとしてしまい、そのまま水中で目を閉じて眠ってしまった。
夢を見る事もなくパッと目覚めれば、レイルに抱きかかえられていた。
ハッと思い出して手の平を見つめれば狼ではなく人間の、自分の手だった。
「あ……あれっ… なんで俺、裸…?」
下半身はタオルで隠されているだけで、身に纏っていたものは何もなかった。
「着替えを、用意しておけば良かったですね… 体に、違和感は…ありませんか?」
「多分…… そうだ、レイルこそ大丈夫なのか?」
自ら治療したとはいえ、頬の腫れはまだ残っている。傷だって体中にたくさんあったし深かったはずだ
「えっ、あ… だ、大丈夫です…!それより早くここから出ましょうっ…」
「待って、ヴェンくんは?姿が見当たらないけど…」
「その辺りも含めて…落ち着いたらご説明します。いつまでもここにいては…危険です」
再び落ち着きのないレイル。それについても詳しく聞きたいが、もしかしたらエルフ達が戻って来てしまうかもしれない
「分かった、急いで戻ろう」
謎の研究所から抜け出し、べーライズに戻ってからすぐに宿を取った。
「大丈夫じゃないよな?これだって、止血していても痛そうだし酷い痣に」
「問題ないですからっ…!あの、ちょっと……本当にっ」
どう見てもすぐ治る傷ではない、きっと俺が独房に入れられてしまう前から暴行を受けていたはず
「ダンナだって…!その、手首の…」
「俺の事はいいんだよ、話を逸らすなっ」
早速部屋に入り、彼を半ば無理矢理にイスへ座らせた。
彼は観念したかのように座り、なんだか申し訳なさそうな表情をしていた。
「ん?…え、あ……?…お?」
「だ、から……!その、えっと…」
謎の盛り上がりをついガン見してしまった。呆然としていると、レイルは困ったようにうなだれた。
「も、もう…いいですか……!?あの、お時間頂いて…どこかで、抑えて」
「どこかってどこだよ、それより…」
ちらりとソレを見てから、再び彼と視線が絡んだ。見るからに普段と違った様子だった。
「……っ、はぁ…… も、我慢…してたのにっ… ダンナは、イジワルだ…」
「別に、俺は何もしてないけど…」
彼の息は徐々に荒くなり始め、欲情を抑えるのも精一杯という感じのようだった。
これまで聞けなかったことを詳しく知りたい気持ちもあるが、肩で大きく呼吸を繰り返す彼を楽にしてあげる方が先のようだ
「……やれる事があるなら、やるから」
念の為に彼の意思を伺う。そう伝えると彼は戸惑うように視線をあちこちに向けて、そのまま黙って見ていると彼は何かを決意したようだった。
「う…あ、のっ…… えっと、ダンナと……キス、したいです…!」
「……それだけでいいの?」
そっと優しく触れてみればレイルは下唇を軽く噛んだ。体の構造が同じならすぐにこれが収まらないことくらい分かる。
「もしかしてリスクって…このこと?」
「オレに対するリスクは、そうですっ…… オレからダンナのデータを喚び出した、影響です…」
これには水中で浮いているものはなかったが、みなぎるような力を強く感じた。
彼は俺から降り、隣に立ってから透明管の前に魔法陣を展開させた。
「……個人的には嬉しい反面、複雑でもあります。この判断は誤りでなかったと、そう思いたいのかもしれません」
レイルは、飛躍した物言いをするんだとようやく理解した。そう言い聞かせるような言葉を発する彼を見つめていると視線が合った。
「これを使えば人間の姿に戻れるはずです。ただ…正式な戻り方ではないので別のリスクが伴います」
「わふっ…」
小さく答えると彼は魔法陣を見つめ、何かに戸惑いながらも再び俺を見た。
「っと、その…… ダンナは…本来この世界に存在しないので、オレからデータを強引に喚び出す形となります」
急に歯切れが悪く、そわそわと落ち着きのないレイルに疑問を抱きつつも頷いた。
