15 / 139
#3 うたっておどるひと
3-3 うたっておどるひと
しおりを挟む
私物が置かれたままの楽屋に一歩踏み入れると、メンソールの残り香が漂ってくる。
その中にわずかに燻ぶる、酔ってしまいそうなラム酒の香り。紫音が所属する事務所のトップが愛煙する銘柄だ。
ソファでくつろいでいた彼はスマホから顔を上げると、従業員に対面の席を勧めた。
「お疲れ様。今日のステージはどうだった?」
手入れの行き届いた肌に、健康的なえくぼが刻まれる。
時代劇の舞台のために伸ばしたポニーテールの髪型が、今なお俳優として表舞台に立つ彼をますます年齢不詳に見せていた。
「はっ、はい……新曲のお披露目も無事にできて……良かったです」
「それは良かった。上がり聞いたけど、なかなか良い曲だったよ」
「あ……ありがとうございます……」
彼自身も現役で忙しく、タレントの管理はマネージャー任せで、事務所やシェアハウスにも気が向いた時にしか顔を出さない。会社経営と人材育成はあくまでも趣味らしい。事務所と言っても代表の持ち家の一室を使うという、ごく小規模なプロダクションだ。所属しているのも≪SPLASH≫のメンバーと数名のキッズモデルだけである。
滅多な事では顔を会わせない代表と二人きり。デビューから5年経った今でも、嫌でも緊張してしまう。普段はニコニコしていても、腹の底では何を考えているのかさっぱりわからない。そんな業界特有の人間。それも舞台稽古の後、直々に現場に足を運ぶとは。
代表は目を細めると、紫音が持っていたファイルに印字されている会社ロゴを見遣った。
「お姉さん、今日も来て下さってたのか」
「ええ。それで……明日、ZAZATOWNの撮影に行ってきます」
姉から斡旋してもらった案件については、スターゲイツとの業務提携ということになっている。いつ誰とどんな仕事をする予定か、逐一報告を欠かさなかった。
「そうか、また呼んでもらえて良かったじゃないか。しっかり頑張るんだよ」
「あっ、はいっ!一生懸命頑張ります……!」
思いがけない激励に、紫音はつむじが見えるまで深々と頭を下げた。
歌もダンスも素人同然だった頃、可能性に託してグループへの追加加入を認めてくれただけではない。寮として都心部の住居を提供してもらい、毎週末の舞台に立たせてもらっているのも、すべて代表のおかげなのだ。幼い頃から密かに抱いていた夢を、叶えてくれた恩人には変わりなかった。
頭を上げるよう代表が促すと、几帳面なノックが数回響いた。
「ああ、やっと来たね。隣に座って」
書類の束を抱えたマネージャーが、神妙な面持ちで入ってくる。
不定期の面談を彷彿とさせる構図に、紫音の背中に緊張が走った。思えば、月末最後のライブだった。
「お疲れ様です。紫音さんもお時間いただいてありがとうございます」
「いえ……」
すると、代表は立ち上がり、自ら淹れたコーヒーを紫音の目の前に置いた。
続いてマネージャーの手により、人数分のカップが並べられる。芳しいコーヒーの香りと暫しの沈黙の後、ようやく代表が切り出した。
「紫音。君がウチに来てもう5年になったのかな」
「っは、はい……」
落ち着きなくカップの中を見つめていた紫音は、思わず顔を上げる。
「歌もダンスも人一倍努力して、随分上達したと思う。来年の夏で6年目か」
入所当時からの歳月を思い出しているのか。代表の口調は至極穏やかだ。
だが、次に並べられたのは厳格な言葉だった。
「だけど……思うように結果が付いてきていないのは分かるね?」
「っ……すみません……」
真摯な眼差しで射抜かれ、紫音は伏せ目がちにカップを握り締めた。
デビュー後いつまで経っても、メンバー内の人気イコール集客力は最下位。特典会の売上も然りだった。その実態は、本人が一番痛感している。
「俺はね、番付なんてどうでもいい。どうせ、メンヘラ暇人無職粘着クソニート共が上位層に重複投票してるだけだろうし」
「……」
番付――もとい正式名称はメンズ地下アイドルランキング。SNSのフォロワー数やオンライン投票を基に、専用サイトで年間を通して集計されている。
代表の一存により、『濡れた美少年』をコンセプトに結成された≪SPLASH≫。事務所主催の新人発掘オーディションで選ばれた大地と櫂人に後発組の三人が加わり、今の顔ぶれになった。半年間の準備期間を経て、地下のライブハウスを拠点として活動6年目に差し掛かる。グループ部門ではトップ10圏内に出入りする中堅的存在になりつつあった。一方、個人部門で紫音は万年不動の最下位だ。
集客目的の配信や個人動画すら、他メンバーと比べて再生回数が二桁少ない。テコ入れしようとも、最早手の施しようがなかった。
「正直、金の事もどうだっていいんだ。自分が見込んだタレント達が輝く瞬間を見るのが好きで、育成を始めたからさ」
代表はカップを啜ると、無造作に足を組み直した。満ち足りた微笑も、次の瞬間にはフッと立ち消える。
「でも……同時に、金が無いと続けられないのも事実だ」
そして、ある迫りくる危機に、代表は溜息を吐くのだった。
「マネージャーが作ってくれた資料を見て……このままじゃさすがに不味いと思ってね」
隣で黙って聞いていたマネージャーが、今度は躊躇いがちに口を開く。
書類を捲った一枚目には、カラー印刷でグラフが整備されていた。横這い状態の売上線に対し、右肩上がりの支出線が上回る勢いだ。
「実は、紫音さんのグッズの発注数というのが……他メンバーの1/50なんです。
お姉様が在庫を買い占めてくださっても、高額にならないようにと……」
「……そう……だったんですか」
目の前に弾き出された、衝撃的な数字。
状況を過大評価して、呑気に構え過ぎていたのだ。そして、不要な気遣いをさせてしまったことが情けなくて仕方ない。
「昨今の物価高騰で、グッズ製作費だけでなく光熱費もどんどん上がっています。
結論から言うと、シェアハウスの運営費をライブや物販の収益から賄うのが難しくなっているんです」
鈍い眩暈が紫音を襲う。
自分一人がグループの足を引っ張っているのだ。そんな事、前々からわかっていたことなのに……。
紫音が茫然とグラフを見つめる中、マネージャーはついに核心に触れた。
「実質お姉様一人に負担していただくのは……健全ではありません。
紫音さんには、一人でも多くのご新規を作っていただく必要があります」
地元での順風満帆な未来を犠牲にしてまで、我が事のように応援してくれる気丈な姉。
そんな彼女に、多大な苦労や余計な出費を強いてしまっている。無条件の厚意にいつまでも甘えてしまったことに、紫音は無力感を感じ始めていた。
「年内までは様子を見ようとは思ってる……だけどね」
代表はなおも畳みかける。
次の通達までの一拍は、まるで余命宣告のように感じられた。
「あと二か月で実績を上げられなかったら……俺達も別のメンバーを探さないといけない」
「――……!」
ドクドクと心臓が激しく脈打つ。それは、紫音が最も恐れていた通告だった。
マネージャーは申し訳無さそうに俯いている。それ以上は口を噤んでしまった彼の代わりを、代表が引き取った。
「厳しいようだけど、これも現実なんだ。
ウチみたいなスポンサーもままならない弱小事務所では、特にね」
何年も忍耐強く面倒を見てくれていた二人に、恩を仇で返している。
大切な師とも呼べる存在に、追放を言い渡させたのだ。
「ショービジネスの世界ではね、観客の心を掴めないとただの独り善がりで終わるんだ。
どうして他の子達より遅れを取っているのか、しっかり自分と向き合ってほしい」
業界に30年以上身を置く重鎮からの、重みのある忠告。
代表はおもむろに立ち上がると、微かに震える肩を叩いた。
「ファンを愛し……そして、もっと愛されるアイドルになってくれ」
その中にわずかに燻ぶる、酔ってしまいそうなラム酒の香り。紫音が所属する事務所のトップが愛煙する銘柄だ。
ソファでくつろいでいた彼はスマホから顔を上げると、従業員に対面の席を勧めた。
「お疲れ様。今日のステージはどうだった?」
手入れの行き届いた肌に、健康的なえくぼが刻まれる。
時代劇の舞台のために伸ばしたポニーテールの髪型が、今なお俳優として表舞台に立つ彼をますます年齢不詳に見せていた。