どちらにせよこの姿ではまともに喋れないし、人の姿に戻って色々と聞いた方が早いだろう
「こちらの魔法陣にお立ちください」
彼が出現させた魔法陣の中央に移動した。それからレイルは日本語ではない言葉で語りかけるようにして唱え始めた。
あのエルフ達が出した魔法陣とは違い、体が温かくなるような感覚がした。
(リスクが気になるけど、それでも戻れるなら戻ってから…回避出来る方法を考えよう)
それに彼が推奨するならそこまで酷い状況になるとは思えない
全身が温まるような感覚になったあと、パッと見は特に何も起きずに魔法陣はゆっくりと消えた。
「あの管に移動してもらいますので体を楽にして、必然的に眠くなると思うので身を任せてください」
体が浮いたような気がしたかと思えば白い水の入った管に移動していて、レイルと向かい合う形になったかと思えば急激に眠くなった。
うとうとしてしまい、そのまま水中で目を閉じて眠ってしまった。
夢を見る事もなくパッと目覚めれば、レイルに抱きかかえられていた。
ハッと思い出して手の平を見つめれば狼ではなく人間の、自分の手だった。
「あ……あれっ… なんで俺、裸…?」
下半身はタオルで隠されているだけで、身に纏っていたものは何もなかった。
「着替えを、用意しておけば良かったですね… 体に、違和感は…ありませんか?」
「多分…… そうだ、レイルこそ大丈夫なのか?」
自ら治療したとはいえ、頬の腫れはまだ残っている。傷だって体中にたくさんあったし深かったはずだ
「えっ、あ… だ、大丈夫です…!それより早くここから出ましょうっ…」
「待って、ヴェンくんは?姿が見当たらないけど…」
「その辺りも含めて…落ち着いたらご説明します。いつまでもここにいては…危険です」
再び落ち着きのないレイル。それについても詳しく聞きたいが、もしかしたらエルフ達が戻って来てしまうかもしれない
「分かった、急いで戻ろう」
謎の研究所から抜け出し、べーライズに戻ってからすぐに宿を取った。
「大丈夫じゃないよな?これだって、止血していても痛そうだし酷い痣に」
「問題ないですからっ…!あの、ちょっと……本当にっ」
どう見てもすぐ治る傷ではない、きっと俺が独房に入れられてしまう前から暴行を受けていたはず
「ダンナだって…!その、手首の…」
「俺の事はいいんだよ、話を逸らすなっ」
早速部屋に入り、彼を半ば無理矢理にイスへ座らせた。
彼は観念したかのように座り、なんだか申し訳なさそうな表情をしていた。
「ん?…え、あ……?…お?」
「だ、から……!その、えっと…」
謎の盛り上がりをついガン見してしまった。呆然としていると、レイルは困ったようにうなだれた。
「も、もう…いいですか……!?あの、お時間頂いて…どこかで、抑えて」
「どこかってどこだよ、それより…」
ちらりとソレを見てから、再び彼と視線が絡んだ。見るからに普段と違った様子だった。
「……っ、はぁ…… も、我慢…してたのにっ… ダンナは、イジワルだ…」
「別に、俺は何もしてないけど…」
彼の息は徐々に荒くなり始め、欲情を抑えるのも精一杯という感じのようだった。
これまで聞けなかったことを詳しく知りたい気持ちもあるが、肩で大きく呼吸を繰り返す彼を楽にしてあげる方が先のようだ
「……やれる事があるなら、やるから」
念の為に彼の意思を伺う。そう伝えると彼は戸惑うように視線をあちこちに向けて、そのまま黙って見ていると彼は何かを決意したようだった。
「う…あ、のっ…… えっと、ダンナと……キス、したいです…!」
「……それだけでいいの?」
そっと優しく触れてみればレイルは下唇を軽く噛んだ。体の構造が同じならすぐにこれが収まらないことくらい分かる。
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