「はっ、はい……新曲のお披露目も無事にできて……良かったです」
「それは良かった。上がり聞いたけど、なかなか良い曲だったよ」
「あ……ありがとうございます……」
彼自身も現役で忙しく、タレントの管理はマネージャー任せで、事務所やシェアハウスにも気が向いた時にしか顔を出さない。会社経営と人材育成はあくまでも趣味らしい。事務所と言っても代表の持ち家の一室を使うという、ごく小規模なプロダクションだ。所属しているのも≪SPLASH≫のメンバーと数名のキッズモデルだけである。
滅多な事では顔を会わせない代表と二人きり。デビューから5年経った今でも、嫌でも緊張してしまう。普段はニコニコしていても、腹の底では何を考えているのかさっぱりわからない。そんな業界特有の人間。それも舞台稽古の後、直々に現場に足を運ぶとは。
代表は目を細めると、紫音が持っていたファイルに印字されている会社ロゴを見遣った。
「お姉さん、今日も来て下さってたのか」
「ええ。それで……明日、ZAZATOWNの撮影に行ってきます」
姉から斡旋してもらった案件については、スターゲイツとの業務提携ということになっている。いつ誰とどんな仕事をする予定か、逐一報告を欠かさなかった。
「そうか、また呼んでもらえて良かったじゃないか。しっかり頑張るんだよ」
「あっ、はいっ!一生懸命頑張ります……!」
思いがけない激励に、紫音はつむじが見えるまで深々と頭を下げた。
歌もダンスも素人同然だった頃、可能性に託してグループへの追加加入を認めてくれただけではない。寮として都心部の住居を提供してもらい、毎週末の舞台に立たせてもらっているのも、すべて代表のおかげなのだ。幼い頃から密かに抱いていた夢を、叶えてくれた恩人には変わりなかった。
頭を上げるよう代表が促すと、几帳面なノックが数回響いた。
「ああ、やっと来たね。隣に座って」
書類の束を抱えたマネージャーが、神妙な面持ちで入ってくる。
不定期の面談を彷彿とさせる構図に、紫音の背中に緊張が走った。思えば、月末最後のライブだった。
「お疲れ様です。紫音さんもお時間いただいてありがとうございます」
「いえ……」
すると、代表は立ち上がり、自ら淹れたコーヒーを紫音の目の前に置いた。
続いてマネージャーの手により、人数分のカップが並べられる。芳しいコーヒーの香りと暫しの沈黙の後、ようやく代表が切り出した。
「紫音。君がウチに来てもう5年になったのかな」
「っは、はい……」
落ち着きなくカップの中を見つめていた紫音は、思わず顔を上げる。
「歌もダンスも人一倍努力して、随分上達したと思う。来年の夏で6年目か」
入所当時からの歳月を思い出しているのか。代表の口調は至極穏やかだ。
だが、次に並べられたのは厳格な言葉だった。
「だけど……思うように結果が付いてきていないのは分かるね?」
「っ……すみません……」
真摯な眼差しで射抜かれ、紫音は伏せ目がちにカップを握り締めた。
デビュー後いつまで経っても、メンバー内の人気イコール集客力は最下位。特典会の売上も然りだった。その実態は、本人が一番痛感している。
「俺はね、番付なんてどうでもいい。どうせ、メンヘラ暇人無職粘着クソニート共が上位層に重複投票してるだけだろうし」
「……」
番付――もとい正式名称はメンズ地下アイドルランキング。SNSのフォロワー数やオンライン投票を基に、専用サイトで年間を通して集計されている。
代表の一存により、『濡れた美少年』をコンセプトに結成された≪SPLASH≫。事務所主催の新人発掘オーディションで選ばれた大地と櫂人に後発組の三人が加わり、今の顔ぶれになった。半年間の準備期間を経て、地下のライブハウスを拠点として活動6年目に差し掛かる。グループ部門ではトップ10圏内に出入りする中堅的存在になりつつあった。一方、個人部門で紫音は万年不動の最下位だ。
集客目的の配信や個人動画すら、他メンバーと比べて再生回数が二桁少ない。テコ入れしようとも、最早手の施しようがなかった。
「正直、金の事もどうだっていいんだ。自分が見込んだタレント達が輝く瞬間を見るのが好きで、育成を始めたからさ」
代表はカップを啜ると、無造作に足を組み直した。満ち足りた微笑も、次の瞬間にはフッと立ち消える。
「でも……同時に、金が無いと続けられないのも事実だ」
そして、ある迫りくる危機に、代表は溜息を吐くのだった。
「マネージャーが作ってくれた資料を見て……このままじゃさすがに不味いと思ってね」
隣で黙って聞いていたマネージャーが、今度は躊躇いがちに口を開く。
書類を捲った一枚目には、カラー印刷でグラフが整備されていた。横這い状態の売上線に対し、右肩上がりの支出線が上回る勢いだ。
「実は、紫音さんのグッズの発注数というのが……他メンバーの1/50なんです。
お姉様が在庫を買い占めてくださっても、高額にならないようにと……」
「……そう……だったんですか」
目の前に弾き出された、衝撃的な数字。
状況を過大評価して、呑気に構え過ぎていたのだ。そして、不要な気遣いをさせてしまったことが情けなくて仕方ない。
「昨今の物価高騰で、グッズ製作費だけでなく光熱費もどんどん上がっています。
結論から言うと、シェアハウスの運営費をライブや物販の収益から賄うのが難しくなっているんです」
鈍い眩暈が紫音を襲う。
自分一人がグループの足を引っ張っているのだ。そんな事、前々からわかっていたことなのに……。
紫音が茫然とグラフを見つめる中、マネージャーはついに核心に触れた。
「実質お姉様一人に負担していただくのは……健全ではありません。
紫音さんには、一人でも多くのご新規を作っていただく必要があります」
地元での順風満帆な未来を犠牲にしてまで、我が事のように応援してくれる気丈な姉。
そんな彼女に、多大な苦労や余計な出費を強いてしまっている。無条件の厚意にいつまでも甘えてしまったことに、紫音は無力感を感じ始めていた。
「年内までは様子を見ようとは思ってる……だけどね」
代表はなおも畳みかける。
次の通達までの一拍は、まるで余命宣告のように感じられた。
「あと二か月で実績を上げられなかったら……俺達も別のメンバーを探さないといけない」
「――……!」
ドクドクと心臓が激しく脈打つ。それは、紫音が最も恐れていた通告だった。
マネージャーは申し訳無さそうに俯いている。それ以上は口を噤んでしまった彼の代わりを、代表が引き取った。
「厳しいようだけど、これも現実なんだ。
ウチみたいなスポンサーもままならない弱小事務所では、特にね」
何年も忍耐強く面倒を見てくれていた二人に、恩を仇で返している。
大切な師とも呼べる存在に、追放を言い渡させたのだ。
「ショービジネスの世界ではね、観客の心を掴めないとただの独り善がりで終わるんだ。
どうして他の子達より遅れを取っているのか、しっかり自分と向き合ってほしい」
業界に30年以上身を置く重鎮からの、重みのある忠告。
代表はおもむろに立ち上がると、微かに震える肩を叩いた。
「ファンを愛し……そして、もっと愛されるアイドルになってくれ」
32
あなたにおすすめの小説
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
【完結】おじさんダンジョン配信者ですが、S級探索者の騎士を助けたら妙に懐かれてしまいました
大河
BL
世界を変えた「ダンジョン」出現から30年──
かつて一線で活躍した元探索者・レイジ(42)は、今や東京の片隅で地味な初心者向け配信を続ける"おじさん配信者"。安物機材、スポンサーゼロ、視聴者数も控えめ。華やかな人気配信者とは対照的だが、その真摯な解説は密かに「信頼できる初心者向け動画」として評価されていた。
そんな平穏な日常が一変する。ダンジョン中層に災厄級モンスターが突如出現、人気配信パーティが全滅の危機に!迷わず単身で救助に向かうレイジ。絶体絶命のピンチを救ったのは、国家直属のS級騎士・ソウマだった。
冷静沈着、美形かつ最強。誰もが憧れる騎士の青年は、なぜかレイジを見た瞬間に顔を赤らめて……?
若き美貌の騎士×地味なおじさん配信者のバディが織りなす、年の差、立場の差、すべてを越えて始まる予想外の恋の物語。
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない
タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。
対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──
ただの雑兵が、年上武士に溺愛された結果。
みどりのおおかみ
BL
「強情だな」
忠頼はぽつりと呟く。
「ならば、体に証を残す。どうしても嫌なら、自分の力で、逃げてみろ」
滅茶苦茶なことを言われているはずなのに、俺はぼんやりした頭で、全然別のことを思っていた。
――俺は、この声が、嫌いじゃねえ。
*******
雑兵の弥次郎は、なぜか急に、有力武士である、忠頼の寝所に呼ばれる。嫌々寝所に行く弥次郎だったが、なぜか忠頼は弥次郎を抱こうとはしなくて――。
やんちゃ系雑兵・弥次郎17歳と、不愛想&無口だがハイスぺ武士の忠頼28歳。
身分差を越えて、二人は惹かれ合う。
けれど二人は、どうしても避けられない、戦乱の濁流の中に、追い込まれていく。
※南北朝時代の話をベースにした、和風世界が舞台です。
※pixivに、作品のキャライラストを置いています。宜しければそちらもご覧ください。
https://www.pixiv.net/users/4499660
【キャラクター紹介】
●弥次郎
「戦場では武士も雑兵も、命の価値は皆平等なんじゃ、なかったのかよ? なんで命令一つで、寝所に連れてこられなきゃならねえんだ! 他人に思うようにされるくらいなら、死ぬほうがましだ!」
・十八歳。
・忠頼と共に、南波軍の雑兵として、既存権力に反旗を翻す。
・吊り目。髪も目も焦げ茶に近い。目鼻立ちははっきりしている。
・細身だが、すばしこい。槍を武器にしている。
・はねっかえりだが、本質は割と素直。
●忠頼
忠頼は、俺の耳元に、そっと唇を寄せる。
「お前がいなくなったら、どこまででも、捜しに行く」
地獄へでもな、と囁く声に、俺の全身が、ぞくりと震えた。
・二十八歳。
・父や祖父の代から、南波とは村ぐるみで深いかかわりがあったため、南波とともに戦うことを承諾。
・弓の名手。才能より、弛まぬ鍛錬によるところが大きい。
・感情の起伏が少なく、あまり笑わない。
・派手な顔立ちではないが、端正な配置の塩顔。
●南波
・弥次郎たちの頭。帝を戴き、帝を排除しようとする武士を退けさせ、帝の地位と安全を守ることを目指す。策士で、かつ人格者。
●源太
・医療兵として南波軍に従軍。弥次郎が、一番信頼する友。
●五郎兵衛
・雑兵。弥次郎の仲間。体が大きく、力も強い。
●孝太郎
・雑兵。弥次郎の仲間。頭がいい。
●庄吉
・雑兵。弥次郎の仲間。色白で、小さい。物腰が柔らかい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる